Three Baritone Saxophone Band Plays Mulligan
そもそもバリトンサックスのバトルはあまりケースが多くは無いが、バリトン3本の競演となるとそうそうあるものではない。さらに、曲もバリトンの名手ジェリーマリガンに捧げて、オリジナルを中心にマリガンにちなんだ曲を取り上げたとなるとまさにバリトンづくしだ。果たしてどんな演奏になるか、聴く前から楽しみがひとつ増える。
ジェリーマリガンはバリトンサックスのプレーヤーとして有名だが、ボブブルックマイヤーと同様に時にはピアノも弾く。そして、曲作りからアレンジまで何でもこなすオールマイティーなプレーヤーだ。カルテットからオーケストラまで編成は多彩だが、自分のグループでの演奏ではオリジナルが多い。そして、初期の彼のグループの特徴はピアノレスが多い。
古いスイングジャーナルに評論家の本多俊夫のマリガン評が載っていた。ピアノが無いベースだけのバックになるとアドリブのソロは自由度が増す。ところがマリガンのソロのフレーズ作りはスイング派の域を出ないのでアドリブには限界があった。したがって、アレンジの世界に深く傾注していったのではないか?と。
このアルバムの目玉であるバリトンサックス3本の企画を思いついたのはイタリアのイベントプロデューサーのGiampierro Rubei 。Smulyanに話を持ちかけたら早速興味を示し、ロニーキューバーのマネージャーに。そしてマリガンの友人であった評論家のアイラギトラーが話しにのって、'96年の7月には地元のリズムセクションを加えて、早速イタリアで3日間のコンサートが実現した。マリガンが亡くなったのはその年の1月20日。半年の早業でこの企画が実現した。すぐに評判になり、そのままズバリ“The Three Baritone Saxophone Band”として、ヨーロッパのツアーが引続き行われた。
オリジナルの曲が多いマリガンなので当然マリガンの曲が大半になるが、他にもマリガンに因んだ曲ばかりが選ばれた。マリガンの関わった映画音楽にもいいものがあるとのことで、ジョニーマンデルの“I want to live”と”Black Night Gown”が選ばれた。一緒にプレーをしたアートファーマーの曲、そして全体のアレンジをロニーキューバーが担当したので、彼のオリジナルも一曲ということになった。マリガンに捧げるというと単なるブローセッションにはできないので、各曲とも緻密なアレンジが施されたが、ピアノレスにすることも忘れなかった。
マリガンのグループでもブルックマイヤーとのカルテットは低音の魅力だったが、やはりバリトン3本のアンサンブルは重々しい。ところが、マリガンの味付けをすると多少は軽い雰囲気にはなってくるから不思議だ。
このバンドも立ち上がりの評判で、長く続きそうな勢いであったが、このアルバムのその後については動向を知らない。アルバムも続編は無いようであるが。やはりチョットしたアイディアで生まれたバンドも、長続きさせるにはスーパーサックスのようなしっかりしたコンセプトが重要かもしれない。
1. Line for Lyons Mulligan 4:22
2. Blue Port Farmer 5:34
3. I Want to Live Mandel 4:59
4. Walkin' Shoes Mulligan 4:51
5. Elevation Lawrence, Mulligan 3:54
6. Black Nightgown Mandel 5:13
7. Bernie's Tune Leiber, Miller, Stoller 5:39
8. Festive Minor Mulligan 4:25
9. Theme for Jobim Mulligan 4:09
10. Five Brothers Mulligan 5:40
11. Lonesome Boulevard Mulligan 4:28
12. Waltz for Geraldus Cuber 7:46
Ronnie Cuber (bs,arr)
Gary Smulya (bs)
Nick Brignola (bs)
Andy McKee (b)
Joe Farnsworth (ds)
Produced by Roberta Arnold
Patrick Derivaz Engineer
Recorded on May 21, 1997 at Sorcerer Sound, New York Cuty
そもそもバリトンサックスのバトルはあまりケースが多くは無いが、バリトン3本の競演となるとそうそうあるものではない。さらに、曲もバリトンの名手ジェリーマリガンに捧げて、オリジナルを中心にマリガンにちなんだ曲を取り上げたとなるとまさにバリトンづくしだ。果たしてどんな演奏になるか、聴く前から楽しみがひとつ増える。
ジェリーマリガンはバリトンサックスのプレーヤーとして有名だが、ボブブルックマイヤーと同様に時にはピアノも弾く。そして、曲作りからアレンジまで何でもこなすオールマイティーなプレーヤーだ。カルテットからオーケストラまで編成は多彩だが、自分のグループでの演奏ではオリジナルが多い。そして、初期の彼のグループの特徴はピアノレスが多い。
古いスイングジャーナルに評論家の本多俊夫のマリガン評が載っていた。ピアノが無いベースだけのバックになるとアドリブのソロは自由度が増す。ところがマリガンのソロのフレーズ作りはスイング派の域を出ないのでアドリブには限界があった。したがって、アレンジの世界に深く傾注していったのではないか?と。
このアルバムの目玉であるバリトンサックス3本の企画を思いついたのはイタリアのイベントプロデューサーのGiampierro Rubei 。Smulyanに話を持ちかけたら早速興味を示し、ロニーキューバーのマネージャーに。そしてマリガンの友人であった評論家のアイラギトラーが話しにのって、'96年の7月には地元のリズムセクションを加えて、早速イタリアで3日間のコンサートが実現した。マリガンが亡くなったのはその年の1月20日。半年の早業でこの企画が実現した。すぐに評判になり、そのままズバリ“The Three Baritone Saxophone Band”として、ヨーロッパのツアーが引続き行われた。
オリジナルの曲が多いマリガンなので当然マリガンの曲が大半になるが、他にもマリガンに因んだ曲ばかりが選ばれた。マリガンの関わった映画音楽にもいいものがあるとのことで、ジョニーマンデルの“I want to live”と”Black Night Gown”が選ばれた。一緒にプレーをしたアートファーマーの曲、そして全体のアレンジをロニーキューバーが担当したので、彼のオリジナルも一曲ということになった。マリガンに捧げるというと単なるブローセッションにはできないので、各曲とも緻密なアレンジが施されたが、ピアノレスにすることも忘れなかった。
マリガンのグループでもブルックマイヤーとのカルテットは低音の魅力だったが、やはりバリトン3本のアンサンブルは重々しい。ところが、マリガンの味付けをすると多少は軽い雰囲気にはなってくるから不思議だ。
このバンドも立ち上がりの評判で、長く続きそうな勢いであったが、このアルバムのその後については動向を知らない。アルバムも続編は無いようであるが。やはりチョットしたアイディアで生まれたバンドも、長続きさせるにはスーパーサックスのようなしっかりしたコンセプトが重要かもしれない。
1. Line for Lyons Mulligan 4:22
2. Blue Port Farmer 5:34
3. I Want to Live Mandel 4:59
4. Walkin' Shoes Mulligan 4:51
5. Elevation Lawrence, Mulligan 3:54
6. Black Nightgown Mandel 5:13
7. Bernie's Tune Leiber, Miller, Stoller 5:39
8. Festive Minor Mulligan 4:25
9. Theme for Jobim Mulligan 4:09
10. Five Brothers Mulligan 5:40
11. Lonesome Boulevard Mulligan 4:28
12. Waltz for Geraldus Cuber 7:46
Ronnie Cuber (bs,arr)
Gary Smulya (bs)
Nick Brignola (bs)
Andy McKee (b)
Joe Farnsworth (ds)
Produced by Roberta Arnold
Patrick Derivaz Engineer
Recorded on May 21, 1997 at Sorcerer Sound, New York Cuty
Plays Mulligan [Import CD from France] | |
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