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趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

「無理」奥田英朗

2009年11月25日 | 
前作『オリンピックの身代金』に次いで
500ページを越す大作です。

市町村の合併でできた地方都市‘ゆめの市’。
そんな‘ゆめの’に暮らす
5人の男女の群像劇です。
この5人の描写がとても丁寧で、イイと思いました。
一人一人が浮き上がるように描かれていて
物語にすっと入り込んでしまうのです。
ですからどんどん読んでしまいます。

ただ、この5人はそれぞれ別の話になっているので
誰の話か、どこでつながるのか
確認しながら読まないと
ちょっと混乱してしまいました。

最近はどこへ行っても似たような感じの
地方都市。
国道沿いに建ち並ぶファミリーレストラン
パチンコ店、ゲームセンター、シネコン
洋服雑貨のチェーン店、大型スーパーなどなど。
車がないと生活できない感じですよね~

反対に駅前や地元の商店街はさびれる一方で
路線バスはどこも赤字で
車を持たない、持てない世帯や
お年寄りの生活はますます不便になっていく・・・。

それと、一度脱落してしまった若者達の
居場所の無さ。
やり直したい、生活を改めたい、人並みの生活に戻りたい
などと願っても、受け入れてくれる場所も
やり直しを手助けする人もいない現実。
これにはなんともやり切れない閉塞感に襲われてしまいました。
でも、それは紛れも無く現実に起きていることなのです。

役所の人間達はどうすれば良かったのか。
政治を志すには何が大切だったのか。

自分よりも弱い立場の者を
操り、罵ることで保たれるプライド。
読み進むうちにどんどんどんどん
閉塞感が充満していく・・・。

八方塞りの‘無理’がやがて炸裂する。
結末に賛否が分かれそうですが
ひょっとして、これが一番なのかも、と思いました。。




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