Royal Flush / Donald Byrd
1961年ハービーハンコックは、ドナルドバード&ペッパーアダムスクインテットに加入して初レコーディングも済ませ、一足飛びに全国区で活動を始めた。レコーディングだけでなくツアーも継続的に続け、そのグループとしての一体感は増していった。‘58年以来継続的に活動は行っていたが、苦節4年やっとレギュラーグループとして世の中にも認知されてきた。
6月にはそのツアー途中でのライブ演奏が録音されており、そのグループの実態が残されている。新たなレパートリーも加わり、ハンコックを含めた3人は上手く噛み合っていたが、ドラムとベースはどうもメンバーが定着せず、録音、そしてツアーの度にメンバーが替わっていた。
9月になって3人がリハーサルの為に集まった時、予定していたドラム、ベースがその場に現れなかった。どうもこのグループはそのような事が多い。
そこで、リハーサルの場所であったWhite Whaleという場所に出入りしていた2人に声をかけた。ロスからやってきたドラムのビリーハートと、ワシントンから来たベースのブッチウォーレンの2人であった。彼らのプレーはクインテットの要求にピッタリだったので、そのままメンバーに加わり、このアルバムの収録となった。ハンコックもシカゴでのライブの途中、ピンチヒッターで加わりそのままレギュラーメンバーになったが、当時はそのような事はオーディションを兼ねて日常的に行われていたようだ。
この日収録された曲の中で、ツアーで演奏していたHush、Jorgie’s、6M’sは6月のライブでも演奏されており、すでにこのグループとして定着した演奏となっていた。ハンコックのオリジナル曲も初めて登場した。
これまでバードのブルーノートでのアルバムはファンキー路線を続けていたが、このアルバムではアンサンブルもソロもよりこなれた演奏となった。ハードバップの集大成ともいえるツアーでの演奏スタイルがそのまま録音されたのか、ハンコックが加わったためか、バード&アダムスクインテットのサウンドが固まってきている。
この録音を終えたクインテットは、その勢いで10月に再びツアーに出る。6月にアルバムを収録したセントルイスのJorgie’sに再び出演を終え、次の街カンサスシティーへと移る。
そこで、クインテットを襲った悲劇は、出演していたクラブが倒産ギャラが貰えない事に。これからという時に解散の憂き目にあってしまった。10月29日、このアルバムの録音からまだ一か月後、よもやそんなことが起こるとは思っていなかっただろう。
しかし、そもそもグループとしては地方公演のブッキングとツアーにかかる経費の面でお金に関しては問題を抱えていた。そのフラストレーションが、これをきっかけに一気に爆発した。結局、この出来事が致命的となってしまった。
アダムスが手記で何度も述べているように、ツアーに出るときはバード&アダムスクインテットであっても、ブルーノートのレコーディングになるとドナルドバード単独アルバムに。どうやらこの問題を解決しないままレギュラーグループになってしまった結果だろう。ビジネスの世界でも苦労している間はお互いかばい合っているものの、いざ成功し出すと利益の配分でもめるケースは良くある。ドナルドバードも上手くやればよかったのにと思う。
これで、足かけ4年間続いた2人のコンビも解消となった。喧嘩別れではなかったようなので、その後も色々な場面で一緒にプレーする事はあったようだが、2人の重厚なアンサンブルを売りにするレギュラーグループが再編されることはなかった。
ひょんな事でこのグループに参加したベースのウォーレンと、ドラムのハートは、ピアノのハンコックとも相性が良かったのか、翌年録音されたハンコックのデビュー作”Take Off”にも2人揃って参加している。世の中、何かきっかけで付き合いが始まり、意気投合するか?
出会いが無ければ何も始まらない。バードとアダムスのとっては別れのアルバムとなったが、ハンコックにとっては出会いのセッションとなった。
4年間色々な事がありながら年々進化し続けたバード&アダムスのコンビも、2人のグループとしてはこれが最後の作品となり、その後はそれぞれの道を歩むことになった。
1. Hush Donald Byrd 6:26
2, I'm A Fool to Want You Joel Herron / Frank Sinatra / Jack Wolf 6:17
3. Jorgie's Donald Byrd 8:08
4. Shangri-La Donald Byrd 6:38
5. 6M's Donald Byrd 6:32
6. Requiem Herbie Hancock 7:07
Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Herbie Hancock (p)
Butch Warren (b)
Billy Higgins (drums)
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 21, 1961
1961年ハービーハンコックは、ドナルドバード&ペッパーアダムスクインテットに加入して初レコーディングも済ませ、一足飛びに全国区で活動を始めた。レコーディングだけでなくツアーも継続的に続け、そのグループとしての一体感は増していった。‘58年以来継続的に活動は行っていたが、苦節4年やっとレギュラーグループとして世の中にも認知されてきた。
6月にはそのツアー途中でのライブ演奏が録音されており、そのグループの実態が残されている。新たなレパートリーも加わり、ハンコックを含めた3人は上手く噛み合っていたが、ドラムとベースはどうもメンバーが定着せず、録音、そしてツアーの度にメンバーが替わっていた。
9月になって3人がリハーサルの為に集まった時、予定していたドラム、ベースがその場に現れなかった。どうもこのグループはそのような事が多い。
そこで、リハーサルの場所であったWhite Whaleという場所に出入りしていた2人に声をかけた。ロスからやってきたドラムのビリーハートと、ワシントンから来たベースのブッチウォーレンの2人であった。彼らのプレーはクインテットの要求にピッタリだったので、そのままメンバーに加わり、このアルバムの収録となった。ハンコックもシカゴでのライブの途中、ピンチヒッターで加わりそのままレギュラーメンバーになったが、当時はそのような事はオーディションを兼ねて日常的に行われていたようだ。
この日収録された曲の中で、ツアーで演奏していたHush、Jorgie’s、6M’sは6月のライブでも演奏されており、すでにこのグループとして定着した演奏となっていた。ハンコックのオリジナル曲も初めて登場した。
これまでバードのブルーノートでのアルバムはファンキー路線を続けていたが、このアルバムではアンサンブルもソロもよりこなれた演奏となった。ハードバップの集大成ともいえるツアーでの演奏スタイルがそのまま録音されたのか、ハンコックが加わったためか、バード&アダムスクインテットのサウンドが固まってきている。
この録音を終えたクインテットは、その勢いで10月に再びツアーに出る。6月にアルバムを収録したセントルイスのJorgie’sに再び出演を終え、次の街カンサスシティーへと移る。
そこで、クインテットを襲った悲劇は、出演していたクラブが倒産ギャラが貰えない事に。これからという時に解散の憂き目にあってしまった。10月29日、このアルバムの録音からまだ一か月後、よもやそんなことが起こるとは思っていなかっただろう。
しかし、そもそもグループとしては地方公演のブッキングとツアーにかかる経費の面でお金に関しては問題を抱えていた。そのフラストレーションが、これをきっかけに一気に爆発した。結局、この出来事が致命的となってしまった。
アダムスが手記で何度も述べているように、ツアーに出るときはバード&アダムスクインテットであっても、ブルーノートのレコーディングになるとドナルドバード単独アルバムに。どうやらこの問題を解決しないままレギュラーグループになってしまった結果だろう。ビジネスの世界でも苦労している間はお互いかばい合っているものの、いざ成功し出すと利益の配分でもめるケースは良くある。ドナルドバードも上手くやればよかったのにと思う。
これで、足かけ4年間続いた2人のコンビも解消となった。喧嘩別れではなかったようなので、その後も色々な場面で一緒にプレーする事はあったようだが、2人の重厚なアンサンブルを売りにするレギュラーグループが再編されることはなかった。
ひょんな事でこのグループに参加したベースのウォーレンと、ドラムのハートは、ピアノのハンコックとも相性が良かったのか、翌年録音されたハンコックのデビュー作”Take Off”にも2人揃って参加している。世の中、何かきっかけで付き合いが始まり、意気投合するか?
出会いが無ければ何も始まらない。バードとアダムスのとっては別れのアルバムとなったが、ハンコックにとっては出会いのセッションとなった。
4年間色々な事がありながら年々進化し続けたバード&アダムスのコンビも、2人のグループとしてはこれが最後の作品となり、その後はそれぞれの道を歩むことになった。
1. Hush Donald Byrd 6:26
2, I'm A Fool to Want You Joel Herron / Frank Sinatra / Jack Wolf 6:17
3. Jorgie's Donald Byrd 8:08
4. Shangri-La Donald Byrd 6:38
5. 6M's Donald Byrd 6:32
6. Requiem Herbie Hancock 7:07
Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Herbie Hancock (p)
Butch Warren (b)
Billy Higgins (drums)
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 21, 1961
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