A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

いい演奏を引き出すにはジャズでも指揮者が大事ではないかと思うようになった・・・

2011-12-18 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
The Definitive Thad Jones Vol.2 / The Mel Lewis Jazz Orchestra

VJOのライブに行ってきた。相変わらず優等生のメンバーが揃った、素晴らしい演奏で楽しむことができた。サドジョーンズの曲も多く演奏されたし、サドメルファンとしてはとりあえずは嬉しい一夜だった。

ライブの余韻が残っている中で、前回に続いてメルルイスオーケストラ”The Definitive Thad Jones”のVol.2を聴く。ジャケットの真ん中に写っているのは、今のVJOのリーダーのジョンモスカだ。1950年生まれなので、この録音の時は38歳。一番油の乗ってくるころだ。ということは、自分と同年代なので今では60歳を過ぎているということになる。VJOのメンバーもいつの間にか皆歳をとってしまったものだ。サドメル時代はどんどん若手が出てきていたのだが。

メンバーが歳をとってしまったという訳ではないと思うが、ライブを聴いて素晴らしい演奏だが、今ひとつ訴えてくるものが欠けている。何故だろうか?。優等生が優等生過ぎる演奏をしているからなのか、若手がいないので刺激を受けないのか・・?。トランペットセクションには昨年に引続き女性のTanya Darbyが元気にプレーしていたが、残念ながらソロは無かった。そういえば、彼女はベイシーオーケストラでも来日していたので、楽しみにしていたのだが。

というようなことを思いながら、CDを聴きながらライナーノーツを読むと、メルルイスのインタビュー記事が載っていた。サドの音楽性について、サドは「ここはStrongest note」
と思うところは、すべてのプレーヤーにそれを求めた」と。「それはリードだけでなくセカンドにも、そしてトランペットだけでなくサックスにも」。「それが彼のアンサンブルがfatでrichな秘訣だ」と語っている。「この録音に参加しているメンバーの中に、幸いにもそのサドジョーンズのConductorshipとMusicianshipの洗礼を受けたメンバーが、各セクションリーダーにいる。トランペットのEarl Gardner,トロンボーンのJohn Mosca,そしてアルトのDick Ottsだ。彼らは75年からサドが去る78年の間、最低2年間をサドの元でプレーした経験がある」と続く。要は、逆説的に捕らえれば、サドの曲を演奏するには、サドの指揮の下でアンサンブルワークのコツを身を持って体験して身に付けないとサドの編曲の演奏はできないということだと理解した。今の、VJOもモスカとオッツは健在だ。トランペットセクションは何度もガラッとメンバーが替わっている。教えを受けるほうも、サドジョーンズの演奏と指揮を知らない人間が増えてきてしまったので、伝統を引き継ぐのも大変だと思う。

改めて、サドメル時代の演奏を振り返ってみる。
1968年、結成後まもない、日本に最初に来日した頃の演奏だ。



確かに。アンサンブルにしてもソロにしてもサドのアクションはバンド全体を生き物のように操っている。結果は、不思議に非常にメリハリのついた演奏になる。今思い返せば、初めてサドメルを聴いた時の衝撃とはこのことだったのかもしれない。



次にボブブルックマイヤーの編曲のセントルイスブルース。後のブルックマイヤーのアレンジにも通じる複雑な音の組み合わせの妙を味わう演奏だが、サドの指揮に掛かるとその中からふつふつとエネルギーが沸いてくる。このサドジョーンズの指揮のスタイルは、メンバーが替わり、曲が変っても、サドメルオーケストラのトレードマークだった。

そして、サドジョーンズが去り、これを引き継いだメンバーたちが10年経って、もう一度サドの曲とアレンジにチャレンジしたのがこのアルバムだ。その間演奏して曲もあれば、久し振りの曲もあったであろう。このアルバムを聴いた印象はもちろん素晴らしい、メルルイスオーケストラになって何か引っかかっていたものが吹っ切れたのは確かだろう。でも、本当はライブということもあり、聴衆の雰囲気を肌で感じながら、それに応ええるためにアイコンタクトとあの特徴あるアクションのサドの指揮を、再び実現できたかということになると残念ながらそれはできなかった。サドジョーンズに代わる指揮者は今のVJOでも現れていない。何か物足りないのはその辺りに理由があるのかもしれない。誰か、サドジョーンズに代わってバンドの音とプレーヤーの潜在能力のすべてを引き出せる指揮者が現れるのを待つことにしよう。クラッシクの世界だけでなく、ジャズの世界でも名アレンジを再現するには名指揮者は必要かもしれない。

1. Second Race      Jones 7:41
2. Tiptoe         Jones 9:21
3. Don't Get Sassy    Jones, Lewis 9:49
4. Rhoda Ma        Jones 6:42
5. Cherry Juice      Jones 12:50

Joe Mosello Trumpet
Glenn Drewes Trumpet
Earl Gardner Trumpet
Jim Powell Flugelhorn, Trumpet
Ralph Lalama Sax (Tenor)
Joe Lovano Sax (Tenor)
Ted Nash Sax (Alto)
Dick Oatts Sax (Alto)
Gary Smulyan Sax (Baritone)
Ed Neumeister Trombone
Earl McIntyre Trombone (Bass)
John Mosca Trombone
Douglas Purviance Trombone (Bass)
Stephanie Fauber French Horn
Kenny Werner Piano
Dennis Irwin Bass
Mel Lewis Drums
Thad Jones Arranger
John Snyder Producer
Paul Wickliffe Engineer
Joe Lopes Engineer
Paul Angelli Assistant Engineer

Recorded Live at The Village Vanguard , New York, on Feb 11, 1988 - Feb 15, 1988


Definitive Thad Jones 2: Live From the Village
Mel Lewis Jazz Orchestra
Music Masters Jazz

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