会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

日本マクドナルド3

2007-03-02 01:00:52 | 飲食
さて、現在の日本マクドナルドは米国マクドナルドの支配下にあるわけです。支配下というのは米マクドナルドが大株主という意味ですな。で、ですが日本マクドナルドは米国マクドナルドにロイヤリティを支払っています。

幾らかって?

2.5%です。2.5%。何の2.5%か。売上です。そうかたった2.5%か、消費税が5%なのと比べると安い、と思ってはいけません。

06年に日本マクドナルドが米マクドに払ったロイヤリティは、110億円です。売上が3千億円以上あるので、2.5%とは言え巨額になるんですね。さて、この額が問題です。増収増益を達成した日本マクドナルドの06年経常利益が幾らだったか。

はい。57億円です。ごじゅうななおくえん。五公五民ならぬ十公五民ですな。民は生かさず殺さずってところですかね。それにしても・・・。

1年前、05年なんかもう笑ってしまいます。ロイヤリティが103億円。経常利益は、29億円でした。まあ、利益として認識される前に米国に流れてしまうのですね。日本の株主や税金に落ちる額は半分以下になってしまいます。まあ、株主といっても半分以上米国マクド関連なわけですがね。

ちなみに日本マクドナルドの労務費は売上の2.5%。マクドナルドの社員、パートにかかる費用と同じ額がロイヤリティで支払われるんですね。ただ、労務費は最大の費用項目ではなくて、広告宣伝費、販促費の方が大きいんですけどね。

06年の短信を上げておきます。

米マクドにとってこのロイヤリティはおいしいですね。本書でも触れていますが、ロイヤリティは日本マクドナルドの売上にかかるのであって、利益にではありません。日本マクドナルドの支配者たる米マクドがロイヤリティの極大化をはかろうとするならば、売上を極力伸ばす戦略を日本マクドにとらせることになります。日本マクドナルドの利益を少々犠牲にしても、売上げを伸ばせば良い。利益を削っても値段を下げて売上を増やしたい、そうしたインセンティブが働くわけです。

マクドナルドの極端な低価格戦略はそういう眼で見ると分かりやすいですね。本書の第一章は『低価格路線は藤田のオリジナル戦略ではなかった』という項目から始まります。では、誰の戦略か。明らかですね。

本書では上場までの出来事を時系列で追っていて、ここで書いているような主旨について整理して書かれているわけではありませんが。

上場に消極的だった藤田氏が、上場に決断する背景にこのロイヤリティの問題があるわけですが、それは次回にて。



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