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傷つけない自己開示

2021-03-17 | 仕事

自己開示は、人間関係をより良い方向に導くための会話術です。
今も昔も、人間関係で悩む人は後を絶ちません。

その原因は様々ですが、多くのケースに共通する要因の一つに、他人の言葉に傷ついた、または自分の何気ない発言が他人を傷つけてしまったということがあります。
人間関係には時として、何気なく発した一言が、「そんなつもりはなかったのに…」という伝わり方をしてしまい、関係がぎくしゃくすることが起きたりします。
それどころか、ほんの些細な誤解が、やがて互いに憎しみ合ってしまう関係に発展することさえあるのです。

そこで、今回紹介するのは、「傷つけない自己開示」です。
“傷つけない”というのは、自分も、相手もという意味です。

【傷つけない自己開示】

春は新しい出会いの季節です。
新境地でスタートする人や、人事異動や転職で新しい職場に移る人、そして新入社員として社会人の一歩を踏み出す人など、これから新たな関係を築いてゆく人も多いと思います。
「傷つけない自己開示」は、文字通り傷つきやすい人はもちろん、些細なことが気になってしまう人や、人一倍気を遣う人などにぜひ実践してほしい会話術です。

一方で、自分は大らかで何でも受け流す方なので傷ついたりしない。という人でも、知らないうちに他人を傷つけてしまうこともあるかもしれないので、できれば試してほしいと思います

早めに自己開示すると後が楽になる「NG情報」

前回事例紹介をした Aさんのケースのように、「最初に言っておけばよかったのに…」という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

「傷つけない自己開示」とは、相手の言動によって自分が怒ったり傷いたりしないように、そして自分の言動によって意図せずとも相手を怒らせたり傷つけたりしないように、できるだけ早い段階から自分の「NG情報」を相手に自己開示したり、相手のそれを上手に聞き出したりして、互いに“地雷”を踏まないような関係性を築くための会話術です。

事例のAさんの場合は「飲み会は嫌い、苦手」というのがNG情報でした。
しかし、それを上司に伝えるタイミングを逸したことで、やがて会社を辞めようとまで思い詰めることになったのです。
では皆さんは、自身のNG情報を、きちんと言語化できていますか?

なぜ言語化する必要があるのかというと、NGかどうかの基準が人によって違うため、言葉にして伝えなければ分かってもらえないからです。
私たちは、それぞれ異なる価値観を持っているため、NG情報にも個性があります。
Aさんの上司のように、飲み会に誘うことを良かれと思っていても、AさんにはNGだった、なんてことはよくあることです。
しかも、出会って間もない相手ならなおさらです。相手がどんな価値観を持っているのかなど知る由もありません。
それだけに、互いのNG情報を早い段階で知ることは、実は良い関係を築くための近道にもなるのです。
では、実際にどのようにして互いのNG情報を伝えたり聞き出したりするのでしょうか。

「返報性の原理」を利用した会話術(基礎編)

自己開示には、返報性の原理がはたらくと言われています。

例えば、「私は蜘蛛が恐いのですが、何か恐いものってありますか?」と質問すると、「私は蜂が恐いんです。」などという会話がそれに当たります。
このように、まず自分の個人情報を自己開示すると、相手もそれに見合う情を返したくなる心理がはたらきます。
これを“返報性の原理”といいます。

返報性の原理を使うメリットとしては、まず相手の情報を聞き出しやすくする点です。
いきなり、「恐いものは何ですか?」などと質問するより、私は蜘蛛が恐いのですが…という自己開示を入れることで、答えてくれる確率は格段に上がります。
また、普段では聞き難い相手のNG情報も、返報性の原理を上手く使えば、聞き出しやすくなります。

そして、返報性の原理を使うもう一つのメリットは、互いの距離感を縮めるという点です。
例のように、互いに恐いものを知った二人は、少なくとも相手に蜂や蜘蛛を連想させるような話題は避けるようになります。
さらに、恐いものというネガティブな個人情報を開示することで、“貴方を信用しています”という隠れたメッセージが伝わり、互いの距離感も縮まるという効果もあります。

返報性の原理を利用した会話術(上級編)

例えば前述の例を、「あまり知られたくないのですが、実は私は知妹が恐いんです。何か恐いものってあります?」と質問に変えたらどうでしょうか。
こんな風に質問された相手は、高い確率で、「実は、私は蜂が恐いんですが、あまり公言してません。」などと、まるで秘密を明かすような物言いになるのです。

このように、秘密を明かすような前置きを入れることで、“貴方は特別”という隠れたメッセージが加わり、相手に親近感を抱かせる効果も期待できます。
人は、秘密を明かしてくれる相手を信用しやすくなるものです。
なので、好意を抱いている人と親しくなりたい時は、「○○さんには知っておいてほしいのですが…」とか「○○さんなら話せるけど…」などと前置きすると、特別感はさらに高まります。

以上のように、返報性の原理をよく理解した上で自己開示を使いこなすことが出来るようになると、相手から様々な情報を得やすくなるだけでなく、信頼関係も深めることが出来るので、当然ながら互いに傷つくことはなくなるという訳です。

ぜひ実践してみてください。

次回は「人付き合いの自己開示」というお話です。