The Big Band in Concert 1957/1958 / Harry Arnold
今年の印象に残ったイベントのひとつはクインシー・ジョーンズの来日であった。
32年ぶりだったそうだ。前回の来日コンサートにも行ったが、それから32年経ったとは改めて月日の経つのが早いことを実感する。
今回は80歳の記念ライブでもあったが、自分がクインシーを知ったのは高校の頃。ビッグバンドリーダーとして、そしてアレンジャーとしてのクインシーであった、長い付き合いである。
その後ブラックコンテンポラリーミュージックの旗頭として現在に至るが、息の長い活動暦、そして幅広い活動領域は間違いなくジャズジャイアンツの一人である。
記念ライブは1部、2部で4時間を越える長丁場で、これも一ミュージシャンのコンサートとしては前代未聞。舞台に登場したミュージシャンも世界中から一体何人集まったのであろう。
バラエティーに富んだプログラムは楽しめるものであったが、自分の興味はやはりクインシーオーケストラの再演であった。お馴染みのエアメイルスペシャルで始まり、A&M時代の曲まで何曲かが披露されたが全体のプログラムの中ではほんの一部、物足りなさを感じたのも事実であった。
これは、参加したミュージシャンにとっても同じ気持ちだったのかもしれない。
そこで、参加したミュージシャンが今回集まった仲間で再演をする企画を立てた。
トランペットの小林正弘を中心に当日参加した若手が集まって、「感動を再び再現」という趣旨でQuincy Jones Nightと銘打ったライブが先日Blues Alleyで開催された。
この夜は1部、2部ともたっぷりクインシーのビッグバンドの世界を堪能できたが、客席はいつものビッグバンドファンの年齢層とは異なり若者中心。30年前に自分が楽しんだサウンドを今の若者達が聴いていると思うとこれも嬉しかった。客席の後ろには原信夫氏の姿も、原さんもきっと同じ思いであったと思う。
今回を第一回としてまた企画して欲しいものだ。
このクインシーとビッグバンドの関係というと、ライオネル・ハンプトン、ディジー・ガレスピーのオーケストラを経て、クインシーが1957年にパリに留学をしたのが大きなターニングポイントであった。それまでもトランペットの演奏だけでなく、色々なバンドにアレンジを提供していたが、この留学を経てクインシーのアレンジは大きく飛躍を遂げ、自分のオーケストラの編成に繋がっていった。
ヨーロッパに滞在していたクインシーに、スウェーデンのハリー・アーノルドから声が掛かった。クインシーとスウェーデンのつながりは古い。駆け出しの頃、ライオネルハンプトンのオーケストラに加わって、クリフォードブラウンやアートファーマーと並んでヨーロッパを巡演していたクインシーはスウェーデンでアルバムを残している。スウェーデンという地は自分のキャリアで忘れることのできない場所のひとつであったのだろう。
クインシーのオーケストラでも有名な曲の多くはこの頃生まれ、そしてこのアーノルドのオーケストラによって演奏されている。
このアルバムに収録されているのは、4月28日のコンサートホールでのライブの模様だが、この前後にスタジオでの収録も行われており、別のアルバムに収められている。という意味では、スタジオ録音を終えた記念ライブといってもいいかもしれない。
この日のコンサートは後になっても語り継がれたようだが、チェロキーに始まりアーノルド曲が続いて、”Have You Met Quincy Jones”でクインシーがいよいよ登場する。
その後はクインシーの指揮によるクインシーのアレンジが4曲。どれも後のクインシーレパートリーのお披露目だ。パリの留学を経て、翌年自らビッグバンドを立ち上げるきっかけとなったのがこのコンサートであったと思う。
このアルバムは、ハリーアーノルドオーケストラのコンサートライブを集めたもので、自己のオーケストラに加えて、クラリネットのトニー・スコットとの共演ライブの模様も収められている。スタンダード曲をモダンなアプローチで自己のアレンジしたビッグバンドをバックにモダンなタッチでクラリネットを操るスコットの演奏を、先日紹介したエバンスのアルバムと比較するのも面白い。2年間での大きなスタイルの変化が伺える。
このハリー・アーノルドは当時地元スウェーデンのラジオ局専属のオーケストラであった。60年代に入って放送や映画で使う音楽も変化しアーノルドは専属を離れたがスウェーデンを拠点にヨーロッパの色々な放送局の仕事をしばらくこなしていたようだ。
1. Stand By
2. Six-Ten
3. Lullaby of Birdland
4. Stardust
5. The Moon Walks
6. A Night in Tunisia
7. Frantic Blues
8. Prelude To A Kiss
9. Cherokee
10. Kinda Blues
11. Brief Encounter
12. Indian Summer
13. Have You Met Quincy Jones
14. Room 608
15. Count’em
16. The Midnight Sun Never Sets
17. Meet Benny Bailey
Tony Scott (cl)
Sixten Eriksson, Arnold Johansson, Weine Renliden, Bengt-Arne Wallin (tp)
Benny Bailey (tp) <9-17>
Gordon Ohlsson, Ake Persson, Andreas Skjold, George Vernon (tb)
Rolf Backman, Rolf Lindell <1-6>(as)
Bjarne Nerem (ts),Rolf Blomqvist (ts, fl)
Lennart Jansson <1-6>, Johny Ekh <7-12>, Rune Falk <13-17> (bs)
Bengt Hallberg (p)
Bengt Hogberg <1-6>, Rolf Berg <7-12> (g)
Simon Brehm <1-12>, Larsse Pettersson <13-17> (b)
Egil Johansen (d)
Quincy Jones (arr)
Harry Arnold (dir.arr)
Goeta Theselius (arr)
Tonny Scott (arr)
Eddie sauter (arr)
Bengt Hallberg (arr)
Recorded
at Karlaplan Studio, Stockholm, Feb.19,1957 <1-6>
at The Concert Hall,Gothenburg, April 10,1958 <7-8>
at The Concert Hal, l Stockholm, Sweden, April 28,1958 <9-17>
今年の印象に残ったイベントのひとつはクインシー・ジョーンズの来日であった。
32年ぶりだったそうだ。前回の来日コンサートにも行ったが、それから32年経ったとは改めて月日の経つのが早いことを実感する。
今回は80歳の記念ライブでもあったが、自分がクインシーを知ったのは高校の頃。ビッグバンドリーダーとして、そしてアレンジャーとしてのクインシーであった、長い付き合いである。
その後ブラックコンテンポラリーミュージックの旗頭として現在に至るが、息の長い活動暦、そして幅広い活動領域は間違いなくジャズジャイアンツの一人である。
記念ライブは1部、2部で4時間を越える長丁場で、これも一ミュージシャンのコンサートとしては前代未聞。舞台に登場したミュージシャンも世界中から一体何人集まったのであろう。
バラエティーに富んだプログラムは楽しめるものであったが、自分の興味はやはりクインシーオーケストラの再演であった。お馴染みのエアメイルスペシャルで始まり、A&M時代の曲まで何曲かが披露されたが全体のプログラムの中ではほんの一部、物足りなさを感じたのも事実であった。
これは、参加したミュージシャンにとっても同じ気持ちだったのかもしれない。
そこで、参加したミュージシャンが今回集まった仲間で再演をする企画を立てた。
トランペットの小林正弘を中心に当日参加した若手が集まって、「感動を再び再現」という趣旨でQuincy Jones Nightと銘打ったライブが先日Blues Alleyで開催された。
この夜は1部、2部ともたっぷりクインシーのビッグバンドの世界を堪能できたが、客席はいつものビッグバンドファンの年齢層とは異なり若者中心。30年前に自分が楽しんだサウンドを今の若者達が聴いていると思うとこれも嬉しかった。客席の後ろには原信夫氏の姿も、原さんもきっと同じ思いであったと思う。
今回を第一回としてまた企画して欲しいものだ。
このクインシーとビッグバンドの関係というと、ライオネル・ハンプトン、ディジー・ガレスピーのオーケストラを経て、クインシーが1957年にパリに留学をしたのが大きなターニングポイントであった。それまでもトランペットの演奏だけでなく、色々なバンドにアレンジを提供していたが、この留学を経てクインシーのアレンジは大きく飛躍を遂げ、自分のオーケストラの編成に繋がっていった。
ヨーロッパに滞在していたクインシーに、スウェーデンのハリー・アーノルドから声が掛かった。クインシーとスウェーデンのつながりは古い。駆け出しの頃、ライオネルハンプトンのオーケストラに加わって、クリフォードブラウンやアートファーマーと並んでヨーロッパを巡演していたクインシーはスウェーデンでアルバムを残している。スウェーデンという地は自分のキャリアで忘れることのできない場所のひとつであったのだろう。
クインシーのオーケストラでも有名な曲の多くはこの頃生まれ、そしてこのアーノルドのオーケストラによって演奏されている。
このアルバムに収録されているのは、4月28日のコンサートホールでのライブの模様だが、この前後にスタジオでの収録も行われており、別のアルバムに収められている。という意味では、スタジオ録音を終えた記念ライブといってもいいかもしれない。
この日のコンサートは後になっても語り継がれたようだが、チェロキーに始まりアーノルド曲が続いて、”Have You Met Quincy Jones”でクインシーがいよいよ登場する。
その後はクインシーの指揮によるクインシーのアレンジが4曲。どれも後のクインシーレパートリーのお披露目だ。パリの留学を経て、翌年自らビッグバンドを立ち上げるきっかけとなったのがこのコンサートであったと思う。
このアルバムは、ハリーアーノルドオーケストラのコンサートライブを集めたもので、自己のオーケストラに加えて、クラリネットのトニー・スコットとの共演ライブの模様も収められている。スタンダード曲をモダンなアプローチで自己のアレンジしたビッグバンドをバックにモダンなタッチでクラリネットを操るスコットの演奏を、先日紹介したエバンスのアルバムと比較するのも面白い。2年間での大きなスタイルの変化が伺える。
このハリー・アーノルドは当時地元スウェーデンのラジオ局専属のオーケストラであった。60年代に入って放送や映画で使う音楽も変化しアーノルドは専属を離れたがスウェーデンを拠点にヨーロッパの色々な放送局の仕事をしばらくこなしていたようだ。
1. Stand By
2. Six-Ten
3. Lullaby of Birdland
4. Stardust
5. The Moon Walks
6. A Night in Tunisia
7. Frantic Blues
8. Prelude To A Kiss
9. Cherokee
10. Kinda Blues
11. Brief Encounter
12. Indian Summer
13. Have You Met Quincy Jones
14. Room 608
15. Count’em
16. The Midnight Sun Never Sets
17. Meet Benny Bailey
Tony Scott (cl)
Sixten Eriksson, Arnold Johansson, Weine Renliden, Bengt-Arne Wallin (tp)
Benny Bailey (tp) <9-17>
Gordon Ohlsson, Ake Persson, Andreas Skjold, George Vernon (tb)
Rolf Backman, Rolf Lindell <1-6>(as)
Bjarne Nerem (ts),Rolf Blomqvist (ts, fl)
Lennart Jansson <1-6>, Johny Ekh <7-12>, Rune Falk <13-17> (bs)
Bengt Hallberg (p)
Bengt Hogberg <1-6>, Rolf Berg <7-12> (g)
Simon Brehm <1-12>, Larsse Pettersson <13-17> (b)
Egil Johansen (d)
Quincy Jones (arr)
Harry Arnold (dir.arr)
Goeta Theselius (arr)
Tonny Scott (arr)
Eddie sauter (arr)
Bengt Hallberg (arr)
Recorded
at Karlaplan Studio, Stockholm, Feb.19,1957 <1-6>
at The Concert Hall,Gothenburg, April 10,1958 <7-8>
at The Concert Hal, l Stockholm, Sweden, April 28,1958 <9-17>
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