下手の横好き日記

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瀬名秀明『BRAIN VALLEY』

2007-10-29 23:36:53 | 
上下巻という大作ですから、ちょっと手を出し渋っていた作品です。
しかし、買ったからには読まねば・・・と意を決して読んでみました。

日本の山間の小さな村に建てられた脳研究施設ブレインテック。
ヘッドハンティングによって急遽この施設で働くことになった孝岡は、
着任早々、村に住む鏡子という被験者と接触してから異常な体験をする。
手を触れた電気機器の故障に始まり、宇宙人との接触、拉致・・・
その体験に隠された「脳」の秘密、そしてブレインテックの目的を探ろうとする孝岡。
目くるめく「脳」の世界の果てに、彼が見た驚きの世界とは!?

これは、ちょっと普通の作家には書けないSFですよね。
巻末のものすごい参考文献の量を見たら、いかに調べた上で書いてあるかがわかります。
脳内物質と神経細胞、刺激の伝わり方、その反応、役割・・・
ものすごく専門的なことが書いてあるので骨が折れましたけど、
作中に登場する子供のジェイが上手い役割を果たしていて、
説明的描写にならずに、読者へと概略を理解させるのに成功しています。

事件は時系列で進んでいきます。
さまざまな人物の視点で、読者は「起こりつつある何か」を見ていくのです。
そこには、主人公・孝岡&彼の味方が知らない情報も当然あるわけで、
「お~い、そいつ何かたくらんでるよ」「このままだとヤバイよ」
というのを、読者だけが知りながらハラハラしている構成なのですね。

そして事件は佳境に入り、冒頭のテレビ中継の日にようやくたどり着くのですが、
この数時間にわたるクライマックスが・・・いきなりファンタジーなんですね(^^;
これまで論理的に進んできた物語、そしてその中で構築されてきた理論を、
打ち壊す・・・という言い方が乱暴なら、凌駕する・・・そういう展開。
『パラサイト・イヴ』の後半も、そういう傾向がありましたけど、
まあ、エンターテイメントなわけだから、ある程度の飛躍は仕方ないかな・・・
いろいろ考えることはあり、余韻のある終わり方とも言えるとは思いますけど。

最後の方のシーンなんかは、映像化すると美しい場面になるのかもしれませんが、
ちょっとこの作品の映画化は厳しいかな(^^;
過激に暴力的な場面も結構あるし、動物実験とか悲惨な部分もありますし。

瀬名氏の作品としては、あとは『八月の博物館』を買っています。
また、その気になったら読みたいと思います。


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2 コメント

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さすが! (あかね)
2007-10-30 20:27:27
内容が
ほんとに瀬名氏って感じの内容ですね
脳か・・・
パラサイト・イヴ以来
何気に手を出せずにいる方なので・・・
出来れば読みたいんだけどなぁ~
なかなか★

八月の博物館♪の方はタイトルが気になるので
viviandpianoさんのレビュー楽しみにしておりまっす
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瀬名先生 (viviandpiano)
2007-10-30 22:26:47
あんまり大きな作品は書いてなさげなのですが、
「八月の博物館」は有栖川先生お薦め本なので、
読まねば~っと思っています♪

けど、上下巻・・・本当に疲れました(^^;
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