メタ・マテリアル

今日は科学の話である。

メタ・マテリアルというのは准物質とでも訳すのだろうか、自然界に存在しない人工的物質で、自然界にはない物質の特徴を持っているもののことである。

現在研究されているものは、負の屈折率、負の誘電率、負の透磁率といった性質をもつものである。光や電磁波の方向を予想外に曲げてしまうので、米国国防省などではこれを利用して本当に見えないミサイルなどが作れるのではないかと研究しているようである。

私がメタ・マテリアルに興味を持っているのは、私の専門の無線通信の分野でメタ・マテリアル・アンテナというのが実用化されてきているからである。最近の無線通信は進歩が速く端末に複数のアンテナを搭載することが要求されてきている。

ところが携帯電話のような端末は大きさが小さい一方で、アンテナはある程度の大きさが無いと電波を集められない。またアンテナ同士が近すぎると別々のアンテナとして機能しない、など小さいことから来る制約が問題となってきている。

メタ・マテリアルはこのような問題を解決できるかもしれないと注目を集めている。

無線通信はここ10年くらいで急速に進歩して、もうほとんどのことはやりつくしたという技術の成熟期を迎えている印象がある。従来の通信技術ではなく、このような画期的なアンテナから次の無線通信の視界が開けるかもしれないと思っている。