戦車道D1グランプリ
うさPハウス製 西住みほ&秋山優花里 RQ Ver.
+ プラッツ製 1/24 シルビアS14
以前国内の車に対する関心の若者離れを記述した。
だが、最近国内レース様相も随分変わりつつある。
“痛車”なるラッピング車が台頭してきた頃、コアなファンによる内輪的共有感から脱し洗練されたデザインラッピングを大手専門メーカーが採用、メディア展開を始めた。その甲斐あってなのか社会的にもある程度認知された頃からだったか協賛スポンサーが冷え込みつつある国内レーススポンサーにサブカル代表格のアニメが絡み、それまで門外だった客層を取り込むことが出来た。
この潮流を決定的にしたのは2010年頃のボーカロイド初音ミクをラッピングしたスーパーGTレースからのような気がする。関わったのはグッドスマイルカンパニー。ミニカーなど関連グッズを販売する事で相乗効果が生まれ、凡そ門外だったアニメメディアファンが駆けつけ応援することになる。初音ミクという架空のキャラがレースカーに転送されたかのように擬人化されたソレは多くのファンから熱烈な支持を得ることになった。
この風潮が2輪、4輪問わずに近年普通に採用されて今やアニメコンテンツはレース界の試金石として不動の地位に着いたと云える。流石サブカルの華!ビバ、クールJapan!
さて、全日本プロドリフトグランプリ通称“D1グランプリ”と云う、速さで終着順位を争うのではなく、ドリフト(コーナーリング中にタイヤが滑っている状態を積極的にコントロールする走行技術)させながら魅せるパフォーマンス技術をプロ昇華させたレースがある。
提唱者は元プロドライバーの土屋圭一(ツチヤ・ケイイチ)氏。ドリフトキングの異名を持つ。現在はいろいろ内部的な確執経緯があり別カテゴリレースで展開中だ。
勘のいい方ならご存知とは思うがガルパンのレオポンさんチーム自動車部に在籍する2年生のツチヤはこの方がモデルだ。柔和な表情はキャラ設定にも引き継がれているのはご愛嬌。
そんな折、ガルパンのような美味しいコンテンツを見逃すはずもなく名古屋に本社を持つPACIFIC RACING TEAMが過去にいくつかアニメコラボした経験値をもとに2014年からD1グランプリにガルパンラッピング車で参戦。他にアニメ、ラブライブとの2面タイアップで現在も展開中だ。
今後も異業種コラボで良い意味で科学反応しファン層に多様性ある厚みが増すことは大いに歓迎だ。
もともと私がガルパンを支持してきた経緯もこの状況に似ている。それまでどちらかと云うと重箱の隅を突く技術論のみが突出し模型雑誌の功罪で紙面ネタを稼ぐ事のみ終始し、ミスリードによりAFVプラモ業界が盆栽化していく傾向が我慢ならなかった。一時はそんな閉塞感からくる理屈こき輩とAFVプラモに嫌気がさした時期もあった。(蛇足ながら現在も余程でない限り模型雑誌は購入していない)
そこに突然現れたガルパンというコンテンツがそれまでのAFV模型状況を一変させて、ガンプラ世代の若いモデラーも喚起、間口が広がり関わった大洗市にも福音をもたらし、AFVコンテンツの楽しみの多様性を肯定する空気感も生まれた。あくまで趣味事とは云え現実世界の戦車運用に関しては倫理観が問われるデリケートな事は変わりないが何でも切っ掛けが必要なのだ。
故司馬遼太郎が“この国のあり方”という著書で“無思想という思想”そして“好奇心”を併せ持つ国民性を美徳であると云っていた。受け入れる心の許容の大事さ。そんな大層なと恐縮ではあるがガルパンの世界観も支えている根底に案外近いかもしれない。
そのクロスオーバーネタを含んでのレーシングチームコラボ。意地悪な見方をすれば関連周辺にマネー臭プンプンではあるがそれは資本社会本来の姿なのだ。後は我々ユーザーが真摯な目利きをして正当評価する知識を持ち選択すれば良いことなのだ。
さてそんな長々と書き連ねて作例の紹介である。
上記コラボの結果、公式イラストであんこうチーム面々と今年はライバル隊長チームの面々がレースクィーン宣伝画を果たす。露出度が必然的に高くなる事は致し方なし。何だか手塩にかけて育てた娘たちがどんどん親元から離れ世間ズレしていく心境である(苦笑)←かなりアブナイ。
作例は“うさPハウス”さんの近作でその公式イラストをモチーフにしたものである。部品構成は高レベルで纏められていてカラーレジンを使用した贅沢な仕様だ。但し肩から胸部辺りが今回はやや勘合が悪く最後まで微調整は難攻した。
再三申しているが私は出来るだけ作業を早く終わらせたいので瞳デカール成るモノが付属しているかがひとつの判断基準となる。この商品は付属しているがやはり白の発色はマスプロ製品に及ばないのでデカールの上から適時リタッチする。ロゴマークも付属しているが最近の再販分からは公式元の都合でPACIFICマークではなくガルパンの題字に変更されている。
実はこのキット首から下は共通部品の為頭さえ他から持って来ればあんこうチームや他のメンバーにも改造できる要素(又はあこぎな効率的な商品構成とも云う)を持つ。
多少の変化を持たせるために別売りでパラソルと支える手の部品が発売されている。
塗装に関しては毎度ワンパターンの準サフレス塗装。うさPさんのキットは気を利かして肌色レジン成形ではあるのだが型合わせのラインに沿って色むらが生じているので薄く塗装をのせる事で発揮されるサフレス塗装にはやや不利である。ぎりぎりの塗装濃度を保ちつつ塗り重ねカバーするしかない。レース服はメリハリ効かせて艶ありラメ塗装とする。
後はお手軽自作ベースにのせて見映えUPとする。世界観が広がって私は好みな手法である。
そして今回のもう一つの主役がシルビアS14である。プラッツがフジミのキットとカルトグラフのデカールを同梱してリアスタビライザーをレジンとエッチング部品で再現した雰囲気重視のプラキットである。
車体は市販車のままなので色々と改造が多岐に渡る。フロントバンパーとエアロパーツがパテまるけ。最も目立つ変更点はボンネットのエアスクープの加工。前後のオーバーフェンダーの加工が難易度が高い。リアバンパーはそれっぽい仕上げで誤魔化す。拘るとキリが無いのでほどほどの妥協感は必要。車内は基本そのまま。お遊びでタミヤ製マツダロードスターから付属女子フィギュア、通称マツダろど子をP・J着用西住みほ風に小改造。実際のおねーちゃんがコスプレしているようで妙にナマい。
カルトグラフのデカールはそこそこ追従性があり問題ないと思えたのもつかの間、徐々に乾燥につれて塗装面にクラックが入ってしまった。デカールとクリアの乾燥タイミングの問題もあるが最近カルトのベースに使われているインク素材が微妙に関連しているのではないかと思う。
・・・・・といかにもS14をここまで作業したかのように記述しながら、今回はモデルワークス会員“のりを”氏に私が依頼、コラボしたものである。以前にも早作りの達人で紹介したが現在も色々影響を受けているのは変わらず。逆に彼がどれくらいペース配分で完成させるかに興味あったのだ。←検証実験
しかし、彼の制作方法は何も変わった裏ワザはなく只作るのみ(笑)完成までに約2週間半位だったように思う。リアルタイムで制作進捗具合を見ている限り確信したのだ、彼の制作スタンスを・・・
・・・それは彼は朝方モデラーだったのだ!!(・・・多分)
朝早く起きて僅かな時間も惜しまずただ作るのみ、本当にそれだけで小細工も何もなく何とつまらない(笑)
しかし、それ以来私もほどほどに寝て仕事前の2時間位早起きして制作している。少ない時間を捻出する努力を惜しまない、これが未完成病の対処方法と云う事を教えてくれた“のりを”師匠を見習うべし!
また何かでコラボするかもしれませんが・・・乞うご期待(?)