Let’s Swing Now / Takuya Fujioka Presents Vol.5
自分がレコード会社のオーナーであったり、クラブの経営者であれば、自分の思い描くドリームバンドを実現できる機会はある。しかし、単なるジャズファンであればそれは夢のまた夢になってしまうものだが・・・・
クリントイーストウッドが大のジャズファンであることは有名で、映画の"Bird"もファン故に実現したのかもしれない。
日本では亡くなった藤岡琢也がジャズファンで有名だった。その葬儀はピアノトリオによるジャズ葬であったとか。その藤岡琢也がプロデュースしたアルバムがある。一晩限りのライブならまだしも、レコードのプロデュースまでやって夢を後世にまで残すことができれば、ジャズファン冥利に尽きるというものだ。
シリーズで何枚か制作したこれがシリーズ最後の作品。このアルバムの主役はピアノの八城一夫。よくスイングするピアノで自分も好きなピアニストの一人だった。ベースは長年コンビを組んだ原田政長。ドラムにはちょうどこの頃日本に長く滞在していたドナルドベイリーが加わってドリームバンドらしい編成になっている。
プロのミュージシャンとプロデューサーだと、細かい決め事が無くても阿吽の呼吸で物事が進むことも少なくないようだが、素人が普段やりなれない事をやると色々細かいことが気にかかるもの。この録音に際しても、「藤岡プロデューサー」は、打ち合わせも綿密に、リハーサルも入念に、録音に臨んだようだ。演奏するほうも細かい気働きに感謝しつつ良い関係で作品が生まれたようだ。やはり、ファンの想いと言うものは演奏する者に通じるものがあるのだろう。ドナルドベイリーは日本を離れることが決まっての「さよならレコーディング」になったので、より感じるものがあったのかもしれない。得意のハーモニカを2曲披露してくれるが、ドラム以上に気持ちが伝わってくる。特に、最後の曲のGood-byeではなおさら。
八城と藤岡の対談を記したライナーノーツが添付されているが、録音を終えた2人の感想が素直に聞けてより雰囲気が伝わってくる。一曲目のサンバのリズムのベイリーが実に良くて、その後の演奏もノルことができたとか・・・。本の世界は編集後記というものがあるが、音楽の世界も録音後記というのもがもっとあってもよさそうなのに。
有名プロデューサーやアレンジャーが気合を入れた大作や、有名ミュージシャンを集めたドリームバンドもいいが、このようなファンに支えられたホームパーティー風の演奏も実は捨てがたいドリームバンドのドリーム演奏だ。
1. Fall of Love
2. Do’t touch my Mustache
3. Sweet Bailey
4. All the Things You Are
5. We Four Samba
6. Good-bye
八城 一夫 (p)
原田 政長 (b)
小西 徹 (g)
Donald Bailey (ds, harmonica)
Produced by Takuya Fujioka
Recorded at Victor No.2 Studio, Tokyo, July 18, 1976
自分がレコード会社のオーナーであったり、クラブの経営者であれば、自分の思い描くドリームバンドを実現できる機会はある。しかし、単なるジャズファンであればそれは夢のまた夢になってしまうものだが・・・・
クリントイーストウッドが大のジャズファンであることは有名で、映画の"Bird"もファン故に実現したのかもしれない。
日本では亡くなった藤岡琢也がジャズファンで有名だった。その葬儀はピアノトリオによるジャズ葬であったとか。その藤岡琢也がプロデュースしたアルバムがある。一晩限りのライブならまだしも、レコードのプロデュースまでやって夢を後世にまで残すことができれば、ジャズファン冥利に尽きるというものだ。
シリーズで何枚か制作したこれがシリーズ最後の作品。このアルバムの主役はピアノの八城一夫。よくスイングするピアノで自分も好きなピアニストの一人だった。ベースは長年コンビを組んだ原田政長。ドラムにはちょうどこの頃日本に長く滞在していたドナルドベイリーが加わってドリームバンドらしい編成になっている。
プロのミュージシャンとプロデューサーだと、細かい決め事が無くても阿吽の呼吸で物事が進むことも少なくないようだが、素人が普段やりなれない事をやると色々細かいことが気にかかるもの。この録音に際しても、「藤岡プロデューサー」は、打ち合わせも綿密に、リハーサルも入念に、録音に臨んだようだ。演奏するほうも細かい気働きに感謝しつつ良い関係で作品が生まれたようだ。やはり、ファンの想いと言うものは演奏する者に通じるものがあるのだろう。ドナルドベイリーは日本を離れることが決まっての「さよならレコーディング」になったので、より感じるものがあったのかもしれない。得意のハーモニカを2曲披露してくれるが、ドラム以上に気持ちが伝わってくる。特に、最後の曲のGood-byeではなおさら。
八城と藤岡の対談を記したライナーノーツが添付されているが、録音を終えた2人の感想が素直に聞けてより雰囲気が伝わってくる。一曲目のサンバのリズムのベイリーが実に良くて、その後の演奏もノルことができたとか・・・。本の世界は編集後記というものがあるが、音楽の世界も録音後記というのもがもっとあってもよさそうなのに。
有名プロデューサーやアレンジャーが気合を入れた大作や、有名ミュージシャンを集めたドリームバンドもいいが、このようなファンに支えられたホームパーティー風の演奏も実は捨てがたいドリームバンドのドリーム演奏だ。
1. Fall of Love
2. Do’t touch my Mustache
3. Sweet Bailey
4. All the Things You Are
5. We Four Samba
6. Good-bye
八城 一夫 (p)
原田 政長 (b)
小西 徹 (g)
Donald Bailey (ds, harmonica)
Produced by Takuya Fujioka
Recorded at Victor No.2 Studio, Tokyo, July 18, 1976