日々探訪日記

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黒塚古墳の34面の銅鏡

2008年10月05日 | 古代史

平成9~10年にかけて発掘され、古墳時代前期(3世紀後半から4世紀)と推定されている竪穴式石室から33面の三角縁神獣鏡(平均直径が22cm)が、木棺跡からは1面(直径13.5cm)の画文体神獣鏡(中国製)が出土しています。

現在は敷地に隣接する公園内にこの竪穴式石室が復元され、出土した銅鏡34面はレプリカですが展示されていて、10月2日見学してきました。

特に、33面という多量の三角縁神獣鏡が出土し注目されている古墳です。石室が古墳築造時から遅くない時間帯に地震にあって崩落し、その為もあって未盗掘の古墳でした。

下の写真は復元されて、展示されている竪穴式石室と三角縁神獣鏡。木棺の位置の朱色は水銀朱とのこと。 

↑図をクリックすると拡大写真がみれます。

三角縁神獣鏡は従来から倭国の女王卑弥呼が魏の明帝から下賜された100面の魏鏡だろうと云われていましたし「邪馬台国」大和説の主柱と為すものでしたが現在は日本国産説が主流になっているようです。

1、中国内からは1面の三角縁神獣鏡も出土していない。

2、弥生遺跡からは出土例がなく、すべて古墳からの出土である。

3、既に各地から100面以上の多量の三角縁神獣鏡が出土している。

等々の理由からである。

従来から1の理由として三角縁神獣鏡が魏において特注されて卑弥呼に下賜された。2の理由としては伝世し、古墳時代になって埋設されるようになった結果とするが、この説の特徴はまず、「邪馬台国=ヤマト国と読む」とする結論ありきが先で、そうであろうとする推定であって、突き詰めて「三角縁神獣鏡=魏鏡」とする理由(証明)にはなっていません。

さて、中国製か?国産製か?を判断する基準尺は銅の産地・製作者の国或いは出身地・鏡の製作地等で判断されるものと思うが、製作地が日本であることを持って国産とするのが一般的なんだろう。

製作者が中国から日本に渡来して、携えて持ってきた銅を使って日本人の好みに応じて、例えば姿見の鏡ではなくて、太陽信仰の祭祀の道具として鏡(三角縁神獣鏡)を製作した場合は中国からは出土することはない。であるが故に国産として扱えるはず。・・・・・三角縁神獣鏡はこのような鏡が多いと思う。

棺の中の被葬者の頭付近に1面の画文体神獣鏡があるが、これは他の33面の棺の外に無造作に取巻くように置かれた三角縁神獣鏡よりも、被葬者やその後継者にとって大切であり重要視されている鏡である。

棺に付着している水銀朱が石室を構成する石部に塗られたベンガラ朱よりも大切であるように、この墳墓には重要度のランクがなされている。

古代における太陽信仰の一端を知ることが出来ました。この古墳から出土した三角縁神獣鏡には銘文のあるものがありますが、銘文については別に投稿したいと思っています。

 

・・・つづく

 

 

 

 

 

 

 


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