~プラモんモんな徒然に~

構えず気負わず感化されながら妥協との狭間の羞恥サイトです。

モノづくりのあり方 広島の車会社から

2015-10-31 | 旅行・社会見学

 

 

モノづくりのあり方 

或いは宗一郎イズムな車会社から伺える日の丸魂

 

 

 

 

今になった話ではないが自動車の若者離れが深刻だそうだ。

 

考えてみれば、交通網が整備された国内で自家用車を所有する意味とは何であるか。税金等の諸経費や燃料代の維持費の方が公共機関を利用するよりお金が必要だ。また、レジャーで必要な時にはレンタカーを使う方が良い場合だってある。ある統計データによればレンタカーと自家用車(この場合は新車購入前提)を3年以上乗った試算でもレンタカーの方が安く済む場合だってある。根本的にCO2の大気汚染だって他人ごとではない。

現代の必須アイテム携帯端末等の方が実用的でコミュニケーションツールとしては利が叶っているし、趣味の多様化で随分と専門的な価値観が拡散して定まらない感じがする。

 

返りみれば車は商品として本当に魅力を失ったのだろうか・・・。

 

例えば動力性能(特性)の均一化がある。動力がAT主流になったのも一つの要因だ。私が自動車免許学校で取得したころは教習車がMT主流だったので随分と乗り慣れるまで苦労させられた記憶がある。しかし、自動車がどのように動いているかというダイレクトな仕組みは少なくとも操作する事で理解できたものである。

数十年前からではあるがAT限定免許が世に現れたのも若者の自動車離れが多分影響している。しかし、ATの便利さが運転の過信に繋がり信じられない危険な運転をするドライバーが増えた気もする。故に加害者に成り得る危険なモノを率先し所有する必要性が感じられないのが今の若い人の空気感なのだろうと思う。

思い出してみると幼少時、自動車は憧れの象徴であった。男の子ならせっせっと落書き帳に書いていたのは信号機と車だったような気がしている。ECOな現代と違い、所有指標を示すが如く車格や排気量だけが節操なく跳ね上がる。実に幼稚な理由ではあるがデートアイテムに絶対必要と思い込んでいた頃もあるし、そんな位置付けで世の中に蔓延し価格もこなれ、自動車は特別なものでなく愛知県某車会社のお陰か当たり前に所有できるお手軽な家電製品へと衣替えしたかのようだ。

それはある意味どんな商品でも当てはまる“馴染んだ価値観”の進化であると云える。

果たしてそんな中、新たな魅力を探ろうと国内自動車会社はどうか?何かしら最新技術のハイテク化偏りでハイブリットエンジンの名前が一人歩き、その新たな付加価値分本体価格が高くなる始末。ハイブリットエンジン技術は冷静に考えれば特別経済性が高い訳でなく(この辺りは調べると直ぐに判る)いい加減右も左もと飽き飽きしていたところ、新たに購買意欲を誘うメーカーが現れた。昔から存在したメーカーなのだがその安売りイメージが強過ぎて主力メーカーからはランク外的なマイナスイメージが強く、お恥ずかしながら私自身もうっかりしていたのだ。

 

そのメーカーとはMAZDA(マツダ自動車)である。

 

 

話が外れるがマスキー法と云うのをご存じだろうか、1970年アメリカのマスキー議員提唱による排気ガス規制である。厳しい排気ガス規制を目前に米国大手車メーカーが到底クリア出来ないと尻込みする一方、4輪事業に本格参入し始めたHONDAがCVICで世界初、マスキー法をクリアしたのである。

私はそんなHONDA情熱の贔屓者であったが創業者本田宗一郎氏亡き後の現体制のHONDAで誉れな逸話を彷彿させる情熱が近年薄らいだと嘆いていた。ところが、まるで宗一郎氏のモノ作りの魂が乗り移ったかの勢いが現在のMAZDA自動車には満ちている。約8年前ほどから着々と技術研究や企業努力を積み重ねてきた成果が実り始めたようだ。

主要メーカーは一斉にハイブリット傾倒する中、マツダは既存エンジン技術を熟成進化させる事でハイブリット技術と渡り合おうという訳である。ガソリンエンジンはもちろん国内では少数派のコンパクトディーゼルエンジンを積極的に取り入れ現在健闘している。その最初の本格投入ディーゼル専用モデルのCX-5が世界戦略でも成功し、数あるSUVカテゴリでは飛ぶ鳥を落とす勢いである。

“安売りのマツダ地獄”と揶揄された頃とは違い、現在、新型車種や現行車種も含めて本体価格はほとんど値引きはしない。しかしそれは良いモノを真摯に作れば判る消費者は必ず応えるという目利きの表れだろうし最近の販売数に如実に反映している。そんな折、ディーゼルエンジンで実績と人気があったVW(フォルクスワーゲン)社の10年前から恒常的な排気ガスデータ不正発覚、それが飛び火してBMW社やベンツ社にも新たな疑惑が浮上してきた。そんな渦中、マツダのハード面での技術を煮詰める地道な日本的発想のモノづくりが今後新たな指針となってくれれば、これ程誉れなことはないと思う。その心意気を応援したいと思う。

 

 

マツダの本社は広島市内に存在し、約2万人ほどの従業員を抱える市内の基幹産業会社の一つだ。何度か経営の危機に見舞われ、外資系の資本(フォード社)が投入された時期があったりと紆余曲折、14代目山内社長から飛躍的に改革準備は進められた。一般的に企業改革はコストの安い生産拠点での開発が基本であるがその中でも人減らしが最も効果的である。しかし山内社長は敢えてその手法を取らずに国内従業員を確保しながら広島生産拠点を変えず経営かじ取りを断行する。

 

 

各開発部門の専門的内向きさを改善、志向一体化を施しそれまでの根本的な生産概念を流用しながらも見直し、広島大学の協力を得ながら既存エンジンの圧縮比限界問題を研究し、新世代エンジン開発。またエクステリアデザイン部門にアート的な感覚を付加しながら、イメージ戦略も功を生じて近年勢いのある会社へ躍進をした。

小さな会社であり主要商品が車だから、注ぎ込む技術もより専門的になるが生き残るには真っ当な戦略でもある。

 

果たして今、企業体力のある国内主要メーカーはどれだけ真摯に車の楽しさと経済性バランスを取った商品を発売しているか甚だ疑問でもある。そんな贔屓だったHONDAは宗一郎氏のオリジナルイズムとは逆に他社の物真似はおろか企業コンセプトをも失いつつある。相次ぐ見切り発車な生産・販売が在庫過剰、リコール多発となり今だ終息傾向でない。F1のスポーツイメージを取り戻そうとしつつもその勢いは最近のレース結果からも精彩さに欠ける。その不甲斐なさに長年のファンとしては辛いものだ。

 

そんな感化体質な私がマツダ社見学を先ごろしてきたので少し報告しよう。

 

まず、マツダ本社のホームページから予約の連絡を行う。個人参加、団体参加どちらでも受け付けている。また英語での翻訳ツァーも組まれているので海外から見学者にも対応している。

参加日は本社休業日の火曜日以外の平日である。

参加当日は本社ショールーム場所から見学が始まるが基本的にカメラ撮影はマツダミュージアム内の撮影ポイント以外は生産工場内の道中含めて撮影禁止である。特に工場内ラインだけは企業秘密の為厳禁である。

尚、本社ショールームロビー内にターリーズコーヒーが併設されており待ち時間まで一服出来るのはありがたい。ツアー参加者に対してはドリンクに限り値引価格でいただける専用タグを受付から渡されるのでお忘れなく。手持ち荷物は本社のロッカーを借りて(無料)貴重品等最小限で身軽にして参加するとよい。

 

待つことしばらく専用バスで工場まで移動、約10分ほどで到着する。施設案内順で進めばマツダの名車達が貴方をお迎えだ。戦後復興の立役者達、その中に懐かしい三輪オートや三輪トラック、特撮マニアにはおなじみのコスモスポーツ(ロータリーエンジン)だってある(感涙!)ルマン24時間でロータリエンジン世界初優勝の快挙を遂げた787Bも拝める。近未来志向の水素車や次期雛形車も展示されおおよそこのラインだけで十分お釣りがくる資料具合だ。

 

 

その先にはラインを流れる工場が俯瞰で見渡せる仕組みである、何十台とラインをユニットごとに流れ組み立てられる車両は壮観でもある。軽々車両をヒョイと持ち上げるアーム類、いつもこの手の工場見学すると関心するのは魅せることを意識するかのごとく正確且つ地道に作業をする製造マシン達だ。何かの拍子に動きが乱れたりすればドミノ式に生産に影響するか?と思えばヒヤヒヤするものである。また、すべてが機械工程ではなく人の手が重要どころで関与する様も見れる、そこがモノづくり原点、良いではないか!

 

 

以上の工程を経て巨大ビルが如くの車両輸送船を見送りながら終了。因みにミュージアムを経て工場見学工程はすべて無料である。お得である。

工程終わりはお決まりのMAZDA土産コーナーが待ち構えている。意外にもグッズは赤ヘルとサッカーのサンフレッチェ広島グッズがメイン、車関連が超少ないのはいただけない。グッズの中では定番のキーホルダーもお勧めだ。私は記念に本社側の売店で一つ購入した。

このツアーに参加された方々と話すことがあり皆さん思いは様々だ。そんな中にドイツとイギリスから参加された方がいて少し話す機会があった。欧州ではディーゼル車の需要が高く、マツダのCX-5は近年人気車だとの事。また、マツダの社名は欧州でメジャーな社名だと云う。母国人として誉れある話ではないか。

当日は工場内に学び部を置く工専学生が見学、地元小学校等の社会見学と中々の賑わいの様である。未来は君たちの創造力と努力にかかっているぞ!

そんな車が好きな方は一度訪れてみると良い。

 

ZOOM ZOOM (車のエンジンの擬音 ブーブー を意味する)を掲げ、敢えて動力性能を“我慢”するエコカーではなく“操る楽しさ”を併せ持つエコカー開発のあり方を応援していきたいものである。

 

1.蛇足:

今更ながらマツダのロゴの綴りに疑問を感じた。ローマ字綴りではMATUDAであるのにMAZDAはこれ如何に?答えは調べれば直ぐ見つかった。創業者の松田重次郎が自身の名字とゾロアスター教の最高神で平和や知恵の神、アウラ・マズダー(Ahura Mazda)を掛け合わせたとの事である。

 

2.蛇足の蛇足:

当ブログはあくまでプラモなどの模型に関したネタを併せて掲載する趣旨の都合、マツダに関する特撮ネタプラモを押入れストックから制作中、近日中に甦らせる。(追記:11/20完成しました)1/24ハセガワ(アクト)のMATビハイクル、当時ロータリーエンジンで動く未来志向の市販車ということで賑わせた名車(迷車?)である。

基本的なキット構成はオーソドックスな部品割で問題はないが劇中では後期型仕様なので厳密にはプラモ単体では完璧再現ではない。その事に対して拘りを持てる時間は私自身ないのでスルー、兎も角完成させキットを成仏させるのを目的としているので相変わらず緩々制作ではあるが後々は簡単なベースをつけようかと思う。現代車はメッキモールなんてものが殆ど使われないのでこの手の車プラモを作るにはキラキラしたパーツを出来るだけ保つことが大事である。ハセガワには貼り付け形式のシートマテリアルがあるのでモールなどのワンポイント使用に重宝した。

 

3.蛇足の蛇足の蛇足:

そんな私は長年慣れ親しんだHONDA車(新車登録から9年、約13万Km超えのストリーム)を清く乗り換えて家内が運転できるダウンサイジング、DEMIO(デミオ1.5 XD ツアラー)ディーゼルターボ車(愛称:赤ウリ坊デミたん)となったのである。しかし、これが中々侮れない走りとトルク力で驚愕なこと然り。今後はコンパクトさと省燃費を活かし狭い道幅等に多い山城跡や古戦場巡りに役立ってくれることを祈るばかりだ。