下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
ミステリ・競馬・ピアノ・スポーツなどがメイン記事です。

麻耶雄嵩『まほろ市の殺人・秋~闇雲A子と憂鬱刑事~』

2007-02-22 22:59:59 | 
真幌市という架空の都市を舞台にした4人の作家の競作ミステリだそうで、
麻耶氏の「秋」と有栖川氏の「冬」を見かけたので買ってみました。
非常に薄くて軽く読めそうだったので、『夏と冬の奏鳴曲』を読む準備運動にはいいかなと。
(まだ読む決心がつきません。GW頃まで引っ張る可能性大ですね^^;)
ちょっと『暗闇坂の人喰いの木』のボリュームがもたれてるせいもありますけど。

この架空都市「真幌市(まほろし)」(「幻」ですね)の設定が色々書かれているのですが、
なかなかユーモアあふれるネーミングなどで、笑わせてくれます。
近隣市が「駄陰」(ダイン)、「九陰」(クイーン)、「土井留」(ドイル)なんてとこから、
「誘海町」(誘拐)やら「有梅製菓」(アリバイ)やら「舞久浜」(マイク=ハマー)なんかも(笑)
作家の方々も、どこを使おうかと楽しかったのではないでしょうか。

さて「秋」です。
真幌市を恐怖に陥れる連続殺人魔「真幌キラー」に挑む人気推理作家A子とその助手達。
刑事の天城憂は「メランコ」というあだ名をもらい、彼女と行動を共にする羽目になる。
捜査をあざ笑うように続く殺人。そこに「怪盗ビーチャム」もからんできて・・・

犯人が現場に残す「メッセージ」の意味とは何か? 犯行の動機は何か?
それが謎の主題ですが、A子の闇雲さが(笑)、本当は何なのか?という興味をそそります。

キャラクターの変な名前もさることながら、個性も相当なもので。
そんな極端に記号化された駒が動いていく、ある意味予定調和的な展開の前半から一転、
中盤以降は駒に微妙なずれのようなものが生じて、読者の読みを裏切っていきます。
その幻惑感が何とも言えず座りの悪い感じを与えているところに、
ロジカルな解答が提示されるわけですから、ポンと弾ける感じがするわけです。
今回はいい感じで腑に落ちました(^^)

非常に非現実的な感じはする設定なんですけど、「まぼろし」が舞台だから当然かも。
読後に余韻が残るところも、たなびく煙のようでいい味でしたね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿