A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ハイノートもいいが、中低音の良くうたうトランペットも魅力のひとつ・・・・・

2013-05-26 | CONCORD
A Work of Art / The Art Farmer Quintet

昔、ネットが無い時代にジャズを聴くといえば、ジャズ喫茶かFMのジャズ番組。FMではレコードをかけるだけでなく、コンサートのライブなども良く放送されていた。学生時代はお金もなくてコンサートにはたまにしか行けないのでそれを必死にエアチェックして楽しんだものだ。当時のテープも捨てずに残っているが、物置の奥深く最近では聴くこともない。今度、本格的な引越しをしなければならないので、その折にでも大整理をして聞き返してみよう、40年近く経っているので果たして聴ける状態かどうかも心配だが、また何か新たな発見がありそうだ。

今でもNHKのFMでオンエアされている公開のジャズのライブ番組がある。たまに、お気に入りのミュージシャンが出演する時は聴くことはあったが、めったにその時間にダイアルを合わせることはなかった。昔はテレビにしてもラジオにしてタイムテーブルに合わせて日々の生活パターンができていたが、これが無くなったことも要因であろう。
先日久々にこの番組の公開録音に応募して、収録ライブを楽しんできた。リーダーはピアノの井上裕一であったが、お目当てはトランペットの松島啓之。若い頃バークレーから帰ってすぐの頃は話題になったが、最近では、自分は他のメンバー同様彼らがビッグバンドへ参加してのプレーは聴く事はあったが、彼のソロプレーは感心の外だった。ところが、先日少し気になって久々に山田譲とのクインテットを聴いた矢先に、若いジャズ友からも強いリコメンドあったので行ってみるかという気になった次第。思い立ったら動いてしまう性分なので。
公開録音ということもあり、MCを含めてメンバー達も最初は緊張気味であったが、後半はリラックした3管編成のメインストリームジャズを堪能した。彼のプレーの原点であるクリフォードブラウンやリーモーガンの良さを受け継いだ、よくうたうプレーも期待通りであった。

歌心のあるトランペッターというと、アートファーマーもその一人だろう。ハードバップファンは名盤”Modern Art"を筆頭に、ジャズテット時代のファーマーのプレーが中心だと思うが、自分の好みの視点からファーマーのプレーの変遷を見渡すと、すべての時代に何らかの形でファーマーは登場する。
50年代の初めに、ハンプトンのグループでクインージョーンズ達と北欧へのツアーに参加した時も主要メンバーの一人であった。ジェリーマリガンのグループに参加していた時もお気に入りの演奏だ。あの名盤“Night lights”もその時代の演奏だ。
60年代の中頃、アメリカのジャズ界が沈滞をした時、多くのミュージシャンがヨーロッパに渡った。アートファーマーもその一人で、それ以降はヨーロッパが活動の主体であった。70年代以降アメリカに復帰するが、フィリューゲルホーン主体のよりソフトなプレーが強調されたが、この頃のアルバムも良く聴いたものだ。

トランペットの魅力の一つは、天に轟くハイノートの切れ味であり、ビッグバンドだとその魅力は欠かせない。メイナードファーガソンなどはその際たるものだ。一方は、良く謳うトランペットで、こちらは高音域よりは中低音の語りかけるようなプレーが魅力になる。楽器も、フリューゲルホーンやコルネットも使うようになる。ファーマーもうたうトランペットの第一人者だし、松島啓之もどちらかというとそちらの代表格だろう。

さてこのアルバムは、アートファーマーのコンコルドレーベルへの初登場アルバムだ。ファーマーはビッグバンドからワンホーンまで何でもこなすが、このアルバムはワンホーン。コンコルドの特徴でもある、素材の良さを生かして余計なお化粧をしていないので、ファーマーのフリューゲルホーンのプレーが存分に聴ける。
ファーマーのプレーを生かすピアノトリオもファーマーのプレーにピッタリだ。ピアノのフレッドハーシュはエイズ脳症からの奇跡の復帰など今では話題に事欠かない熱狂的なファンを持つピアニストだが、このアルバムへの参加が多分2枚目のレコーディングであり、デビュー当時の演奏を聴けるのも貴重だ。ベテランの再起だけではなく、新人発掘の嗅覚も鋭いプロデューサー、カールジェファーソンの本領発揮といったところだろう。

録音はたまたま、この前に紹介したITSのアルバムと同じ1981年の9月。

1. Red Cross                        Chelie parker 5:10
2. You Know I Care                     Duke Pearson 6:41
3. (I Got A Woman Crazy For Me)She’s Funny That Way    Neil Moret 5:31
4. Change Partners                    Irving Berlin 5:46
5. Summer song                      Jonny Green /Fred Hersch 4:59
6. Love Walked In                      Geoge Gershwin 4:47
7. One For Sam                       Fred Hersch 3:18

Art Farmer (flh)
Fred Hersch (p)
Bob Bodley (b)
Billy Hart (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded at Soundmixers, New York N.Y. September 1981
Recording Engineer : Phil Edwards

Originally released on Concord CJ-179(所有盤は国内盤)


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