エネ庁が検討中だった「新・国家エネルギー戦略」の取りまとめを終えたそうです。新・国家エネルギー戦略について(平成18年5月31日(水))
(強調byそらまめ)。そもそも今なぜこれを作っているのかとか、他の計画(エネ基本計画)との関係はとか、思い当たる節はないでもないけどアレコレ言い出すともう本当にキリがなくなるのですが、セールスポイントのはずのエネルギー安全保障を本当に重視しているのか首を傾げたくなる内容です・・・
うーん、あくまで石油ショックとの比較の問題と言われればそれまでですが、ガソリンが140円越えして「忍び寄る」危機と言えるのでしょうか? 私が今現在が最も危機的で、これから悪くなる一方だと思うのは今アメリカに住んでいるせいだけではありません。これだけ大手を振ってエネルギー不足が世界的に顕在化しているのに。全然「引き続いて」いる次元じゃないよ、と思うのは私だけ? 一応石油生産ピーク論にも触れていますが(p6-7)、
ここでいう悲観的なシナリオは以降完全に無視しているように見えます。杞憂なのなら拘泥する必要はありませんが、一般論として可能性に応じた対応ミックス・バランス配分というのはあるハズじゃないの? もっと愕然とするのが、
どこをどう見ても潜在的じゃないんじゃないの しかも、「見る向きも少なくない」っていう他人行儀の表現は、「経産省」はそうだと思っていません、ということの裏返しでもあって、もし本気でそう思っているなら、そんな危機意識の鈍感な方に「信頼してください」と言われても、素直に「ハイ、あなたにエネルギー安全保障はお任せ」とは到底言えませんということになってしまいます。
やや含みを持たせたのは、実は「見る向きも少なくない」というのが本音で、本音を言い出せない事情があるのだろうという勘繰りがあるからなのですが、長くなったのでこの辺りで。
(注:タイトルを「新・エネルギー国家戦略」と誤記していたので修正しました6/4)
本件の概要 : 原油価格の高騰はじめ世界の厳しいエネルギー情勢を踏まえ、エネルギー安全保障を核とした「新・国家エネルギー戦略」の検討を進めてまいりました。今般、最終とりまとめを行いましたので、公表致します。 |
① 国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立 (概要略) エネルギーの9割以上を海外からの供給に依存する我が国にとって、その安定供給の確保は、国民生活及び全ての経済活動を支える不可欠の社会基盤である。 1970年代に始まった石油ショックの際、(略。省エネを頑張った・・・)こうした努力が結実し、我が国は、むしろ逆境をバネとして国際的な比較優位作りに成功することができた。 これまでのところ、こうした体質強化の成果もあり、また、為替レートが円高で進展したことも相まって、現在の石油価格高騰は、我が国経済全般でみれば、石油ショック当時のような大きな混乱をもたらしていない。しかしながら、我が国のエネルギーを取り巻く環境は、前述の基本認識にも述べたとおり、引き続きリスクの高い状態にあり、このため、現在はまさに、1970年代の石油ショックに対し、「忍び寄るエネルギー危機」とでも呼べる状況にあると考えられる。 本文p15 |
ここでいう悲観的なシナリオは以降完全に無視しているように見えます。杞憂なのなら拘泥する必要はありませんが、一般論として可能性に応じた対応ミックス・バランス配分というのはあるハズじゃないの? もっと愕然とするのが、
② 資源外交、エネルギー環境協力の総合的強化 (概要略) 従来の我が国エネルギー政策は、省エネルギーや石油代替の推進といった国内のエネルギー需給構造の強化、石油等エネルギー資源の自主開発の推進、更には中東からの一時的な供給途絶に対する石油備蓄制度の構築といった取組を中心に構築されてきた。 しかし、需給構造が大きく変化する中、エネルギー需給の 潜在的なリスクは、むしろ石油ショック当時よりも高いと見る向きも少なくない。 このため、今後は(略) 本文p19-20 |
やや含みを持たせたのは、実は「見る向きも少なくない」というのが本音で、本音を言い出せない事情があるのだろうという勘繰りがあるからなのですが、長くなったのでこの辺りで。
(注:タイトルを「新・エネルギー国家戦略」と誤記していたので修正しました6/4)