主に海外で稲作に関する仕事に従事しております。
稲を食害する動物はネズミやスズメなどいろいろおりますが、国や地域によってかなり特徴があります。私が今まで経験した害獣で一番厄介だったのはカバでした。
25年ほど前、ケニヤのビクトリア湖付近で稲作農家と一緒に仕事をしていた頃の話です。
まだ暗い明け方に雨が降ると、きまってビクトリア湖から排水路をさかのぼってカバが水田に侵入するんです。で、出穂間近の、つまりもうすぐ穂が出て開花する時期の稲を地際からごっそり食害して行く。食うだけ食って日が出るころには湖に帰ってしまうので、村から離れて街に住んでいた私は、その現場を実は目撃したことはありません。日が高くなってから田んぼにノンビリ来てみると、昨日まで青々と茂っていた稲が、まるで収穫したかのようにきれいになくなっていてビックリ。でも切り口は鎌で刈ったような直線的なものではないので、すぐに「カバによる食害」と分かります。田面に残された足跡から推測するに、複数頭が連れ立って食べにくるようです。
収穫1か月前に収穫対象物そのものがなくなってしまう農家のガッカリは想像以上であります。
なんとかしてよー、と泣きつかれても、対応策がちょっと思い浮かばない。これがスズメとかならまだしも、相手がカバですからねー。どうすれば良いのか皆目見当がつかない。生身の人間があんな猛獣に対抗できるはずもない。ターザンじゃないんですから。
ターザン、ホントはいませんが、狩猟監督官(game warden)という立場のヒトがいます。
相談すると、鉄砲持って町から来てくれます。で、カバに向かってズドン、バキューン。問答無用で射殺してしまいます。はっきり言って、撃ち殺されたカバが稲を食害したカバかどうか確認していないと思います。カバに関する苦情があったので出動してカバを射殺しました、というだけのことのようです。でも、見せしめ効果があるのか、その後しばらくはカバによる食害はなくなります。
さて、撃ち殺されたカバはどうなるか? 生きてるカバは怖いけど、死んだらただのお肉であります。駆け付けた地域住民たちが寄って集って解体腑分けしてお持ち帰り。今夜の夕食になります。
上の画像は数日前の新聞記事の切り抜きです。ナクルで住民に迷惑をかけていたカバが駆除されたというニュース。記事によるとこのカバは、やはり収穫前の農作物を食い荒らし、追い払おうとした住民たちを逆に追い掛け回し、ついにはヒトを殺めてしまったという凶状持ちだったらしい。しかし記事がより重点を置いているのは、射殺後にカバ肉を奪い合った顛末です。記事のタイトルも「カバ肉の奪い合い」となっています。画像中央に白く見えるのは、すでに皮を剥かれたカバ。取り囲んでいるのは刃物を手にした住民たち。笑顔でカバを切り分けています。
私? もちろん食べたことありますよ、25年前の話ですが。カバテキにして食べました。やや硬めのビーフ味でありました。
森林に関係する仕事をしています。
日本でも植えた木の新芽をシカが食べてしまったり、やっと育った木を熊が痛めたりしていますよ~。思わぬところで、カバちゃんとクマちゃんはお友達とわかりました。でも決して相撲をとったりはしないでしょうねぇ(^^)。
クマの害を抑えるために日本では、山の下の方にクマが好む果樹を植えて、ヒノキや杉を植えたエリアにクマが来なくても満足できるようにしたりして頑張っています。
カバの好みってなんでしょ~?
でもわかったとしても、手間がかかりすぎちゃいますか。ひっくり返してごらんとかって、言われちゃうかな~?
カバは本当に困ったやつですね。
昔ターサンに教わったカバ退治のし方をお教えしましょう。
カバはいつもは水中にいて目、耳、鼻を水中からだしてあたりを伺っています。なので後ろの低い位置の物はほとんど見えないのです。
なのでもし水田に上がっていたら、後ろからほふく前進で近づいてき、シッポを渾身の力で引っ張るのです。そうするとカバはカバタンキューとぶっ倒れて死んでしまいます。
カバのシッポは脊髄の神経と直につながっており、脊髄の神経は脳に直結しているので、シッポを強く引っ張られると、あっけなく死んでしまうのです。
居酒屋の帝王ターサンの話しによれば、ヒポポタマスの語源はこのことからきているそうです。
シッポに魂が宿っている動物、シッポニタマシイ→シッポコニタマシイ→ヒポコタマシ→ヒポポタマスにと呼び名が変化していったそうです。。このことは臭英社の故事付け大辞典にものっていました。
良い子は信じちゃだめだよ。
現在の座布団数3枚です。