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妄想/アリスなルルーシュ 閑話>スザク

2010年06月13日 17時55分47秒 | Weblog
シャッと勢い良くカーテンを開く。差し込む陽光の眩しさに目をしかめる。
窓の外は抜けるような青空。見とれてしまうほどの美しい色だった。

「ねぇ、ルルーシュ。今日はすごくいい天気だよ。昨日までの雨が嘘みたいだ」

ブリタニアに梅雨はないが、この一週間はぐずついた天候だった。
今日は打って変わって絶好の行楽日和。

「こんないい天気の日に、何時までも寝てるなんてもったいないよ?」

奥のベッドの中のルルーシュに聞こえるよう、少し大きな声で呼びかける。
でも、ルルーシュは答えてくれない。

「ねぇ、久しぶりに遠乗りに出かけようか?そうだ!お弁当持ってピクニックに行こうよ。
僕、久しぶりにルルーシュの作るおにぎりが食べたいな」

わざとはしゃいだ口調で呼びかけてみた。それでも、ルルーシュからは何の返事もない。

「・・・・ルルーシュ」

そっとベッドに近づき、覗き込む。
見飽きることのない、その度に心を奪われる美しい顔だ。透ける様な白い肌、閉じた瞼を縁取る睫毛は頬に影を落とすほど長い。
彼の象徴と言うべき紫暗の瞳は、その奥に隠されたまま。
もう、ずっと見ていない。

「・・・・っ」

ぎゅうっと心臓をわしづかまれたように心が痛む。

「ねぇ、ルルーシュ」

そっと柔らかな頬に手を寄せる。手のひらを通して伝わってくる体温はいつもより低くて、余計哀しくなった。

「ルルーシュ、もういい加減におきなよ・・・」

何度、呼びかけたろうか。


ルルーシュは、ずっと目を覚まさないままだ。

<続く>


現実世界のスザクの話を、ちょっと書いてみたかったので。