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極私的映画論+α

+αは・・・日記です(^^;
最近はすっかり+αばかりになってしまいました(笑)

アントキノイノチ さだまさし著 幻冬舎文庫

2011-08-09 18:38:42 | さだまさし
アントキノイノチ (幻冬舎文庫)
さだ まさし
幻冬舎



 この小説のタイトル「アントキノイノチ」はもちろん「アントキの猪木」からのパクリだと思いますが、本家「アントニオ猪木」のパロディのパロディと言う複雑なタイトルです(笑)このタイトルでこの小説は損をしているような気もします(笑)彼はステージトークの中でも「『佐賀のがばいばあちゃん』に対抗して『さだのやばいじいちゃん』というタイトルでオヤジを書いてみたい」みたいなことを言ってますが。

 ようするにこの「アントキノイノチ」っていうタイトルは彼の一種の照れだと思うんですね。とてもシリアスな内容の物語なのですが、本屋さんでこの本のタイトルを見たときに、ふっと笑ってしまうことを期待したのでしょう。ただ、「アントキノイノチ」=「あの時の生命」ってことで、この物語の大きなモチーフになっていることは確か。ってことはまんざら「アントキノイノチ」っていうタイトルも糞真面目に考えてつけたのかもしれません。

 
 ちょっとあらすじを・・・

 21歳の杏平は、ある同級生の「悪意」をきっかけに2度、その男を殺しかけ、高校を3年で中退し、それ以来、うまく他人とかかわることにできない心の病を抱えていた。
彼を心配する父の口利きで、遺品整理業“CO-OPERS”の見習い社員になった杏平は、亡くなった方のため、ご遺族のため誠実に働く会社の先輩たち、そして同い年の明るいゆきちゃんと過ごすことで、少しずつ心がほぐれてゆく。
けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り、「生命」の本当の意味を初めて知ることになる……。



 このテーマは映画「おくりびと」にも触発されたのかもしれません。この「遺品整理業」という職業について事細かく書かれています。その描写はかなりきついものですが、そこをちゃんと読まないとこの小説のおもしろさは伝わらないと思います。実は私、この遺品整理業のお得意先があり、その倉庫ももちろん見たことがあるのですが、粗大ごみとして破棄されるもの、リサイクルに回されるもの、それぞれの持ち主だった故人の運命と同じように、それぞれの品物もそれぞれの運命が控えているわけですね。

 嫁の実家は今誰も住んでいません。義父が亡くなって1年3ヶ月、いつかはこの遺品整理業者にお願いして処分してもらわなくてはいけないわけで。。。出来る限りのことは我々身内でやるべきだって思う反面、嫁や義妹にとっては「両親」の生活を事細かくチェックするのはやはり心苦しい物があるのも事実です。しかし、どこにどんな「重要」なものが隠されてあるかもまだ完全にチェックできていないわけで。

 物語は「いいさだまさし」と「悪いさだまさし」の葛藤で進んでいきます。なかなか読ませてくれますが、「遺品整理業」の部分だけではなく、ちょっと「黒さ」も感じられる青春物語です。今の時代の青春と対峙しているので、なかなか辛い物語でもあります。

 岡田将生と榮倉奈々が主演し、11月に映画が公開されるとのこと。今本屋さんに文庫で平積みされているので、表紙だけ見たらまさかさだまさしの原作本だとは思わないかもね(笑)

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