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ちゃわらの辻褄合わせの日々 Japan's rural daily life

雑記…日記、風景描写、思いついたこと色々 Diary and various things

自由の象徴のように

2017年09月02日 23時41分58秒 | 日記
「そうだ、海に行こうよ」

なにも脈絡もなく
君は言った

「それもいいなぁ」

どうせ今日は特に予定もない

ただ『海』という
それだけを目的に車を走らせる

二時間近く
車を走らせた

海岸近くのコンビニで買った
棒のついた大きなピンクの飴

君は数秒口にいれてから

飴を口から出した

「あっまぁーい!!」

「それは飴だから甘いのは
当たり前だろ」

「まぁね」

「転ばないように注意するんだよ
飴の棒が喉に刺さると危ないから」

「小っちゃい子じゃないから
多分、大丈夫」

飴を口にくわえながら
君は海へ歩く

太平洋沖の台風のせいか
海は荒れている

風は台風の存在をしめすように
強い風が吹き荒れていた

「風、強いね」

君は笑いながら言った

小高い丘を越えて
砂浜が見えてきた

砂浜へ降りると君は
履いていたサンダルを脱いで
右手で持った

「俺は海に入らないよ
靴汚れるし」

「いいよ
私も足だけ入れたいだけだから
車が砂で汚れるね」

「別にそれはかまわないよ」

君は波を観察しながら
足首までしか濡れない安全圏を探す

黒く波の後を残している砂浜へ

君のすねまである
レモン色の長いワンピースが
強風で踊る

君は笑いながら

「飴がね、海風の塩っぱさのせいで
梅味みたいになってるの」

って大声で言った

本当に
とても面白そうに

灰色の雲と
灰色を吸い込んだ青い水平線
時々白い泡を忘れていく白い波
風と踊るレモン色のワンピース

ここにある世界は
平和で自由だ

君は
ただ静かに海を眺めたたり
波に翻弄されたり
レモン色のワンピースが濡れたり
足は砂だらけになったり

自由の象徴のようだった