A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

「ヨーロッパの重戦車」。

2007-05-19 | MY FAVORITE ALBUM
HANDLE WITH CARE / CLARK-BOLAND BIG BAND

1959年Quincyのオーケストラが立ち上がり、その6年後サド・メルのオーケストラが生まれるまでの間、もうひとつ素晴らしいオーケストラが1961年に誕生している。
それも、アメリカではなくヨーロッパで。

60年代前半は、BIG BANDにとっては冬の時代。
エリントンやベイシーも、アルバム作りでは、JAZZを極めるというよりは、ポピュラーソングをジャズ風にやる選曲や演奏が求められた。
MODERN BIG BANDの世界にチャレンジしたクインシーも、1年余りで路線変更を強いられてしまった。
もっとも、クインシーの場合はこの転身が飛躍のステップになるので災い転じて福となる。
それ自体が悪いことではなかったのだが。

ヨーロッパは、やはり伝統ある文化や芸術を育てる土壌があるのだろうか。アメリカがこのような状況であっても、実に素晴らしいモダンBIG BANDが活躍していたのだ。
アメリカで生まれのJAZZを育ての場所としてヨーロッパの果たしている役割はいつの時代でも大事なのかもしれない。

このバンドのリーダーは、バップムーブメントに参加し、MJQの最初のメンバーでもあったケニークラーク。この頃はヨーロッパに居を移して活躍していた。
もう一人は、ベルギー出身のピア二スト&コンポーサー/アレンジャーのフランシーボラン。

何となく、このオーケストラとクインシーやサド・メルとの共通点は多い。
黒人プレーヤーと白人プレーヤーがうまく融合している、アンサンブルソロを重視、そしてアレンジも自分たちで行う、レギュラーバンドというよりリハーサルバンドからスタートなど、など・・・・・・。
まあ、一言でいえば「雑種」の強みだろう。

メンバーは、アメリカに加えて地元のヨーロッパ各国から集まった本当のインターナショナルオーケストラ。
ジャケットのデザインが、その混成ぶりをよく現している。

このやり方が、当時モダンBIG BANDがうまくいく形だったのかもしれない。

クラーク・ボランのオーケストラのサウンドの特徴は一言で言うと「重厚」。
テナーが3本であることも効いている。
でも、ウディーハーマンのサックスセクションとは明らかに違うノリだ。
ドラムに加えてティンパニーを加えた低音の迫力が、一曲目からこのバンドの特徴をよくあらわしている。
このティンパニーを叩いているのが、3年前Quincyのオーケストラがあてもなくヨーロッパ中を流転の旅を続けた時のドラマー、ジョーハリスというのも何か因縁めいたものを感じる。

クラーク・ボランのオーケストラはヨーロッパらしく、実直にスイングするバンドである。
「濃厚なサックスのソリ」が何ともいえない。
ソロはオールスターバンド故、誰がやっても素晴らしい。
これもサド・メルと同じだ。

こんな素晴らしいオーケストラが60年代にヨーロッパで活躍していた。

Long Note Blues
Get Out Of Town
Sonor
Speedy Reeds
Old Stuff
Om Mani Padme Hum

Edmund Arnie, Benny Bailey, Jimmy Deuchar, Maffy Falay, Roger Guerin, Idrees Sulieman (tp)
Keg Johnson, Raymond Katarzinsky, Erich Kleinschuster, Nat Peck, Ake Persson (tb) Derek Humble (as)
Karl Drewo, Billy Mitchell, Ronnie Scott (ts)
Sahib Shihab (bars, fl)
Francy Boland (p, arr)
Jimmy Woode (b)
Kenny Clarke (d)
Fats Sadi (bgo)
Joe Harris (timp)

Frankfurt, West Germany, January 25 & 26, 1963

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