トライデント ( Trident ) はアメリカのロッキード社が開発した潜水艦発射弾道ミサイル (SLBM) 。
アメリカ海軍では艦隊弾道ミサイル ( FBM:Fleet Ballistic Missile ) とも呼ばれる。
仕様が異なる " トライデント I " と " トライデント II " がある。
(トライデント (ミサイル) - Wikipedia)
ssp About - Strategic Systems Programs Facts
トライデントI(またはトライデントC4)はポセイドンC3の後継として開発された。制式名称UGM-96A。
開発の経緯 [編集]ポセイドンC3はSLBMとしてはじめて個別誘導の多弾頭 (MIRV) を実用化したが、その代わり射程は要求を満たすものではなかったためトライデントC4は射程延長を最重要項目とし、1971年頃より開発が開始された。初の試射は1977年、部隊配備は1979年から開始された。
トライデントにはポセイドンの射程延伸を目指して開発されたC-4(UGM-96 Trident-I)と、能力向上型のD-5(UGM-133 Trident-II)のバージョンがある。いずれも固体三段式ミサイルである。C-4はラファイエット級とオハイオ級前期建造艦8隻に搭載され、D-5は後期建造艦10隻に搭載されて運用されている。D-5はC-4に比べて射程が大きく延伸し、天測による命中精度の向上や、搭載能力の向上による大型大威力の核弾頭によって硬化サイロを攻撃することが可能になった。このため報復だけでは無く先制攻撃にも使用できる核兵器となった。冷戦が激化した1980年代にあってトライデントの登場は当時のソ連にとって「アメリカの挑発」と受け取られていた。
性能と特徴
トライデントC4は射程延長が最重要ではあったがラファイエット級などのポセイドンC3を使用している戦略ミサイル原潜への搭載が考慮されていたためサイズを大型化することによって射程増加をさせることはできなかった。
そのためまず弾頭数をポセイドンC3では14発までつめたものをトライデントC4では8発に減らした。ただし弾頭自体の威力はポセイドンC3が核出力50 ktのW68だったのに対しトライデントC4では核出力100 ktのW76となっている。
またポセイドンC3では1段目と2段目が燃え尽きる寸前時にはロケットモーターの微妙な推力の違いによる速度のばらつきを抑えるため所定の速度まで達した時点でガスを前方に噴出し速度の増加を防いでいたがトライデントC4では完全に燃え尽きるまで使用することとした。ロケット自体もポセイドンC3から1段増やし3段(制御用を含め4段)とした。
その他にトライデントC4では発射後先端からエアロスパイクと呼ばれる突起が出ることによりブースト段階での空気抵抗を減らし射程の延長に一役買っている。
スペック [編集]全長:10.36 m
直径:1.88 m
発射重量:33,113 kg
弾頭:W76搭載Mk4再突入体 (100 kt)
弾頭数:最大8発
射程:4,000海里以上(約7,400 km)
誘導方式:慣性+天測航法
推進方式:3段式固体燃料ロケット
CEP:380 m
搭載艦:ラファイエット級、オハイオ級(1~8番艦)他
トライデント II
トライデントIIの内部構造
トライデントII(またはトライデントD5)はトライデントC4を大型化することにより射程の更なる増加を狙うとともに命中精度の上昇も考慮し開発された。正式名称はUGM-133A。
開発の経緯
トライデントC4は射程が重要視されていたもののサイズに制限があったためICBMに比べれば若干劣る面があったが、トライデントD5ではサイズの制限を緩めることによりICBM並みの射程と同時に命中率の向上も目指した。トライデントC4改良型の構想自体は1970年代からもあったが、空軍のMX開発計画との絡みもあり実用化は遅れ、部隊配備開始は1990年のことである。
性能と特徴 [編集]トライデントD5は基本的形状はほぼトライデントC4と同様だが重量は倍近くになっており弾頭数もトライデントC4では最大8発だったのに対しトライデントD5はポセイドンC3と同じ14発になっている。弾頭の威力も増加しておりトライデントC4では核出力100 ktのW76だったのに対しトライデントD5では核出力475 ktのW88を搭載可能である。なお現在弾頭の搭載数は第一次戦略兵器削減条約(START I)との関係から8発前後に抑えられている。
トライデントD5は大型化したことにより射程は約6,000海里(約11,000km)でトライデントC4の約1.5倍、アメリカが保有するICBMで一番射程が長いミニットマンIIIの1割減程度となっており太平洋、大西洋、インド洋のほぼどこからでも旧ソ連圏を射程に収めることができる。
CEPは90m前後と言われており、こちらはICBMで最高クラスの命中精度を誇るピースキーパーとほぼ同様の値で、これほど命中精度が高いと単に報復攻撃として都市を攻撃するだけではなく敵ICBMサイロの攻撃などにも使用が可能である。さらにGPSを併用し命中精度を高める計画もあり実際の実験も行われたが、現在のところ実用化はされていない。
搭載艦 [編集]トライデントD5はアメリカの戦略ミサイル原潜ではオハイオ級の9番艦以降に装備されたが、5番艦~8番艦も改修を行ない近い将来に搭載が予定されている。
またトライデントD5はアメリカのオハイオ級のみではなくイギリスのヴァンガード級にも搭載されている。ただしヴァンガード級に搭載されているトライデントD5の核弾頭はイギリス国産となっている。
スペック
全長:13.41 m
直径:2.11 m
発射重量:58,968 kg
弾頭:W76搭載Mk4再突入体 (核出力100 kt)またはW88搭載Mk5再突入体 (核出力475 kt)
弾頭数:最大14発
射程(公表値):4,000海里以上(約7,400 km)
射程(推定値):6,000海里以上(約11,112 km)
誘導方式:慣性+天測
推進方式: 3段式固体燃料ロケット
CEP:90 ~ 120 m
搭載艦:オハイオ級(9~18番艦)、ヴァンガード級(イギリス)
( 基本的にデータは、Wikipedia に依拠しているが、今後適宜に 【岩水】 にて改訂する場合がある。)
日本のミサイル開発