悪性リンパ腫(癌)になってから色々思うこと

令和元年8月、43歳の時に悪性リンパ腫ステージ4の診断を受け治療、令和2年3月に寛解。
色々思うことを記録します。

R-CHOPと髄注の副作用 

2020年03月04日 | 日記
私の抗癌剤はR-CHOPという悪性リンパ腫に効果が高い抗癌剤です。それと頭部に腫瘍があるので脳脊髄液にも抗癌剤を投与するために髄注もやりました。普通の点滴投与では脳には抗癌剤が届かないそうです。

R-CHOPは2日間にわけて投与しました。Rと髄注が一日目、二日目にCHOPを投与しました。R(リツキシマブ)を投与してから間もなくアレルギー症状が出て全身に赤く湿疹が出てきました。症状緩和の点滴をすぐに投与して落ち着きました。そのあとに髄注をしたのですが、これがとんでもなく痛かったです。

髄注は背骨にある脊髄腔に注射をして抗癌剤を入れるのですが、神経を触ることがあり、下半身の痺れがあります。説明を受けてから挑んだのですが、痺れといってもたいしたことはないだろうと思っていたのですが、予想をはるかに超えた痺れがまっていました。

腰から下、すべてに電気が走った状態で、少しでも身体を動かすと余計痛くなる状況で1時間ぐらい痺れの痛みを我慢していました。電気ショックが一時間、もう二度としたくないと思いましたが、あと3回もあるそうで、絶望でした。
他のブログには痺れがなかったという人もいますし、症状は人それぞれだと思いますが、髄注は恐ろしい!というのが私の感想です。

1日目の夜から少し気持ち悪くなってきて、夜ごはんはあまり食べれませんでした。

2日目はCHOPという4種類の抗癌剤を投与します。CHOPは頭文字です。昨夜からの気持ち悪さは続いていました。CHOPは朝の10時ぐらいから投与して昼過ぎ15時頃に終わりました。17時半頃からものすごく気持ちが悪くなり、横になってひたすら耐える状態に入りました。ご飯は食べれることができませんし、水も一口飲むのがやっとという感じでした。夜には熱も出てきて寝れなくなってきたので、解熱剤を注射してもらって寝ました。

抗癌剤によるムカつきは4日ほど続き、食事もほとんど食べれませんでした。ただただ我慢して横になっているだけです。初めての体験なので、こんなものなのか?どこまで我慢すればおさまるのか?などわからない未知の戦いでした。

灯りのないトンネルを手探りで進んでいる感じで、出口が全く見えない状況です。

3日目から始まるステロイドの飲み薬(プレドニゾロン)が、これまたモチベーションを下げる厄介な飲み薬でした。朝9錠、昼7錠、夜4錠飲むのですが、苦くて飲めたものではありません。1錠は小さいので一回で3,4錠は飲めるのですが、とにかくにがくてつらいです。水もあまり飲めない状況で薬を飲むのもつらかったです。プレドニゾロンの攻略法が他のブログに載っていたので、真似をしてみました。オブラートに包んで飲むと苦さがない!と書いてあったのでオブラートに包んで飲むようにしました。ほんとうに苦くなくなったので、とても助かりました。同部屋のおじいさんもにがくて困っていたので、オブラート作戦を教えてあげました。オブラートは丸オブラートで、包んだ余りをハサミでカットして小さくして飲むようにしていました。

他の副作用としては、投与3日目からの便秘です。便秘の薬を飲むのですが4日間便秘でした。健常時なら便秘になっても特に気にしないのですが、白血球が少ないので傷が治らない。自己免疫力がないので、怖くてリキめないので苦労しました。
髪の毛は、2週間目ぐらいから次第に抜けてきました。シャワーの時に一気に抜ける感じです。枕に白いタオルを巻いていたので抜け具合を確認していたのですが、それほどもなく、やはり、シャワー時に大量に抜けました。入院前に坊主にしていたので、大きなショックはありませんでした。

食事はムカつきが収まってきてから食べるようになりました。病院食は止めていたので、そのまま止めて3食とも持込の食事にしました。家から病院まで10分もかからないので、1日2回妻に無理をお願いして持ってきてもらいました。唾液なのか舌なのかわかりませんが、味覚はおかしくなってきます。食べたいものが偏り、同じメニューばかり食べたくなっていきました。気持ち悪くならないメニューを見つけると、他を食べて気持ち悪くなりたくないから、同じメニューばかり食べたくなるのだろうと思います。私のわがままに妻は付き合ってくれて、とても助かりました。

なんとか1回目の入院を無事にクリアできました。

一番怖かったのは、未知の世界

2020年03月04日 | 日記
2019年の9月末に抗癌剤治療を選んで入院しました。一回目の入院は経過観察もあり21日間しました。

悪性リンパ腫のステージ4といっても、自覚症状が目立ってありませんでした。元気なので、自分でもステージ4の癌だという自覚がありません。元気なのになんで治療しないといけないのか?という思いが根底にありました。

抗癌剤の副作用に関しては、色々とネットに体験談が書いてあったので知識はつくのですが、どれぐらいしんどいのか?辛いのか?というのは、文字ではくみ取ることができません。脱毛とかはイメージできるのですが、辛い経験の共有が難しく、未知の世界でした。

抗癌剤の怖さは、身体に及ぼす影響も多くありますが、一番はメンタルにきました。

未知の世界、しかも希望に満ちた世界ではなく、苦しい辛い未知の世界です。未知の世界へ飛び込む恐怖、これが一番の怖さでした。この怖さを克服するには、未知の世界をプラスに捉え、楽しみというか自分の未来に役立てるしかないなぁと、考えるようにしていきました。

私の場合ですが、治った姿を想像することではなく、経験値を高めたい、やったことがないなら経験してみよう!という好奇心で未知の恐怖のスタートをきりました。もともと、新規開拓が好きだったり好奇心が旺盛だったからかもしれません。逆に、治ったらしたいことが特になく、モチベーションに繋がりませんでした。

病気になる前から自分に関する願望があまりありませんでした。他人の幸せや困っている人に向けるパワーはあるのですが、自分に向けるとパワーがでないのも、今までの経験上解っていました。

パワーがでるタイミングって、人それぞれだと思います。自分の好きなモノを買う為に頑張れる人もいるし、そうでない人もいる。お金持ちになりたい人もいるだろうし、美味しいラーメンを求めてどこまでも行く人もいる。そして、それは時と場合、状況によって、ころころ変わるものだと思っています。

何をしている時に自分が一番楽しくて、しかもパワーや能力を発揮できるのか?を把握しておくは大切なことだと思っています。病気に勝つには、治ったら何をしたのか?をイメージするといいよ!というアドバイスも頂きましたが、私の場合、イメージしてもすぐに消えてどこかにいってしまいます。すぐに消える原因は解っています。私がイメージすることは、少し頑張れば実現できてしまうこと。頑張ればできるしなぁ・・・と、頭をよぎった瞬間に消えていきます。それに対して、自分の枠から出た他人がイメージすることを実現する方がよっぽど難しいくパワーや根気が必要です。それをお手伝いしている時の方が、私はパワーが発揮できることを解っていました。

抗癌剤は毒だ、放射能だと思ったら、受け入れられない。いやいや食べると不味い!のと同じです。実際は、抗癌剤に触れると被ばくするし、毒の要素もあります。いろいろマイナスの要素がありますが、その抗癌剤を自分の身体に入れたらどうなるのか?癌は本当に無くなるのか?という好奇心で治療を受け入れることにしました。

病気に打ち勝つメンタルは人それぞだと思います。完治するモチベーションで頑張る人もいますが、私は好奇心をモチベーションに抗癌剤治療を始めることにしました。