魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「44」

2018年01月07日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「44」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号044 
作者:中納言朝忠
author of waka:

原文
逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
(あふことの たえてしなくば なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし)

現代訳
あなたと会うことが一度もなかったのならば、むしろあなたのつれなさも、わたしの身の不幸も、こんなに恨むことはなかったでしょうに。(あなたに会ってしまったばっかりに、この苦しみは深まるばかりです)

英訳
TO fall in love with womankind
Is my unlucky fate;
If only it were otherwise,
I might appreciate
Some men, whom now I hate.

The writer of this verse was the son of Sadakata, a Minister-of-the-Right, and is said to have died in the year 961. The verse was composed at the instance of the Emperor Daigo, and is apparently written in praise of a life of single blessedness. The translation does not give the full force of the last two lines, which mean literally, 'I should not dislike both other people and myself too.' The illustration shows Asa-tada walking on the verandah outside his house, perhaps composing this verse.

解説
中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ・延喜10年~康保3年 / 910~966年)は、藤原公任が優れた歌人として取りあげた三十六歌仙の一人で、三条右大臣・藤原定方の子どもです。
大宰大弐などをへて、従三位権中納言にまですすみましたが、漢文にも優れ、和楽器である笙(しょう)の名手でもあったと伝えられています。

朝忠は笙の名手でもあったため、恋心を寄せる女性も多くいましたが、この和歌は、朝忠が失恋した時に詠んだ和歌だと言われています。
しかし、この和歌は、40、41番の歌と同じ、天徳四年の内裏歌合のときに詠まれているので、相手を特定したものではありません。
いずれにしても、「逢わなければ、恨むこともなかろうに」と、相手を恨むような形になっていますが、それとは反対に、「逢いたい」という気持ちが伝わってくるような和歌です。



★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!

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