吉田一氣の熊本霊ライン 神霊界の世界とその源流

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アニミズムとトイレの神様 No232

2011-02-19 00:59:46 | 日記
日本人が持つアニミズムは自然神への信仰が基となって
八百万の神々を生み出すに至ったが、
西洋の一神教の人間に言わせると
多神教は未開人の幼稚な思考が生み出した幻想ということらしい。

心理学的には幼児は自分と他者との間の区別において
あくまで自分を中心として投影された世界を観ている。
『分離不安』という心理学用語があるが
幼児は最初は母親と自分を最初区別出来ていない。
母と子は胎内で成長し胎児の状態から出産後に分離される。
しかしながら生まれ出ても残っている胎内感覚から
まだ母親との一体感を持っている。
しかしじきに「母親」が自分とは別個の存在となったことに
気づいて不安を覚えはじめる。
自分が引き離されるときに喪失感を感じてパニックになるのだ。
その内に目の前にいなくてもこの世に母親が存在している
ということが認識出来るようになると分離不安は自然に消失していく。
この途中で「母親」とは別の『移行対象』が必要とされる。
例えば「安心毛布」とかと呼ばれるものがそれだ。
まあ「ぬいぐるみ」であったほうが説明が早いが、
この『移行対象』であるのは生命の形である必要はないようだが、
それは「物」である必要がある。
常に自分のそばにいて自分を投影できるものである必要があるのだ。
自分の投影というと難しいが要するにその存在は絶対的な
常に手の届く範囲に存在する「母親」である。
このときに幼児はそのものに母の温もりだけでなく人格=生命を感じている。
そしてその『移行対象』と幼児とは接触と会話が成り立っている。
面白いのは『移行対象』はあくまで自分の投影なので
母親の代理のようなものだけれども母親を想定している訳ではない。
つまり絶対的孤独感からの回避行動といえる。
釈迦はこの絶対的孤独感を回避せずに向かい合ってから解脱している。
幼児はこれを回避し成長に従って忘れていく。
※『移行対象』により自分を確立出来ずに
投影を母親と切り離すことが出来ないと分離不安障害となる

ここから無機物に対して生命を感じることを
西洋人はアニミズムと呼び未開人の幼稚な思考と
考えるようになったのだが、
日本人のアニミズムは成立過程が違う。

確かに自分に理解できない自然現象を恐れて神と崇めるだけなら
未開人の幼稚な思考といえよう。
火山が爆発して雷が落ちてそこに生命を感じるのは
同じだとしてもそこから発生した太古の原始的な信仰が
単に今に繋がっているという訳ではない。

火風水土の自然神信仰から発生するカマドの神様などは除いて
例えば「トイレの神様」はどうやって発生したのであろうか?

神道の原初的な話にもなるのだが、
アニミズムから即、多神教になったのではなく
まずは自然現象の観察から始まっている。
一般的な西洋人は焼き物であれば磁器の値打ちは分かるであろう。
しかし陶器は分からないであろう。
なぜなら陶器は育て上げるものだからだ。
出来立ての陶器は使い込むことにより一国を買えるような美術品に育つ。
その際に来歴といって育て上げたのが誰かということも当然ながら重要となる。
陶器は使い込むうちに味が出てくるのだが、西洋人はこういう感覚に疎い。
例えば日本刀にしても鍛えて魂を吹き込むということの本質が分からない。
日本刀の技術は創意工夫の知恵で出来上がるものではない。
神を宿す鍛錬という行為によって成り立っている。
日本人の観察眼は無機物である物であっても
神を宿すことが出来ることを見て取ったと言える。
それは信じるものと信じないものとの違いともなった訳だ。
信じるもののみが神を宿す気持ちから業物を生み出したのだ。

農業などの自然に左右されるものだけでなく
工業も含めたものづくりを極める中で
観察し理解したものの蓄積が神道である。

こういう高度な観察眼で生活を見ていった際に
例えばお米の生産において循環があることに気付いていく。
お日様も水も風も気候も回り循環するものだ。
だとすると口に入れたものも循環すると気付く。
そこに神霊界の働きを大きく見たのである。
感謝の念はその自然界の機能に向けられる。
生産された米への感謝はもちろんのこと食べて排泄する行為も循環である。
全てに神霊の働きかけがあると本能だけではなく
観察することにより理解したのである。
それでトイレにも神霊が存在すると深く理解したという訳である。


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