この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『クルマの渋滞 アリの行列』-『渋滞学が教える「混雑」の真相』という副題がついている興味深い内容の本

2017-05-12 10:38:35 | 最近読んだ本・感想
                         西成活裕著  2007年  技術評論社刊

    【 2017年5月5日 】  

 かなり前の本であるが、図書館で見つけて面白そうなので読んでみる。

 高速道路を走っている時、事故でもないのに(それは、あとから分かるのだが)渋滞に巻き込まれるときがあって、かねがね《どうしてなんだろう》と思うことがあった。
 適当な間隔をあけて、高速道路を順調に流れていた車列の先頭の車が、何らかの事情でブレーキを踏んだかスピードを落としたとする。すると後続の車も次々とブレーキを踏み、それはあたかも《波が伝播》するように後方に伝わり、後ろの方の車は止まってしまうという。スピードを落としただけなのに、どうして後続の車が止まってしまうまで、事態が拡大するか不思議な感じがするが、それを解き明かしてくれるモデルが【セル・オートマトン】という単純なモデルだ。
 この「セル・オートマトン」というモデル、最初に『ガイドツアー・複雑系の世界』(2009年 紀伊国屋書店刊)で、《中央演算処理装置を持たない粒子による計算(演算)》と紹介されていたのを読んだが、「こんな面白い方法があるんだ」と興味を持ったのを思い出した。
 それは、「0と1でけで構成されている列、あるいは格子のもので、一定の規則のもとで変化していく」というものだ。それが、《一定の規則の設定の仕方》によって面白い幾何学模様を描いてくれるから不思議だ。

 これを《車の渋滞》のモデルに適用しようとする試みがこの本で書かれている。興味津々。

         
                 【 同署 P-57 より抜粋 】

 火災などで、部屋から大勢の人が避難する場合には、格子状のモデルが使われる。

          
                【 同 P-88 より抜粋 】

 バス停でバスを待っている時にイライラすることがある。時刻表を見ると、夕方の退勤時間だから10分おきにに来るはずのバスが、20分待っても来ない。ひどいときはそれ以上待たされることもあったりして。やっと来たと思ったら、満員で・・・。と、そのバスの後ろを見ると、空のバスが2台も続いてやって来たりする。
 この【だんご運転】も特別の手立てを打たない限り必然のことだという。だから時折、先を急ぐのに《待ち時間の調整でしばらく停車します》とか言われたりして。

 それから他にも、《連休前の銀行のATMの前の列》や《スーパーのレジの列》。これらは、【フォーク待ち】という方法で、イライラが解消されるように対応策がとられていることが多くなったが、《コンサート・ホールでの女子トイレの長い列》。男性として、こちらは《何とか対応を取ってもらわなくては》といつも気の毒に思う。

 日常生活以外でも、【回遊魚や渡り鳥の規則的で集団的な整列移動】や【急激なその乱れ】についても解説されている。

 
 なかなか興味深く、面白く読める本である。



      






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