魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著③

2017年07月17日 | 読んだ本
『臨湖亭奇譚』 倉科由美子著②からの続き

湖上に怪しい光が現れたり、古戦場と言う、
兵どもが夢の跡を感じさせたりする表現について、
夢幻能的な舞台表現であると言え、
特に「瓢箪の形をした湖」と言う形を限定した
設定表現が、より深く夢幻能的な表現に
仕上げていると確信している。

何故なら、瓢箪は中空なので、
そこに神霊が宿るものと考えられ、
形が女体や子宮と似ているため、
出産や再生のシンボルとなっているため、
丸形や四角形や琵琶形の湖には無い、
夢幻能的な深みを持たせることが
できると感じ取ったからである。

また、この夢幻能的な世界を表現するのに
重要な登場人物で
「九鬼さん」と呼ばれる登場人物がいる。

「九鬼さん」と呼ばれる登場人物の
夢幻能的な活躍ぶりは、本編を読んで頂ければ
十分理解できることであるが、
この登場人物の名称が「鬼」と言う漢字が
入っている「九鬼」となっている事も夢幻能的
に必要であると考察できる。

「鬼(き)」は死者の霊魂を意味するものであり
『日本書紀』『万葉集』などでは、
鬼の字を「もの」「しこ」「かみ」と訓じ、
目に見えない恐怖の総称としており、
俗説な所では、九鬼氏の経歴の中で往古より
国家の催す神事を司り、
歴代にわたって鬼門鎮護・厄払いの神事を
兼ねて相承してきた
一族であったと伝わっている事を考えると、
顕世(うつしよ)と幽世(かくりよ)の世界を
行き来する、
不可思議な力を有する象徴になりえるからである。


『臨湖亭奇譚』 倉橋由美子著④ へ続く

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