アインシュタインは、有名な相対性理論で、まず光と時間、空間の関係を明らかにしました。それは私たちが、普段当たり前に感じるのとは違っていて、光の速さは何があってもどんな状態にある誰にとっても変わることはなく、同じなのです。光の速さは、一秒に約30万キロメートル。地球をだいたい7周回半する距離です。実際はありえないですが、たとえば秒速20万キロメートルの乗り物で移動しても、そこから見る光の速さは約30万キロメートル。それを横から見ている人がいたとすると、秒速20万キロメートルの乗り物と、乗組員は長さが縮んで、さらにスローに見えるのです。つまり、時間や空間は、光の速さに対して、そのおかれた状態によって十人十色、人それぞれということです。つまり時間の進み具合や、空間の広さは時と場合によって違うってことですね。不思議ですけど…。でも当の本人は、まわりの環境みたいなのとセットで変化するので、横から客観的に見ないとわからないのです。短くいうと時間と空間は相対的に変化して、片や光は絶対的なのですね。
これは、それまでの物理の考え方とは全然違っています。中でもニュートンが重力を中心にしてまとめた歴史的な一冊「プリンキピア」の考え方は、時間、空間は絶対に変化しないで存在して、そこを舞台に、物質やエネルギーというものが、それぞれ総量においては変化せずにそれぞれ法則にのっとって運動するはずでした。そしてこれは、普通に私たちの感性にも合っていると思います。
しかし、それから200年ほど後に、光に関する見方を変えなくてはならない実験結果がもたらされたのです。マイケルソン・モーレイの実験がそれです。当時は光は波であるとする見方が優勢で、波であるならば、それを伝える物質がなくてはならないと考え、宇宙はエーテルという物質で満たされているとされていました。そして、われわれの地球はその中を、人間の日常的な感覚からすれば、たいへんなスピードで移動しているのです。それならば、波である光は、その速さを測った場合、地球の進行方向に向かう光と、進行方向とは垂直の向きに向かう光では違いが出るはずです。そのための正確な実験が、マイケルソン・モーレイの実験です。そして、その結果は、全く速さは違わなかったのでした。この結果から、オランダの物理学者ローレンツは、、ローレンツ変換という、進行方向に対して物体が収縮するという仮説を考えたのです。
このローレンツ変換は、実験の結果を正しく説明するものではなかったのですが、相対性理論のひとつの複線となったのでした。
光の速度と時間、空間の関係に対する理論である特殊相対性理論は、空間(正確には時間も一緒になった時空といいます。)のなかに、何も存在しないような特殊な状態のときで、普通私たちに身の回りには、いろいろものが存在しています。
中でも星やなんかは、とっても大きくて重たいので、引き付ける力である、重力が無視できないのです。アインシュタインは重力というのは、空間(ホントは時空)が曲がっていることで起こると考えたのです。人間の力では、直接見ることはできませんが、後ほどイギリスの探検隊は、皆既日食のとき、本来は太陽の影で見えない星が、太陽の巨大な質量によって曲げられた空間のために見えることを確認して、世界を驚かせたのでありました。こちらが一般相対性理論です。
というようなところで、難しいし、長い話になりそうなので、つづく…