今、新型コロナウイルスの蔓延によって、日本国内いや世界中がその対策に、頭を痛めています。
そのウイルスという生き物による人類の迷惑はこの上もない被害者であります。
そのウイルスというものを、よく知るためにも、この推理小説は社会から注目を集めるであろう
と小生は思っています。
ウイルスには悪玉と善玉があって、害にならないウイルスも存在する。そのウイルスのはたらき
を利用し、DNAを人為的に変異させるのが「遺伝子組み換え」である。この技術を最初に応用
したのが、インターフェロンやインシュリンといった、生物自体ではほんのわずかしか作れない
物質を量産するものであった。
2000年六月、アメリカで「人間の遺伝子がすべて解読された」という研究発表が行なわれた。
いわゆる「ヒトゲノム」と呼ばれるものだ。その直後からバイオ関連、製薬会社の株が軒並み
急騰した。人体を構成する細胞のすみずみまでが遺伝子レベルでつまびらかに読み取れれば、
病気の原因も手に取るように分かるし、遺伝子組み換えによる修復作業も可能・・・という
画期的な技術革新である。
一方、農作物や食品の遺伝子組み換えによる品種改良も進められた。バイオテクノロジーが使わ
れることから「バイオ食品」と呼ばれる。ただし、これが品種改良なのか品種改悪なのかは議論が
分かれる。味噌やパンのように、醸造や発酵などで物質を変化させることによって生まれた食品も、
ある意味では「バイオ食品」だが、これらがあくまでも自然界の営みの延長線上で行われる技術で
あるのに対して、遺伝子組み換えによる新しいバイオ食品は、自然界の法則を破壊する技術が生み
出したという点で、根本的な違いがある。
この農作物の遺伝子組み換えによる品種改良の研究者と医薬品会社の社員による、殺人事件を
テーマにしたフィクション推理小説である。