趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『週末は家族』 桂 望実

2012年01月31日 | 
桂望実さんの新刊は、せつない物語でした。
でも、せつなさの中に、希望を持つ物語でした。


大輔と瑞穂夫婦は、児童養護施設に暮らす小学生のひなたを
週末だけ里親として預かることにする。
訳あり夫婦と親に捨てられた子どもが、それぞれ描く‘家族’というもの・・・。

年を重ねてくると、だんだんと常識とされているような事に
疑いの目を向けるようになるので、
この物語の中に描かれる事がそれほど特別な感じは受けませんでした。

離婚も増えて、子どもの環境は驚くほど変わってしまいました。
血のつながりというものが、どれほどのものなのか
なんだか怪しく思えます。
家族の形は、これからもっと変わっていくだろうと思います。

強く思ったことは、子どもの感性の正しさということ。
‘正しい’なんて最近では廃れてしまった、怪しい言葉ですが、
私は子どもの持つ感性の鋭さは、まず間違いないと思っています。

ただ、子ども達はそれと自覚しないのです。
たとえ気付いても、それを表現する術を持たない。

どんな形の家族であっても、それは問わないけれども、
少なくとも一緒にいる事が幸せに繋がるなら、きっとそれは正しいのだ。
できれば子どもが、もうこれ以上傷つかないですむように願ってやみません。。



全豪オープンテニス終わる!

2012年01月30日 | テニス
全豪オープンテニス最終日は29日、男子シングルス決勝が行われました。

第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)対


第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)


試合時間は5時間53分で、4大大会決勝記録を塗り替え過去最長!!

ジョコビッチが5―7、6―4、6―2、6―7、7―5で激闘を競り勝ち、
2年連続3度目の優勝を果たしました。



試合の模様は、昨日29日深夜にNHK総合テレビで放送されました。
お陰で激闘の様子が見られて、本当に良かったです。

ここ最近は2位のナダルが、1位のジョコビッチに7連敗中なのです。
ですから、この決勝戦心配していたのです。
負けてしまいましたが、どちらが勝ってもおかしくない内容でした。
ジョコビッチは強かったですが、ナダルも負けていませんでした。

試合後ナダルが「今までの選手生活で、幸せを感じる負けの一つだ。」と
話していたのがとてもとても印象深いです。

個人的には私は、ロジャー・フェデラー(スイス)の大ファンなのです。

残念ながら、準決勝でナダルに負けてしまいましたが、
今年は順調な勝ち上がりで、ナダルに勝つのではないかと期待していたのです。

ナダルは本当にフェデラーに強いのです。
私はこの2人の試合がもっとも好きです。
2人の良さが際立つような、芸術的な試合だと思うのです。
また2人の試合が、しかも決勝戦で観たいな~

女子のシングルスは、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)選手が
マリア・シャラポア選手に勝ち、4大大会初優勝しました。


4大大会初優勝は、とりわけうれしい事でしょうね~
今日発表になったランキングも、1位になりました。

今回大活躍で注目を集めた、錦織圭選手はランキング20位に躍進しました!
すごいなぁ・・・・・・・・
次は全仏ですね~
孤独な戦いはまだ始まったばかり。。



覚悟ということ。

2012年01月27日 | テレビ
NHKの朝ドラ「カーネーション」楽しみに観ています。
尾野真千子さんいいですね~
尾野さん演じる小原糸子が、躍動しています。

物語は今、最も難しい局面を迎えています。
この部分をどのように見せるのか、とても興味がありました。
ヒロインはあくまで王道を歩かせたいだろうし・・・。

脚本も、演出もいいですね~
ようするに別宅を持つことになるのだけれど、
糸子の、腹の据わった覚悟がいいと思いました。

どんなに道理を説かれても、気持ちは嘘をつけません。
そういう不条理を自分自身の中に受け止める、
受け入れていく、覚悟。
ここが尾野さん演じる、糸子のいいところだと思いました。

もう一つ、心に残ったところ・・・
糸子と同級生の、栗山千明さん演じる奈津との関係。
顔を合わせば憎まれ口ばかりの2人が、
お互いの危機を、お互いが全力で助けていこうとする・・・。
幼馴染の勘助の母親との関わりも、とても良かったです。

自分の身の回りに起きたことを、何かのせいにしたりしないで
自分自身の中に引き受けていく‘覚悟’を持ちたいと、
糸子に教えられたように思います。。



スタイル

2012年01月26日 | つぶやき
二胡を練習していて思ったのですが、
体格や手や指の大きさ、太さ、力の強さなどなどと、
個別の個体差というものを案外配慮せずに同じことをしようとしてしまいます。

それは二胡に限らず、テニスやスキーでもなんでも、
練習して上達していく物は、指導者や上級者のスタイルを真似ようとします。
そして、同じようにすることを求められますよね~

これって日本人特有の物なのかしら・・・。
真似上手ですしね。

私自身、テニスの教則DVDを見てラケットの振りを真似ようとしたり、
スキーなど、上手な人の滑りを真似ようとしたり、
また回りの人たちから、こういう風にしなきゃダメと注意されたり、
指摘されたり・・・。

でも、やっている時には身体が自然と動いているので
なかなか思うように意識的に変えようとするのは難しいのです。
無理やり変えようとすると、動きがぎくしゃくして、
ロボットみたいになってしまうし・・・。

一番いいのは、何度やっても身体に力の入らないリラックスした状態です。
どこにも余計な力が入っていないパフォーマンスは、
予想外の力を発揮して、上達を促すのです。
ああ、わかっちゃいるけど・・・なかなかなかなか力が抜けないのです。

これって、スポーツや習い事に限らず、生き方にも通じてる気がするのです。
自分の気に入った事しか、長続きしませんよね。
いくら健康のために良くても、いくら勉強や仕事のためだとしても、
ちょっとやってみて気に入らないと、すぐ止めてしまいませんか。

どんなにこうしていこう、と強く決意しても、
その事が喜びや好きなことに繋がらなければ、続かないと思うのです。
反対に言えば、ほっといてもやる事、ずっと続いている事というのは、
本当にその人に合った好きなものだということですね~
そして、それこそがその人のスタイルなんじゃないかと、思ったのです。

何を、どう選ぶか、どういうパフォーマンスをするのか、
それって自分自身のウチから生まれ出てくるものなのかもしれません。。

ざんねん!

2012年01月25日 | テニス
全豪オープンテニスで8強入りして注目を集める錦織圭選手、
男子シングルス準々決勝で、第4シードのアンディ・マリー(英)選手に
負けてしまいました~



3―6、3―6、1―6のストレート負けでした。
マレー選手は、強かったです。

でも、錦織選手は、ボールをひろいまくって、果敢に攻めていました。
格上選手を相手に、ひるむことなく。
ショットも、攻め方も多彩で、見ていてこれまでとは全く違うと思いました。

でも、マレー選手はその上をいくのです。
やはり、トップ4の選手は違いますね~
それでも、マレー選手自身、4大大会では準優勝までで
トップ3の選手を前に、何度も涙をのんでいるのですから。

世界の壁は厚いけれど、等しく挑戦する者を受け入れてくれる・・・。
確実にレベルアップしている錦織選手、目標に向かって頑張って!!

錦織圭VSアンディ・マレー

2012年01月24日 | テニス
全豪オープンテニスの準々決勝、
明日の錦織圭選手の試合が、NHK総合テレビで生中継されるそうです!!

明日25日13時05分からだそうです。

テニス仲間にメールで知らせたのですが、
知らない人ばかりでしたので、ブログでもお知らせする事にしました。

リアルタイムで見られなくても、録画予約できればうれしいですよね!!

がんばれ錦織選手!!!

『呪いの時代』 内田 樹

2012年01月24日 | 
わりと早くに購入していた内田先生の本ですが、
図書館の予約本に埋もれていました~



この本、ソフトカバーで手に取った感じがしっくりくるので好きです。
内田先生の本は、こういった装丁が多い気がしますね。
表紙は、南伸坊さん。
とてもシンプル極まりなくて、とてもらしい、です。
内田ファンには馴染みでも、‘呪い’のフレーズは強烈ですもの。

とりわけ、‘呪い’関係はとても興味深くて、
すぐにでも読みたいと思っていました。
実はこの本と一緒に買った本もまだ読めていないのです。
読みたくて読みたくて、しょうがない本なのに・・・。
図書館の本との兼ね合いが、難しいです。
今年は少し読み方を考え直そうかな、なんて思ったりしています。

さて、この『呪いの時代』は、
内田先生の呪い集大成という印象を持ちました。
今までより、よりその間口を広げて
あらゆる角度や場面においての‘呪詛’というものの正体を探る・・・。

ああ、もっともっと身近であちこちに見られるものだったのだ、と
愕然としました。
そして、こんな風に紐解いてもらわないと、
とてもとても分かりずらいものなのだという事が、分かった次第。
まだまだ理解するまで時間がかかりそうです。

一つ、心に留めたいことは、
自分を割る、分割するということ。
この部分に、最も共感して、なんて上手い表現なんだと思ってしまいました。
そう、どこか一片に共感する部分が見つかればうまくやれると思います。
自分以外の人と折り合いをつけていくという方法ですね。
自分のダメ子な所も含めて、自分を受け入れてやる・・・。
くれぐれも自分自身に呪いをかけてはいけないと、心に誓いました。。

錦織選手全豪8強進出!

2012年01月23日 | テニス
別の記事を予定していたのですが、gooのトップニュースを見て変更しました!
‘錦織がベスト8進出、全豪テニス’
思わず「やったー」と叫んでしまいました!!



第6シードのツォンガ選手(フランス)を
2―6、6―2、6―1、3―6、6―3のフルセットでくだし、
4大大会初の準々決勝進出を決めたのです!!!

わぁ~スゴイなぁ・・・
ホントに快挙です。
自分よりもランキングの上位の選手に勝つことはもちろんの事、
第6シードの選手に勝つなんて・・・すごすぎです!!

錦織選手、波に乗っている感じですね~
クルム伊達公子選手とのミックスダブルスも初戦突破と新聞で読みました~



2人ともお互いを「やりやすい」とたたえ合い、今後が楽しみな感じです。

さて、錦織選手の準々決勝の相手は、マレー選手(イギリス)。
ランキング4位で、第4シードの選手です。
マレーは、昨年10月に有明コロシアムで行われた、
‘楽天オープン’の決勝で第1シードのナダルに勝って優勝しました。
兄弟で組んだダブルスでも優勝を飾りましたね~

でも、挑んでいくのが錦織選手。
タフな試合になる事は充分承知していることでしょう。
錦織圭選手、ベストを尽くして!!!


全豪オープンテニス2012

2012年01月20日 | テニス
16日、オーストラリアのメルボルンで全豪オープンテニスが開幕しました。
大会初日に登場したのは、女子シングルス一回戦の
クルム伊達公子選手と森田あゆみ選手。



残念ながら、2人とも初戦敗退・・・
でも、森田選手は、藤原里香選手と女子ダブルスに出場して、一回戦勝ちましたよ!
藤原選手は、昨年の全日本女子シングルス優勝しましたね~
有明コロシアムで観戦して、サインもらっちゃいました!
二回戦も頑張って欲しいなぁ~

男子シングルスには、第24シードの錦織圭選手と伊藤竜馬選手が出場しています。


錦織選手は最近の活躍が目覚しくて、ランキングが急上昇しましたね。
グランドスラムのシード選手なんて、スゴイです!!
ああ、映像見たいなぁ・・・。

伊藤選手は、大会の主催者推薦で初めて全豪オープン本戦の舞台に臨み、
初戦突破しましたよ~
これはスゴイなぁ・・・
二回戦は逆転負けを喫したとの報が・・・ストレート負けでないのが、
なんとも頼もしいです。
伊藤選手も昨年の全日本選手権の準決勝を観戦して、サインもらっちゃいました!
さわやかな笑顔が印象に残っています。

錦織選手は二回戦も勝ちました!!
日本人選手の活躍が、ニュースで流れないのがとても残念です。
少しでもその勇姿が見られるといいのに。

そしてまた、びっくりニュースが飛び込んできました。
ミックスダブルスにクルム伊達選手と錦織選手が出場することが決まったそうです。
これはホントに楽しみです!!
伊達選手は、女子ダブルスも負けてしまったので、
是非ともこのミックスダブルス頑張って欲しいです!!


『誰かの木琴』 井上荒野

2012年01月19日 | 
井上荒野さんの新刊読みました~
井上さんも、このところ続けて本を出されていますね。
新作が出ると迷わず手に取ってしまう作家ですが、
一筋縄ではいかない、というか、
予定調和と対極をゆく、というか
毎回違う側面を見せてくれるのが楽しみであります。



帯に‘ストーカー’の文字が・・・。
井上さんで、ストーカーときたら、
不穏な雰囲気全開で、どろどろ泥沼を想像していたのです。
ですから、こわごわ手に取る、という感じでした。

確かに主人公の小夜子は、普通の主婦という感じだし、
取り立てるような特別感は無いのです。
夫婦仲も悪くなさそうだし、一人娘も思春期真っ只中で、
どこにも見られるような3人家族の平凡な生活なのです。

それが、どうしてストーカーへと突き進んでいくのか???

読みながら、これは決して特別な事ではないのだと感じていました。
最初の曲がり角、またいだハードルはけして高くはないから。
ふ~ん・・・・・・・。

長い物語ではないので、あっという間に読めてしまいますが、
お陰で何度も読み返してしまいました。
自分の中で、納得しない何かを探していたのです。

そして、ようやく見つけることができました。
寂しさ、というものを本当に自覚するというのは難しいのかもしれません。
「寂しい」と声に出す事ができる人間は、もしかしたら
小夜子よりも幸せなのかもしれないと、そんな風に思いました。。

『マスカレード・ホテル』 東野圭吾

2012年01月18日 | 
東野圭吾さんの新刊、図書館の予約がやっと回ってきました。
東野さんは精力的にたくさん本を出されていますね~
しかもどれもよく売れているようで、ランキングにいつも何某か入っています。



題名のマスカレードとは、仮面舞踏会のことだそうです。
ホテルが舞台なので、そういう名前のホテルなのかと思ったら、
そうではありませんでした。

物語の舞台となるのは、ホテル・コルテシア東京。
このホテルで殺人事件が起こる可能性があるということで、
警察職員が、ホテル従業員に扮して潜入捜査と警戒に当たるというもの。

一番面白いと思ったのは、
職業による他人への見方の違いというものです。
ここでは、警察官とホテルマンとの違いなのですが、
同じ人間を目の前にして、その人となりの印象の違いが際立つのです。

そして、それは人間の見方のみならず、
ことの大小に関わらず起きた事象に対する印象そのものに微妙な違いが。
そこが面白いと感じました。

なんでも一方的な見方だけでは、片手落ちなのだと痛感しました。
個人的なものの見方の偏りや、あいまいさが、
複数の、しかもその道のプロの人たちの目が集まる事によって
見えない輪郭がだんだんと浮かび上がってくるのです。

それにしてもホテルに集まる人間の多種多様さといったら・・・・
それぞれのエピソードだけで、物語一冊できてしまいそうです。

最近の東野さんの作品は、何故だか人生にまつわるドラマチックな面が
印象に強く感じます。
そこに謎解きがからみ、どんどん読ませてしまうのです。
そのドラマ性故に、映画化、ドラマ化が多いのかもしれないと思いました。。






『銀色の絆』 雫井脩介

2012年01月16日 | 
何だか久しぶりな感じがする雫井脩介さんの、新刊読みました。
前作は、『つばさものがたり』だったのですね~

この、『銀色の絆』は、フィギュアスケートの物語です。

ちょっとリッチな習い事が、人生の目標に変わっていく母と娘の物語です。

もしも我が子に隠れた才能があると言われたら・・・・
その才能を伸ばしてやりたいと思うのが、親心というもの。
しだいにその特殊な世界にのめりこんでいく姿を、見せてくれます。

雫井脩介さんは、物語をつぐむのが上手いと思いました。
何となくどんどん読めてしまい、物語にすんなり入り込んでしまうのです。

特に実在する選手達の顔を思い出すほど、リアルに描かれていて、
フィギュアスケートファンにはたまらないだろうな、と思いました。

スポーツの世界は何でも厳しさが付き物ですが、
フィギュアの世界は、華やかさが格段に違う気がしますよね。
それを支えるには、何と言ってもお金が掛かるわけで、
そして、それはお金だけではだめだということが、読んでいるとよくわかるのです。

子どもの才能を伸ばしていく事の意味や、意義を考えてしまいました。
それはオリンピックを目指す事ほど大きくなくても、
受験やスポーツクラブ、音楽教室などなど、
身近なところでも悩める親子の姿と重なりそうです。

そういう意味で、母の成長の物語でもありました。。

二胡日誌 3

2012年01月12日 | 音楽
今年初のレッスン行って来ました~
年末にお休みがあったので、ちょっと間が空いてしまいました。
お正月、しっかり練習してね、と先生から言われていたのになぁ・・・^^;

まずいまずいと、前日になって必死に練習!!
もうすっかり忘れちゃったかと思ったら、
意外や意外、ドレミの音階覚えていました♪

何でもすぐ忘れてしまうお年頃ですが、身体が覚えた事って忘れないのですね~
繰り返し練習した事は、ちゃんと記憶してくれるみたいです。

そうなると、俄然楽しくなります。
練習すればしただけ、上達するのって楽しい!!

レッスンでも成果が少しは表れて、ほめられちゃいました^^

ほめられるのって、いくつになってもうれしいものですね。
もう、樹でもウチでもビルでも登っちゃいます!!

練習曲と、「エーデルワイス」をやりました~
「エーデルワイス」は、2人の先輩が練習しているのです。
とても優雅な美しい音色で、しかも知っている曲を練習するというのは、
モチベーションがいやでも上るのです。

先輩2人は、一年ほど早く始められたので、
私は少しでも追いつきたいと願っているのです。

ロングトーンが美しい曲で、練習が楽しいです。
でもでも、それは先生のように濁りの無いキレイな音を出せるから。
私はまだまだまだまだまだだね~という感じです。

地道な練習が、やっぱり大切。。

『ジェノサイド』 高野和明

2012年01月11日 | 
新聞や書評記事で話題となっていた、高野和明さんの『ジェノサイド』
読みました~

実は、昨年末になってやっと図書館の予約の順番が来たのです。
貸し出し期間はお休みが入るので、少し長いのですが、
年末年始は何かと忙しくて、読めるかなぁと心配でした。

でも、そんな心配は杞憂でした。
物語の壮大さに、ストーリーの面白さに、すぐに惹き込まれてしまったのです。



ただ、読み進めるのに少し時間がかかりました。
何故なら、生物の進化論や創薬化学の記載がとても専門的で
丁寧に読まないと、なかなか理解できなかったのです。

それでも、それを苦にしないほど、物語のスケールが大きく、
身近なところで、あるいは世界の彼方で、
本当に起こっている様な、本当に起きた事件のように感じてしまうほど
リアリティに満ちています。

物語の舞台は、日本、アメリカ、コンゴ。
それぞれの地で、同時軸に計画は進む・・・ある大きな目的のために。

物事の背後には、また違う様相が見え隠れしたり、
大事な意思決定の原動力が、一個人のエゴであったり、
ダークサイドに落ち込みそうな気配の中で、
懸命に生きる人々を、描いて見せてくれるのです。

ただ、描かれるジェノサイドの描写は、読むのがとても苦しかったです。
それが追い詰められた人間の姿なのだとしても、
あまりに哀し過ぎるものでした。

読み終わったときに、とても疲れていました。
何故なら、この壮大な物語の中に、大切なものがたくさん詰まっていたから。
どこにスポットをあてるかによって
物語の見え方や、様相が違って見え、いくつもの事を考えてしまいました。

もう少し時間が経てば、考えがまとまるかもしれないと思いました。。


映画「一枚のハガキ」

2012年01月10日 | 映画
今年初めて映画館で観た映画は、「一枚のハガキ」です。
この映画は、昨年夏から順次公開されていました。
年明けに、近くで公開されると知って楽しみに待っていました。



撮影当時98歳という日本最高齢監督の新藤兼人さんが、
自らの実体験をもとに、引退作として製作した戦争ドラマです。

太平洋戦争末期に徴集された100人の兵士のうち、
94人が戦死し6人だけが生きて帰ったという。
その生死を分けたのは、
上官が彼らの赴任先を決めるために引いた“くじ”だった―

人の運命がくじによって決まり、
兵士の死は働き手を失った家族の、その後の人生をも破滅に向かわせる。
なんともやるせない‘不運’というものの言葉の軽さと、痛み。
演じるベテラン俳優達の瞳から、哀しみがほとばしる・・・。

新藤監督が自身を投影させた主人公役の豊川悦司さん、
愛する人を次々に亡くし、戦争への憎しみを生きる力にする女性を演じた
大竹しのぶのさんの熱演が、まるで舞台を見るようでした。。