この話は、知り合いのM氏が呑み屋でぼやいていた話です。
M氏はこれまでにも何回か紹介していますが、大企業に勤める技術屋のサラリーマンで、とっくに窓際族でそろそろ定年です。そのM氏が定年後の生活向上を目指して、10年ほど前から小遣い程度の金で株をやっていました。一日中パソコンに張り付いているわけにはいかないので、デイトレードではなく、スイング・トレードと言う中期的長期的に売買する取引です。
先ず手を付けたのが、日本航空でした。M氏は福岡出身であり親の介護などで福岡に行く機会が多く半額で乗れる株主優待券狙いでした。そのころ日本航空の株は買い易い値段だったので、徐々に株数を増やしていきました。ところが、ご存じのとおり日本航空は2010年に破綻してしまい、M氏は売り時を逸して結構な損をしてしまいました。
日本航空の次に買ったのが、関西電力でした。東北大震災の前です。動機は銀行預金のような安定した株を持ちたかったからです。東京電力を選ばなかったのは、関東は地震の可能性が高いのでインフラが損傷するリスクが高いと判断し、比較的地震のリスクが少ない関西電力を選びました。ところが、東北大震災が起きました。東京電力を買わなかった選択はバッチリで良かったのですが、いかんせん電力株全体が大きく下落しました。ここでも損をしました。
次に買ったのがシャープです。当時液晶テレビで有名だったし、これからもこの勢いは続くだろうという期待を込めて株を購入しました。しかし、株価のピークは購入した頃でした。シャープの最近の出来事に関しては、皆さんもご存知と思います。M氏はシャープの株価が回復する可能性は小さいと判断して、損を承知で売ってしまいました。
関西電力と同じころに買ったのが、東芝でした。東芝は家電だけではなく、インフラ事業も手掛けているので、業績は比較的安定しており株価は大ブレしないだろうと予測して株を購入しました。ところが最近のメディアを賑わしている不正会計処理の問題で、また株価が下がる羽目になりました。ただし東芝はシャープほどには下がっていないので、少し安心しているということです。
ここからがM氏のボヤキです。おれは、そんじょそこらの何をやっているかわからん、風が吹けば飛んでいくようなIT系の会社やベンチャーに投資しているわけではなく、むしろ日本を代表する大会社の株を買っているのに、何でこんなめにあうんや。こんな大きな会社が簡単に潰れたり、業績が大幅に悪化することになるんや!
M氏は自分の会社の持株会に入っていました。持株会は社員が毎月一定額を拠出して自社株を購入するシステムですが、会社を辞めると持株会も脱退しなくてはなりません。M氏は定年が近くなったので、持株会を精算したところ結構儲かったので、株の損を補ってくれたそうです。「これやったら、何も考えずに株を一定額ずつ購入した方が良かった。あほらしい!」と言っていました。
(一部関西弁になっているのは、この文を書いている私の癖です。M氏はほとんど標準語です。)
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ここからは、M氏の愚痴ではなく、私の感想です。
東芝の問題で日本の会社がおかしいとか言っている人もいますが、海外の会社でもヒドイと思います。アメリカで言えばエンロンもあったし、リーマン・ショックの元になったリーマン・ブラザースもそうだった。ヨーロッパでも、あまり日本では報道されていませんが不祥事が多い。日本だけが悪いというような言い方をしている人は、日本と欧米の比較をデータで示して欲しい。
しかし、東芝に関しては、原発事業が東北大震災に躓いた割に、業績が思ったほど悪化していなかったのは、今から思えば少し不思議な気がする。また日本航空は、業績が悪化している時に、為替で大損していたと記憶しています。大企業でも下り坂になると、やることなすこと次々と裏目になるようです。そういう時は潰れる前兆なのかもしれません。今後も、大企業はいつまでも安泰と思わない方が良いということでしょう。
2015.08.18
M氏から、おれの取引形態はスイング・トレードではない、と指摘があり訂正しました。
2015.09.06
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