子供の頃の居住環境の違いが子供の遊びと心象風景に及ぼす影響に関する研究
日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)2010年9月 水崎祥子 大影佳史
1.研究の背景と目的
子供の取り巻く環境は急激に変化してきた,都市開発などにより,子供の遊び場は質的・量的に悪化し,体験で培われる五感や感性が鈍くなってきたといわれる.
人が日常生活で体験し,認知した風景の中から,特に意味や価値のあるものを心の中助醸成したものが「心象風景」である.子供の頃の居住環境の違いが室内外遊びや,
昔と今の心象風景に及ぼす影響について明らかにし,心象風景と居住環境との関係性を把握し,豊かな街を創造していくための基礎的資料を得ることを目的とする.
2.調査方法
調査対象を平成15年~18年入学の名城大学理工学部環境創造学科の学生とし,以下の内容のアンケートを授業内で配布・回収する.
1子供の頃の遊び→記述式
2昔よく遊んだ風景,今現在お気に入りの風景→スケッチ
回答者の子供の頃の居住地は4タイプ分類する(都市,郊外《都》,郊外《農》,農村)
3.遊び
屋内遊びは全体的にゲーム系が圧倒的に多く、次いでおもちゃ系という結果になり、都市と農村という居住環境の違いによる流行の敏感さが多少影響に表れた.
屋外遊びはスポーツ系、集団遊び系が多い結果となり,居住環境の周りの山や川の存在が,外での遊びに大きく影響することがわかった.
4.昔よく遊んだ風景
都市で育った子どもは安全に遊べる場所が公園でしかないため公園や空地がスケッチで多く描かれている.
一方で農村では公園以外にも安全に遊べる環境とスペースが整っているため公園をスケッチで描く人の割合は少ない,
居住環境の安全面の問題が,遊ぶ場所に影響していると考えられる.
5.今現在お気に入りの風景
全体的には自然系を描く人の割合が多い.都市で育った人は街並みを最も多く描いたが、自然を描く人も次いで多い結果となった.
しかし郊外《農》で育った人のみ公園空地,商業・娯楽といった自分が楽しむ場所をスケッチで描く人の割合が多く.自分の愛着のある場所を好む傾向にあることがわかった.
6.まとめ
心象風景は自然系の割合がどの居住環境でも多くなっていることから,自然のある風景は居住環境に関係なく好まれることがわかった.
7.感想
自然要素を都市に取り入れていくことが子供たちに良い体験を与えると改めてわかった.
横井玲伊
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