鉄肝(tekkan)

お酒はよく噛んで呑みましょう

さらば 忠正 (吉屋酒造)

2009-04-01 23:28:50 | 
吉屋酒造さんは静岡浅間神社の程近く賤機山を背にする蔵で、
静岡市の酒呑みにとって馴染み深い蔵です。
創業宝暦元年(1751年)ですから258年になるのですね
現蔵元は16代目、エピソードには事欠かない老舗です、
ここの酒を楽しんだ方には山岡鉄斎・勝海舟などの名前が出るほど。

  

そんな吉屋酒造さんが昨日3/31をもって廃業されました。
跡取さんとか、杜氏さんとか、漏れ聞えてくる理由は何であれ
静岡市で258年もの間、酒を醸していた蔵が無くなってしまった現実は、
地元の酒飲みとしては寂しさを越えて呆然としてしまいます。

実は、有る事がキッカケで吉屋酒造さんの酒を意識的に敬遠していた時期があります。
原因は些細な事だったのですが、何年もの間口にしなかったのです、
今から考えると「勿体無い事をしていたな」と思います。

私が始めて呑んだ日本酒は吉屋酒造さんの酒でした、
忠正の二級酒です、恥かしい話ですが、飲酒しても良い年齢に達しておらず
一時間ほどで一升空けてしまいました、その後は・・・ご想像の通りです(;´Д`)
成人してからも長く贔屓の蔵だったのですが、前述の敬遠期はまったく呑まず、
その後も時々舐める程度の付き合いになってしまいました。
廃業となると、痛ましくも懐かしい酒との出会いや、忠正が傍らに何時も有った時の事は、
遠い遠い思い出になってしまいます(;´Д`)・・・


酒飲みなのだから酒を呑んで“さらば”と言おうヽ(´┐`)ノそーしよう。

純米吟醸です。
 
裏書のお勧めに従っての冷も美味いのですが、燗にしても“ぽんやり”美味い(´ー`)ノ

「全てはココから始まった?」忠正普通酒(ノД`、)
 
これより美味いと感じる普通酒は世の中に沢山あるかもしれませんが、
これを呑んだ時にしか思い出せない記憶が私には有ります。

特別本醸造 安倍街道
 
改めて呑むと本当に美味い酒だと思いました、少し、、、泣けてきた。
市場在庫を少し買い集めとくか(;´Д`)食中酒としても秀作だと感じました。


さようなら吉屋酒造  ありがとう忠正

最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (べこ)
2009-04-02 22:41:19
お帰りなさい~。随分お忙しかったご様子。お疲れ様でした。
250年以上も続いた酒蔵が無くなってしまうのは寂しい限りです。私も記念に(?)買おうかな。
返信する
>べこさん (鉄肝)
2009-04-02 23:46:29
ただいま戻りました~ヽ(´ー`)ノ

なんとか野暮用をこなすと、ヘトヘトで就寝のパターンを
二ヶ月程繰り返しておりました。

とても不器用なので無駄な動きが多くて疲れるみたいです。

“ちょんまげ”ヘアースタイルの人達が行き交っていた頃から、
存在していた蔵が無くなるのは、とても残念で不思議で・・・
市場在庫の有る内に是非ヽ(´ー`)ノ
返信する
あの忠正が (くろ)
2009-04-04 16:37:41
私は、お酒の卸問屋で3年ほど働いていたことがあります。
そのころ、「明ごころ」や「忠正」などがよく売れていました。
酒蔵さんだけでなく、どこも不況で大変なんでしょうけれど、昔からのお店が無くなるのは寂しいですね。
返信する
>くろさん (鉄肝)
2009-04-04 21:37:10
>お酒の卸問屋

もし私だったら仕事にならないかもですヽ(´┐`)ノ天国

>明ごころ

流転の銘ですね 有井酒造→名誉冠酒造→山本本家で、
カップ酒になっているのを最近見て、とても懐かしかったです。


これは妄想に近い希望的観測なんですが・・・
掛川市の萩の蔵酒造さんが忠正の銘を継いでくれないかな~とか・・・(;´Д`)モゴモゴ
返信する
あの忠正が・・・ (静岡ロックンロール組合 常任理事)
2009-10-19 17:35:14
今頃ですが、このニュース、一昨日(10月17日)に旧市内の飲み屋で聞きました。昨今の健闘に遠くより拍手を送っていた者として、誠に残念です。忠正との出会いは、1971年の初夏でした。宮ヶ崎の酒造工場のすぐ裏手に「片羽町公民館」という建物があり、篭上中学校を卒業した仲間のお陰でここを音楽の練習場に使わせて貰ってました。わたしは西千代田に住んでいたので、そびえ立つ忠正の煙突を目指して公民館に通ったものです。その年のヤマハライトミュージックコンテスト静岡大会に出た時、わたしのグループの名前は、なんと「忠正」。オリジナル楽曲の題名も「忠正のブルーズ」でした。グループはその時だけのセッションで、楽曲もただのブルース・インストゥルメンタルだったので、何でもよかったのですが、よほど煙突の印象が強かったのでしょうか。当時の工場ははあまり活気がなかったような記憶もありますが、その後、酒を呑むようになってからは、何かに付け「忠正」「忠正」と騒いでおりました。店に置いてあれば、迷わず「忠正」を指名。その都度、ワケを知らない他人に上記の話を聞かせる、という悪いパターンもくり返しておりました。それももう出来ないのか。現在は静岡を離れていることもあって、知るのが遅すぎました。重ねて、残念、です。お邪魔しました。
返信する
>静岡ロックンロール組合 常任理事さん (鉄肝)
2009-10-19 20:54:21
歳を重ねるほどに硬化の進む心の、辛うじて残る軟らかな部分を摑まれたような・・・
そんな心持であります。何回も噛締めるようにコメントを読ませて頂きました。
良い話を伺う事が出来ました、賤機山と忠正の煙突が御仲間との練習を聴いていたのですね。

御存知のように日本酒は蔵から出荷されてから、ほとんどが一年で消費されます、
今年の冬で忠正の酒は本当に幻になると思います。
吉屋酒造の建物はまだ健在でして、記事のトップに貼らせて頂いた看板には、
暗くなれば明かりが入ります。

>名前は、なんと「忠正」
>オリジナル楽曲の題名も「忠正のブルース」

印象的だったのですね煙突。でもコメントを読ませて頂いた私が感じましたのは、
大辞林によると【忠】とは、「真心をこめて物事をすること」では【真心】とは、
「偽りや飾りのない心」・・・書いて字の如し“中の心を正しく=忠正”これって、音楽ですね。
特に十代だった頃、その爆発する心は閉塞感で身悶えしていて、時に過激に・・・。

今年は「昨日まで当たり前」だったモノとの別れの年でした、
忠正の廃業と同時期に、新静岡センターも無くなりました、SEIKOの時計台を見上げても、
もう今は、空が見えるだけです。


>静岡ロックンロール組合

懐かしい思い出が蘇るハンドルでコメントを頂戴いたしました、♪ばかっちょい♪。
「こんな生温い空気が溜まって動かない所なんて!」静岡には戻らない積りで、
振り向きもせず乗った電車の車窓から見た安倍川、出発したばかりなのに
ポロポロ出て来た涙を、頬杖をつくフリして誤魔化した懐かしい記憶。

コメントを頂けた事に深く感謝いたします。ありがとうございます。
返信する
あの忠正が・・・ (静岡ロックンロール組合 常任理事)
2009-10-20 15:20:07
さっそくのご丁寧なお返事、ありがとうございます。恐縮至極です。わたしの投稿文より胸にジンと来るお話しでした。今更ですが「中の心を正しく」いたします。そうだ、新静岡センターもなかったな。北街道を通ってびっくりしました。やはりあのセイコーの大時計ですね、心に残っているのは。さて「忠正」はまだ市場には残ってますか。知らせを聞いた飲み屋にも、翌18日に訊ねた唐瀬の酒屋にも、もう在庫がありませんでした。通販で探そうかな。実は昨晩、静岡に住んでいる(わたし以外全員)ロックンロール組合員に「忠正工場で演奏会だ」と煽ったところです。何の反応も返って来ませんでしたが。なお、昨年末に35年経ってCD化された『永久保存盤/静岡ロックンロール組合』付属ライナーノーツの「年譜1971年」の項に「忠正」出て来ますよ。ご存知でしたか。では忠正で乾杯。
返信する
>静岡ロックンロール組合 常任理事さん (鉄肝)
2009-10-20 20:06:39
返信をありがとうございます。

>CD化された『永久保存盤/静岡ロックンロール組合』

これは申し訳ない事であります、CD化された事さえも知りませんでした、
Amazonで早急ポチッて来ました、到着が楽しみです。
静清バイパスもSHIZUOKA109も無くて、紺屋町地下名店街では数年後に
ガス爆発の災難に会いながらも逞しく店を続けられる事となる、
キャット&ボアから良い匂いがして、パルコの場所には西武があって、
駿府公園には怪鳥が舞い降りたような静岡駿府会館が建っていて、
そこで生まれて初めて経験した“ライブ”では、興奮して鼻血を出し係員に介抱され、
駅ビルのパルシェだって影も形も無く、「21世紀にはオッサンになってるんだなぁ」
なんて漠然と考え、周囲の大人を見ながら「あんなのには、むならないぞ」と心に決め、
カワイ楽器で慣れた手つきでLPを選ぶ・・・あの頃の自分。
そんな時代に戻る事が出来るタイムマシーンの搭乗券を予約した気分です。

>「忠正」はまだ市場に

店頭販売で私が酒を購入する立ち回り先には残念ながら在庫は0です、
楽天あたりも全滅だと思います。
ここだったらと思う場所をオンライン上ですが確認しましたので御案内します。
ブン殴られた様な超辛口酒「忠兵衛」の在庫があるようです、
タッチの差で売り切れも考えられますのでTELにての確認をお願いします。

丸河屋酒店(四合瓶)飲める店の紹介もあります。
http://www.marukawaya.com/index.html
http://www.marukawaya.com/yoshiyashuzo/chubei.html

松永酒店(一升瓶)
http://www5a.biglobe.ne.jp/~sakasho/index.html
http://www5a.biglobe.ne.jp/~sakasho/itirann_tyuumasa.html



2009-10-19に寄せて頂いたコメントにお返しするのに書き忘れた事があります。

>当時の工場ははあまり活気がなかったような記憶

酒造場といいますのは活気が外からは、なかなか感じられない施設でありまして、
機械仕掛けで物を製造する工場とは大きな違いがあります、
静かですが微生物と杜氏さん、蔵元さんにより美酒は醸されているわけです。

静かですからかえって外部の音が蔵の中に入って来ます。
極端に言いますと蔵と言う大きな冷蔵庫で酒は醸されています、
音源が近ければ入って来ます、きっと常任理事さんの奏でられた音楽を
酵母や麹、酒は聴いていたのではないかと想像します。


常任理事さんにとってのタイムマシーンの搭乗券、
忠正(吉屋酒造)の酒を無事に入手される事を祈ります。
返信する

コメントを投稿