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立正大学vs 國學院大学(関東大学リーグ戦G2部-2018.11.04)の感想

2018-11-10 03:09:13 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


リーグの終盤戦は熾烈な優勝争いと入替戦回避をかけた壮絶なサバイバル戦。しかし、それは1部だけのことではない。2部でも1部昇格(あるいは復帰)を夢見るチーム同士の熱き戦いがあり、もちろん入替戦回避に向けた戦いも同じようにある。どうしても大学選手権の戦いもある1部だけが注目を集めることになりがちだが、2部の戦いが内容で劣る(面白くない)ということはない。それは後ほどたっぷり書くとして...

1部と2部のチームが相まみえる機会として、春の関東大学ラグビーフットボール連盟主催の「セブンズ・ア・サイド」(通称:リーグ戦セブンズ)がある。1部側のチームのスタンスもあるが、ここでは2部所属校が1部所属校を破ることは普通に起こっている。ラグビーの内容ではむしろ逆転しているのではないかと思わせることもしばしば。実際に2014シーズンと2015シーズンには2年連続で2校同時入替も実現している。直近の昨年末の入替戦にしても、専修大学が関東学院を破って復帰、立正大学は拓殖大学と引き分け(その場合は1部が残留のルール)で涙を呑んだ。

そんなこともあり、この時期になると入替戦出場の可能性があるチームからは「偵察隊」が派遣されることになる。2部リーグ第6節の2試合が行われるここ国士舘大学にも間違いなく1部の3チームから偵察隊がビデオを抱えて訪れているはず。普段は1部の試合を追いかけている私も気分は偵察隊であったりする。この日に限っても昨シーズンは入替戦で涙を呑んだ関東学院と立正大学の状態はどうか、あるいはここまで好調な東洋大と國學院大の実力は如何に?と使命感を帯びていない気楽な観戦者ではあるのだが。

さて、この日の2試合はここまで1敗同士で相まみえる立正大vs國學院大と全勝対決となった関東学院vs東洋大。とくに、前節の試合で関東学院に対し僅か2点差での惜敗を喫した國學院大の戦いは要注目。また、別会場で戦う山梨学院は苦しい戦いが続いている。風雲急を告げる2部で何が起こっているのかなど興味は尽きない。



◆前半の戦い/お互いに攻めあぐむ中での拮抗した展開

第1試合はお馴染みのオレンジのジャージーに身を包んだ立正大と小豆色がチームカラーの國學院大の対戦。双方ともに既に1敗を喫しているため、1部昇格の戦いに向けた2枚の切符を掴むためには絶対に負けられない戦い。ピッチに登場した両チームの選手達を見比べてみると、留学生3名だけでなく明らかに立正大の方がサイズが2回りくらい大きく見える。1部でも遜色ないくらいと言えるだろう。戦う前から立正大がパワーで國學院大を圧倒するであろうと誰もが感じた中で試合が始まった。

予想通り序盤から体格差の優位を活かす形で立正大が優位に試合を進める。渾身のタックルで対抗する國學院大は防戦一方だが、立正大も有効にボールを運べているわけではない。また、立正大はとくに自陣からはキックが多い展開。それもコンテストキックではなく、エリアを取ることが狙いのロングキック。このことが寧ろ國學院大に蹴り返すかボールキープするかの選択肢を与えていたことは否めない。そんな状況に1部での立正大の試合ぶりが思い出された。概ねの印象は「大人しいチーム」で、身体をガチガチ当てるよりもキックが多いプレースタイルは変わっていないようだ。

先制したのは立正大。11分にFWでボールを前に運んだあと、左に大きなスペースができたところで巧みなキックパスが決まりトライ。ゴールキックも成功でまずは立正大が7点をリードした。立正大がキック主体ということもあり、ボールを持つ機会が多い國學院大は立正大とは逆に自陣からでも9シェイプを使いながら順目にボールを動かしていく。意図がはっきりしていて大きな選手達を相手にしてもボールを簡単には失わないのラグビーは見応えがある。ただ、この日は連携がうまくいかなかったのが、BKでアクセントを付けるところでミスが目立った。気負いもあったのだろうか。

お互いが決め手を欠く中でスコアは7-0のまま前半の終盤にさしかかる。32分、國學院大が立正大陣に奥深く攻め入ったところで立正大に反則。國學院大はゴール正面の好位置でショットを選択し3点を返した。結果的にだが、この3点がものを言うことになる。そんな拮抗した試合展開の中で、立正大がサイズを生かし切っていないことにも気付く。國學院大のタックルがしっかりしていることもあるが、それだけではなさそう。前半はそのまま7-3と立正大のリードで終了した。



◆後半の戦い/國學院大が見せた驚異の粘りに拍手しかない

後半もキック主体の攻めの立正大に対し、ボールキープで攻め上がろうとする意図が明確な國學院大の図式は変わらない。お互いに決め手を欠き、攻めあぐむ状況の中で23分にようやく得点板が動いた。立正大陣22mライン手前のスクラムから國學院大がオープンに展開しラック、そこでできた相手DFの穴をつく形で右WTBの選手が一気にタテに抜けて約30mを走りきりゴールラインまで到達。ゴールキックも成功して國學院大が10-7と逆転に成功した。

ここでようやく立正大が目覚めた。キック主体の攻めから個々のパワーを活かす形でボールを繋ぎ攻め上がる。これも回想だが、1部で戦っていた立正大が終盤に見せる猛攻に「なぜ前半から積極的にこの形で攻めないのか?」と何度も感じた事を思い出す。立正大のパワフルな攻めに國學院大は自陣で防戦一方となる。ただ、立正大の攻めは単調の感が強い。外に大きくボールを動かしてエッジを効かせればゴールラインまで届きそうな場面でも内、内に攻めてしまう。

残り時間が少なくなった36分にようやく立正大がトライを挙げ、GKも成功で14-10と再逆転に成功。このままボールキープで時間を使えば勝てる所まで来た。しかし、ここからの國學院大の(そのパワーはどこに残っていたのか?と思わせる)勝利を目指す執念は見事だった。「ここで負けたら終わりだ。」といった思いを全員でシェアする形でキックオフに対するカウンターアタックからモールを使いながらで力強く前進。そしたチーム関係者の想いはゴールラインまで届いた。ゴールキック成功で14-10と再々逆転に成功する。

もうあとがなくなった立正大。キックオフから國學院大に強力なプレッシャーをかけ、ゴール前でマイボールスクラムの絶好のチャンスを掴む。FWでボールを前に運んでゴールラインを超えればサヨナラトライ。しかし、國學院大は自陣を背にした大ピンチを凌ぎきりターンオーバーに成功。ボールをタッチに蹴りだした時は手元の時計が44分だった。劇的な勝利に國學院大學関係者から大きな歓声が上がる。こんな試合は1部でもなかなかないというくらいに感動的な幕切れだった。



◆試合後の雑感/國學院大の渾身のディフェンスなくして語れない試合

立正大がもっと巧く攻めていればという印象はあるものの、大きな相手を畏れずにタックルに次ぐタックルで身体を張り続けた國學院大の渾身のディフェンスが呼び込んだ大勝利。國學院のラグビーと言えば花園で多くの実績を誇る「久我山」であったり「栃木」であったりと高校がすぐに思い浮かぶ。しかし、これからは大学もプレゼンスを増して行くのではないだろうか。そんな熱き戦いだった。このあとに行われた第2試合で「偵察隊」はさらなる驚きを経験することになる。

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