魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

『日本民俗』 小川直之 (著, 監修)

2017年11月21日 | 読んだ本
『日本民俗』 小川直之 (著, 監修)

日本民俗
小川直之 (著, 監修)
株式会社クレス出版


内容紹介
折口信夫主宰 日本民俗協会発行の雑誌「日本民俗」の第一号から最終第三十三号を収録、復刻した書籍です。 第一号(通号第1号)~第十二号(通号第12号) 第二巻第一号(通号第13号)~第二巻第十二号(通号第24号) 第三巻第一号(通号第25・26号)~第三巻第五・六号(通号29・30号) 第三十一号(通号第31号)~第三十三号(通号第33号)

出版社からのコメント
民間伝承研究が一部の識者ではなく、その志ある多くの人たちも参加できるようになるのは、これを掲載、集積する専門雑誌が刊行されるようになってからである。現在の日本民俗学につながるこうした雑誌の始まりは、大正二年(一九一三)に柳田國男と高木敏雄が編集を行った月刊誌『郷土研究』であった。これが大正六年(一九一七)に四巻一二号をもって休刊すると、翌大正七年(一九一八)には、折口信夫が『土俗と伝説』を発刊する。しかし、これも刊行は四号で途絶える。その後、大正十四年(一九二五)には柳田國男を中心に『民族』が発刊され、昭和初期には民俗藝術の会による『民俗藝術』、折口信夫を中心とする民俗学会の『民俗学』と続いていく。 (中略) 今回、複製版を刊行する『日本民俗』は、右のような動向のもとで発刊されている。これを機関誌とする日本民俗協会は、折口信夫による主宰で昭和九年(一九三四)十二月に発足し、『日本民俗』は北野博美を編輯兼発行者として、翌十年八月に第一号が発刊される。複製版の刊行は、従来からその存在は知られていたが、一号から三三号までの全号を所蔵する大学・公共図書館は稀で、その利用が困難であったのを解消し、民俗学や民俗芸能研究などの研究に資することを目的としている。 『日本民俗』の内容について、その要点をあげると次のようにいえる。 1『日本民俗』の内容は芸能分野を中心とし、各地に伝承されている芸能の調査記録・論述が掲載されるとともに、現在一般化している「民俗芸能」という用語はこの雑誌に初めて登場する。 2日本民俗協会などが主催した根子(秋田県)番楽・金砂(茨城県)田楽公演記録、日本青年館の全国郷土舞踊民謡大会の曲目資料、黒川能の研究と公演記録、南部神楽(八戸市)公演記録、東北六県郷土舞踊大会記録など、民俗芸能公演の記録と資料を多く掲載する。 3芸能公演として特記できる昭和十一年(一九三六)の「琉球古典芸能」公演を詳細に掲載する。折口、伊波普猷、比嘉春潮、東恩納寛惇、小寺融吉などの執筆による、琉球芸能の内容、組踊(執心鐘入)台本、印象記、座談会記録、琉球芸能の論述などを掲載する。 4芸能分野のほか、今和次郎らによる民家研究を図入りで連載する。 先にあげた昭和十年(一九三五)創刊までの民俗学関係の研究誌のうち、『日本民俗』は利用が困難であったが、複製刊行によって、当時の研究動向や民俗芸能などの現況、詳細不明だった芸能公演内容が把握できるようになる。さらに日本民俗協会は、松本学を中心とする日本文化聯盟の傘下にあって、昭和初期から戦中期における作家や芸術家なども含む幅広い文化団体とその活動の一端が、本複製版によって捉えることができる。 (刊行のことばより抜粋)

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Black Box 伊藤 詩織 (著)

2017年10月29日 | 読んだ本
Black Box 伊藤 詩織 (著)

商品の説明(Amazonより転記)
真実は、ここにある。 なぜ、司法はこれを裁けないのか? レイプ被害を受けたジャーナリストが世に問う、 法と捜査、社会の現状。 尊敬していた人物からの、思いもよらない行為。 しかし、その事実を証明するにはーー密室、社会の受け入れ態勢、差し止められた逮捕状。 あらゆるところに〝ブラックボックス〟があった。 司法がこれを裁けないなら、何かを変えなければならない。 レイプ被害にあったジャーナリストが、自ら被害者を取り巻く現状に迫る、圧倒的ノンフィクション。

信頼していた人物からの、思いもよらない行為。しかし、その事実を証明するには―密室、社会の受け入れ態勢、差し止められた逮捕状。あらゆるところに“ブラックボックス”があった。司法がこの事件を裁けないのなら、何かを変えなければならない。レイプ被害に遭ったジャーナリストが、自ら被害者を取り巻く現状に迫る、圧倒的ノンフィクション。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
伊藤 詩織
1989年生まれ。ジャーナリスト。フリーランスで、エコノミスト、アルジャジーラ、ロイターなど、主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


女の後ろには、彼女のようには声を出せない
百人、千人、万人の、
同様の目にあった女性、人がいる。

この人の仕事が
「伝えること」でなかったなら、

このような被害にあうことは
なかったかもしれないが、

「伝えること」が仕事であったから、
私たちが、このことを知ることができた。

それでも、他人であり、
まして男である私には、
こうした体験の恐ろしさは理解しづらい。

だからこそ、
いのちをかけて伝えてくれていることに、
目と耳を、頭を、こころを、
使わなければいけないと感じた。



Black Box
伊藤 詩織
文藝春秋

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こうの 史代さんの作品 

2017年08月03日 | 読んだ本
小学校低学年の時
広島の原爆投下のスライド資料を授業で見て
深く傷つき、眠れない日々をすごしたので
原爆の事実から逃げまくっていました。

さすがに人生経験を重ね、
歴史を学び、民俗学を学び、
しっかり向き合えるようになったでゴザル!

そんななか、
話題の映画『この世界の片隅に』に出会い
ありがとう、うちを見つけてくれて 「この世界の片隅に」公式ファンブック (アクションコミックス)
こうの 史代 他
双葉社


こりゃ~まずは原作を読まねば!と
この世界の片隅に コミック 全3巻完結セット (アクションコミックス)
こうの 史代
双葉社

を大人買い!ボロ泣き!

すずが見た広島、街は今 爆心地「ここに生活があった」

別の作品もないかと探し
夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
こうの 史代
双葉社

も購入!涙腺が緩みっぱなし、、、、。

でも泣くのは止めよう!
しっかり歴史を受け止めて、同じ過ちを繰り返さないように意識を持たねば!


こちらの作品は、ハートフル・ショートコメディ。
長い道 (アクションコミックス)
こうの史代
双葉社


夫の駄目男振り と 妻のノー天気
不思議な間合いと空気を持つ夫婦の日常です
男女の微妙なすれ違いも垣間見るけど
いとおしい愛の形が優しく表現されている
作品と思うのであります。






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このネコ漫画!最高です

2017年08月01日 | 読んだ本
このネコ漫画!最高です

日本の春夏秋冬の生活の中で
ねこと じいちゃんの味わい深い物語です。
じいちゃんも猫ちゃんも絶妙な丸みで
この可愛い絵にも癒されまくりです!


ねことじいちゃん (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
ねこまき(ミューズワーク)
KADOKAWA/メディアファクトリー

ねことじいちゃん (2) (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
ねこまき(ミューズワーク)
KADOKAWA

ねことじいちゃん3 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
ねこまき(ミューズワーク)
KADOKAWA


ねことじいちゃんコミックエッセイ劇場で
エピソードが公開されています!
番外編 お気に入りの箱
番外編1 見えてますよ
番外編2 魅惑の猫っぱら
番外編3 タマのごはん
番外編4 あるある行動
番外編5 気がつけばいつもそばにいる
番外編6 どれどれ
番外編7 使い方がちがいます
番外編8 知らぬが仏
番外編9 タマ優先
番外編10 入ってます
番外編11 待ち受け画像
番外編12 古いアルバム
番外編13 一丁前


『2018年カレンダー』予約しちゃいました!
ねことじいちゃん2018カレンダー
KADOKAWA


此方もおすすめ!
ずぅねこ ~とくがわ東どうぶつ園日記~
ねこまき(ミューズワーク)
KADOKAWA/富士見書房

ずぅねこ (2) 〜とくがわ東どうぶつ園日記〜
ねこまき(ミューズワーク)
KADOKAWA/富士見書房


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『マタギに育てられたクマ―白神山地のいのちを守って 』金治 直美著

2017年07月25日 | 読んだ本
マタギに育てられたクマ
白神山地のいのちを守って
(感動ノンフィクションシリーズ)
金治 直美
佼成出版社
画像をクリックいただければAmazonへ飛びます。

商品説明
青森県鰺ケ沢の「熊の湯温泉」には、熊吉と熊子というツキノワグマのきょうだいがいます。
宿のご主人・吉川隆さんは、600年以上続く大然(おおじかり)マタギの子孫です。
9年前の春、山でツキノワグマをしとめた吉川さんが巣穴を確認すると、2頭の子グマが残されていました。
吉川さんは、自分がうばった母グマのいのちに代えて、2頭を育てることを決意したのです。
厳しい掟を守り続けるマタギの精神を通して、命、自然環境を見つめた感動作。

【著者・金治直美先生のコメント】
この本を読んで、みなさんが、クマや山や自然を好きになってくれたらいいなあと思います。
好きになると、自然を大切にしよう、自然環境を保護しよう、という気持ちがわいてきます。

人間は、自然の恵みを受けて、生きています。
自然によって、生かされているのです。そのことを理解してほしいと思います。

自然や動物は、人間だけのものではありません。ですから、自然を荒らさないこと、
とりすぎないこと、とったものをムダにしないこと。
タケノコや山菜でも、必要な分だけ「恵みをいただく」「分けていただく」という、
感謝の気持ちでとってほしいです。
マタギの精神もそうですが、「欲をおさえた生き方」が大切です。

マタギには、何百年も続いている言葉や儀式など、きびしい「しきたり」があります。
それは、狩りのときに、神さまの領域に入っていることを意識させたり、
なかまとの結束力を高めたり、これからクマと命のやり取りをするのだという
緊張感を持たせたり、また、好き勝手なことをしないようにする
「いましめ」にもなっているようです。
そういう視点で、しきたりを読んでみてください。

【編集者コメント】
青森県に取材にうかがったのは5月でした。吉川さんは、純朴な方で、
私がリクエストしていた服や道具類などを黙々と用意してくださり、
はにかんだような微笑みをカメラに向けてくださいました。
マタギとしてはもちろんですが、人としても非常に魅力的な方ですので、
作品を通じて知っていただければうれしいです。
この作品の大事な登場キャラクターである、熊子と熊吉という
ツキノワグマのきょうだいは、立ち上がると私よりも大きくて、
迫力満点でしたが、熊子は興味津々で私を見ていたのが、かわいらしかったです。
マタギの生き方は、なかなか知る機会がないと思います。
ぜひ、本書を読んでみてください。
株式会社 佼成出版社ホームページより抜粋


マタギたちの生業は狩猟ですが、一歩間違えば死につながり
山神信仰と戒律は、厳しい冬山で生きる男たちの必要から
発生したと言われていますが、

マタギが自然と共生してきた文化と言われるゆえんは、
「山は山神様が支配するところであり、クマは山神様からの授かり物」
というアニミズム(自然崇拝)の思想が有るからと思います。

彼らの生活が獲物を山の神の恵みとして感謝し、
必要以上に乱獲せず、祈りとタブーで己を律して来た
マタギ習俗の中に、高い精神性を内在し、厳しい自然と
闘いながら先祖代々培った生活の知恵の凝集されていると言えるのです。

この本では、精神的な豊かさとは何か?との
一例を表してくれている内容と私は感じました。

現代の飽食の時代において
命を分けていただく動物たちに対し
命の尊厳を踏みにじる行為を知らず知らずの内に
行っているのではないでしょうか?

せめて「頂きます」「ご馳走様」
「アリガトウゴザイマシタ」の感謝の祈りを
忘れないようにしたいと思います。


そして、世界標準となっている
動物福祉(アニマルウェルフェア)について
真剣に考えなくてはいけですねっ。

HOPE for ANIMALSホームページに
情報があります。一度寄ってみてくださいネッ。






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『なぜ、アロエベラで育った子どもは奇蹟を起こすのか?』森下敬一著 高沼道子著

2017年07月24日 | 読んだ本
会社の同僚がお子様を授かり、
何か良い本ないかなぁ~と本屋巡りしていた所

なぜ、アロエベラで育った子どもは奇蹟を起こすのか? (veggy Books)
森下敬一,高沼道子
キラジェンヌ

と言う不思議な本を見つけたのでヤンス。(画像をクリックいただければAmazonへ飛びます。

目次をみると
プロローグ「アロエベラが育む奇跡の子とは」
第1章:アロエベラがもたらす「真の健康」とは
第2章:産む・育てる女性たちを救うアロエベラ
第3章:なぜ、アロエベラは奇跡をおこすのか?
第4章:アロエベラの真の力を引き出すには
第5章:アロエキッズ14人の体験談


むぅ~、、、
アロエベラに そぎゃんチカラがあるとぉ~?

帯封に
「氣」を高め、「ソマチッド」を活性し、
潜在パワーを覚醒させるアロエベラの真実。森下敬一


と、、、、、、、、、、
アロエベラが、「氣」を高める!? 「ソマチッド」ってなに? 
なんで潜在パワーが活性させる? 意味不明でヤンス。

とりあえず、ソマチッドについて確認!
日本ソマチット科学アカデミー(JSSA)のホームページから抜粋ですが
生物に共生したソマチットは、その生物を、できる限り良好な状態で長く
保つために活動しています(生物の体内環境により活動に差が生じます)。
一般的に免疫と言われている生命保護のための働きも、
ソマチットの活動の一部ではないかと考えられ、
現在、生理学的な見地を含め、不明な部分の解明が進められています。
より踏み込んでの研究として、地球上に生命が誕生したメカニズムとの関係も、
将来的に重要視されるでしょう。


小難しい、、、、ですが
ようは、生命活動に重要なものであり、
アロエベラが、このソマチッドを活性させる!と言う事なんだろなっ

とりあえず、アロエベラ

この不思議な植物について調べて行き「アロエベラ」のカテゴリーで報告していきまぁ~す。


アロエベラの情報をお持ちの方は
コメントに情報を入力を頂けると有り難いです。
お力添えのほど、宜しくお願いします。

アロエベラとは(1)基本情報 に続く
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『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著⑤

2017年07月19日 | 読んだ本
『臨湖亭奇譚』 倉科由美子著④からの続き

演奏者の女性については、
正体を中々現さない仕草に関連性は見受けられるが、
「琵琶行」での表現は、落ちぶれてやつれ果て
世間のあちらこちらを渡り歩く自身の姿を
隠すものであり、「臨湖亭奇譚」では、
顕世(うつしよ)の存在ではなく、
幽世(かくりよ)の世界からの訪問者としての
夢幻の世界を表現している。

また、「琵琶行」では、女性の語った言葉を
聴くによって、ふいに自身の流浪の悲しみに襲われ、
苦しみを自覚することで、長句の歌を作って
彼女に贈り、この歌行を『琵琶の行』と命名するに
至る重要なものであるが、「臨湖亭奇譚」では、
女性自身からお酒を所望する言葉を発することで、
お酒に対して印象を深くするものであった。

「酒宴を通じた影響」については、「琵琶行」では、
酒宴に付属する、音楽が無いことを表現するための
道具でしかないが、「臨湖亭奇譚」では、
「陶酔」と言う、酒呑みの人の理想である、
一日中とろとろと夢と現実の境目を漂うみたいに
酔い続け歓を尽くす事を、
芸術的で夢幻能的な表現で表しているのである。

「Cocktail story酔郷譚」はジェンダーとか
セクシャリティのレベルを遥かに超え、
性を描きながら性にまったく囚われていない、
生の躍動感と死の官能性に満ちあふれ、
そこに酒の愉みを加えた大人の読み物に
仕上がっている、著者の本領が遺憾なく
発揮された芸術作品なのである。

                   以上。


参考文献・資料
発行人:若林繁男 
『KAWADE道の手帖 倉橋由美子』 
発行所:河出書房新社

著者:倉橋由美子
『よもつひらさか往還(講談社文庫)』 
発行所:講談社

著者:倉橋由美子『酔郷譚』 
発行所:河出書房新社

編集:明治大学中央図書館ギャラリー企画運営WG
第14回明治大学中央図書館企画展示 
明治大学特別功労賞受賞記念
倉橋由美子展 パンフレット

私家版 楽器事典 ホームページ
 ・ヴィーナ (Saraswati veena)
 ・ムリダンガム (Mridangam)

YouTube(ヴィーナとムリダンガムの演奏)

九鬼氏とは-kotobank

綾部の文化財を守る会ホームページ(綾部九鬼藩資料 - 綾部の文化財)


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『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著④

2017年07月18日 | 読んだ本
『臨湖亭奇譚』 倉科由美子著③ からの続き

つづいて「撥弦楽器を弾く女性」についてだが、
「琵琶行」で使用されている楽器は、
「忽聞水上琵琶聲」と有るように
「琵琶」であり、「臨湖亭奇譚」では、
南インドの撥弦楽器である「ヴィーナ」であった。

インドには構造(瓢箪の共鳴器を使用している)
もよく似て、神秘的な音を奏でる撥弦楽器の
「シタール」という物も有るにもかかわらず、
「ヴィーナ」を登場させた理由は一体どう言う
意図があったのであろうか?

理知的な音色のシタールに対して
官能的な音色のヴィーナのであるから
選択されたのか?

楽器の名称が女性の美しさを表現する際の
比喩として用いられたり、
愛神の代名詞としても用いられたりする、
日本語読みの「ヴィーナス」に通じるからで
あろうか?

今となっては確認する術が無いことが
悔やまれる限りである。

演奏者が奏でる音色について、
「琵琶行」では、琴の音の様子が、
みやこ風の趣がある調べになっていることを
切々と詳細に表現しているが、
「臨湖亭奇譚」では、妖しい音楽と
表現しているに留まり、音色について多くは
表現していない。

それは、叙事詩である「琵琶行」では、
この音色その物が重要なのであり、
「臨湖亭奇譚」では、
「Cocktail story酔郷譚」と言う
題名が示す通り、お酒をもって夢幻能的な
世界観を表現する作品であるから、
音色その物に対し夢幻能的な世界観を
強く印象させないための表現方法だと
言えるのである。

『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著⑤へ続く

おすすめ書籍
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大人のための残酷童話 (新潮文庫)
倉橋 由美子
新潮社
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『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著③

2017年07月17日 | 読んだ本
『臨湖亭奇譚』 倉科由美子著②からの続き

湖上に怪しい光が現れたり、古戦場と言う、
兵どもが夢の跡を感じさせたりする表現について、
夢幻能的な舞台表現であると言え、
特に「瓢箪の形をした湖」と言う形を限定した
設定表現が、より深く夢幻能的な表現に
仕上げていると確信している。

何故なら、瓢箪は中空なので、
そこに神霊が宿るものと考えられ、
形が女体や子宮と似ているため、
出産や再生のシンボルとなっているため、
丸形や四角形や琵琶形の湖には無い、
夢幻能的な深みを持たせることが
できると感じ取ったからである。

また、この夢幻能的な世界を表現するのに
重要な登場人物で
「九鬼さん」と呼ばれる登場人物がいる。

「九鬼さん」と呼ばれる登場人物の
夢幻能的な活躍ぶりは、本編を読んで頂ければ
十分理解できることであるが、
この登場人物の名称が「鬼」と言う漢字が
入っている「九鬼」となっている事も夢幻能的
に必要であると考察できる。

「鬼(き)」は死者の霊魂を意味するものであり
『日本書紀』『万葉集』などでは、
鬼の字を「もの」「しこ」「かみ」と訓じ、
目に見えない恐怖の総称としており、
俗説な所では、九鬼氏の経歴の中で往古より
国家の催す神事を司り、
歴代にわたって鬼門鎮護・厄払いの神事を
兼ねて相承してきた
一族であったと伝わっている事を考えると、
顕世(うつしよ)と幽世(かくりよ)の世界を
行き来する、
不可思議な力を有する象徴になりえるからである。


『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著④ へ続く

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『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著②

2017年07月16日 | 読んだ本
『臨湖亭奇譚』 倉科由美子著① からの続き

「臨湖亭奇譚」に至っては、8世紀の後半から
9世紀の初め中唐の時代に現れた詩人、
白居易(はく きょい、772年~846年) 字は楽天。
号は酔吟先生・香山居士)が
かつての長安の名妓が落魄して琵琶を奏でるのを、
左遷された我が身になぞらえて歌った七言詩である「琵琶行」(816年作)との関連性がみられる。

「臨湖亭奇譚」と「琵琶行」の関連性について
考察すると、どちらの作品も「水面に浮かぶ船の
上で撥弦楽器を弾く女性が主人公に対し
酒宴を通じ影響を与えた物語を表現した作品」と
言えるのである。

この関連性は、猿真似的な「模造」ではなく、
新たな芸術作品を生み出す「創造」であり、
関連性の先にある、著者の芸術的に
創造された夢幻能的な表現について説明してゆく。

まずは、「水面に浮かぶ船の上に」についてだが、
「琵琶行」では、この船の浮かぶ場所を
「潯陽江頭夜送客」と記載されているように、
実在する潯陽江(長江)のほとりと場所の
説明をしているが、「臨湖亭奇譚」では、
瓢箪の形をした湖と形を特定し、
怪しい光が時々湖上に現れ、湖中には
古戦場であった島が有り、
その島の頂には、古いお寺が有ると説明している。


『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著③へ続く

おすすめ書籍
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完本 酔郷譚 (河出文庫)
倉橋由美子(著)
河出書房新社
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『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著①

2017年07月15日 | 読んだ本
「臨湖亭奇譚」は、作家・倉科由美子が
サントリー(株)のPR誌『サントリークォーター』(1979年創刊、2009年6月休刊)に
「Cocktail story酔郷譚」として1996年から
全22回にわたり連載された作品の内、
第13回目に発表した物である。

『KAWADE道の手帖 倉橋由美子』142ページに
記載されているが、
当初、倉橋自身は「お酒が飲めず、
すぐに酔ってしまうのでお酒のエッセイは
難しいです。

しかも体調が良い時と悪い時があるので、
斉藤さん(サントリー広報部のスタッフ)に
ご迷惑をおかけしたくないのです」と
連載を断っているが、
前出の斉藤氏の熱意により、
連載を受諾することになったのである。

また、「Cocktail story酔郷譚」と
言うタイトルは、
倉橋由美子自身が決めたとも記載されている。

同書の172ページから記載されている、
「倉橋由美子全著作解題」に記載されている「Cocktail story酔郷譚」全22回連載の内、
「臨湖亭奇譚」を含む15回分を収録した単行本『よもつひらさか往還』の解題を確認すると、

「東西の古典を下敷きとした冥界との
往還は、夢幻能(夢幻能とは:能の分類の一つ。
亡霊・神・精霊など,超自然的存在の化身が
旅人の前に現れて,人の身の上やその地の故事
を語る曲目。夢や幻という設定であるところ
からの命名。)的な世界を繰り広げており、
著者の本領が遺憾なく発揮されている。」と
記載されている。


『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著②
 へ続く


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倉橋由美子 (KAWADE道の手帖)
倉科由美子(著)
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『オメラスから歩み去る人々』 アーシュラ・K・ル・グィン

2017年07月03日 | 読んだ本
日本が豊かである為に、顔も知らない誰かが貧しさに耐えている。
日本人が当たり前の様に手に入れている食料、資源、薬品、教育。
そういったものは、全ての国の人々が同じ様に手に出来るモノではない。

そして自分はオメラスの人々がそうであるように、
その誰かの犠牲がある事を知っている。

その犠牲が自分にとって必要な犠牲である事に気付いている。
 
だからといって、自分がそれを知っているからといって、
自分はこの暮らしを捨てる事が出来るのか?

出来はしないだろう、、、、、、、。

そしてこの街を去る事が出来ない自分は、
その不実を、いつか埋め合わせる事が出来るのだろうか?

許しを請う祈りではなく、
感謝の祈りを捧げながら、出来る事するしかないかも


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風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-2) (ハヤカワ文庫 SF 399)
アーシュラ・K・ル・グィン (著),丹治陽子 (イラスト),小尾芙佐 (翻訳),浅倉久志 (翻訳),
早川書房
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