あれよあれよと手術が始まり、30分ほど経過したぐらいに、胸の内側に突然、
「ドンッ」
という振動がありました。
「オ、オッ、ウッ」
という私のうめき声に、
「今、詰まりがとれました。少し胸がグッと来ませんでしたか?」
「はい、きました、きました」
と答えながら、
「おお、これは助かったのか!」
とココロの中には歓声のようなものひろがりました。
とりあえず命の危険を脱出すると、今度は心臓のダメージが気になります。
手術がおわった頃に、
「先生、心筋のダメージはどうですか?」
と訊ねると、
「そうですね、早かったけど、少しダメージがあります」
「いくらか壊死してるんでしょ」
と、まだ手術台に横たわっている患者には、伝えづらい質問をすると、
「そうですね、5分の1ぐらいは壊死してます。」
と、躊躇なくはっきり答えてくれるのには少し驚きました。
さらに、
「あと2本の冠動脈(心臓には3本の大きな血管がある)もとても細いです。」
と衝撃の告知が。
「どうなるんですか?」
「細いだけで、今すぐ悪さはしないので、退院前に再度手術をします」
今考えると、あの状況でよくこんな冷静に会話ができたものだと、自分でも驚きです。
それも衝撃的な内容を続けざまに、だったのに。
しかし、何を聞いてもはっきり答えてくれる医師の態度は、逆にとても誠実に感じました。
私は素直に、いい先生に診てもらってよかった、と感謝と安堵の気持ちで、その後の入院生活に向かうことになりました。
なんとか前兆症状から治療までのヤマバは越えた訳ですが、結果的に、
・自宅での体調変化だった
・とりあえず救急車を呼んだ
・すぐに搬送された
・専門医が在院していた
・即時にカテーテル治療ができた
・完全には詰まっていなかった
など、スムーズにことが運んだ(こういうのを運良くというのでしょうか)ことで、大事にならずに済んだようです。
(ある意味大事にはちがいないのですが)
こんなとき、よく「命拾いをした」などと表現されますが、当事者としては、「拾った」わけではなく、運も含めていろんな方のおかげで、助けていただいた、いうのが正直な感想です。
入院中の詳細はまたあらためてアップしたいのですが、次回、少しだけその様子をご紹介します。