夕日は次第に低く、水の色は段々納戸色になり、空気は
身に沁み渡るように濃い深い影を帯びて来た。
自然主義文学といえば、田山花袋。と大昔に習ったような。でも、きちんと読んだことがなかった。こちらは
大望を胸に抱えながら、チャレンジする環境に恵まれず、鬱々と田舎で教職につく男性の生涯を描いた話で、と
にかく主人公は鬱屈している。あーあいつはいいなあ、それに比べて自分は…あー東京行きたい、注目を浴びた
い、オレハマダホンキダシテナイダケ・・・噛み砕けば、そんな心境がくどいほど綴られる。
それでも嫌気がささないのは、それが明治時代の埼玉の美しい風光とセットで描かれているから。抜粋するの
に悩んで「なんでここ?」という変なところを選んでしまったが、この憂いを感じさせる風景から「清三は自己
の影の長く草の上に曳くのを見ながら時々自から顧みたり、自から罵ったりした。」と心情にリンクさせる表現
の巧みさに惚れ惚れするわけで。全編にわたり出てくる四季折々の自然の様子や、当時の人々の営みの様子があ
りありと目に浮かび、それだけで心が和む。こんなに自然豊かで楽しげなところに住んでるんだから、切り替え
て楽しもうよ〜なんていかにも現代っ子の軽薄なポジティブシンキングを押し付けそうになるくらい、いいなあ
と思うのである。でも、これが普通だったんだな、明治には。そんな、日本に当たり前に見られた情緒を、時を
超えてリアルに感じることができたのだから、それだけでも読む価値ありではないか。
主人公の鬱々とした心情はなんとなく落ち込んだ時の自分に重なるところもあり、辛い話でもあったが。ほぼ
実話に基づいていると知り、やりきれない悲しさが胸を塞ぐ・・・が、それもまた人生。この大いなる自然の営
み、時代の流れのなかで、ちいさき人間はこんなふうに生き、悩み、死んでいくんだなとしみじみと思った。
身に沁み渡るように濃い深い影を帯びて来た。
自然主義文学といえば、田山花袋。と大昔に習ったような。でも、きちんと読んだことがなかった。こちらは
大望を胸に抱えながら、チャレンジする環境に恵まれず、鬱々と田舎で教職につく男性の生涯を描いた話で、と
にかく主人公は鬱屈している。あーあいつはいいなあ、それに比べて自分は…あー東京行きたい、注目を浴びた
い、オレハマダホンキダシテナイダケ・・・噛み砕けば、そんな心境がくどいほど綴られる。
それでも嫌気がささないのは、それが明治時代の埼玉の美しい風光とセットで描かれているから。抜粋するの
に悩んで「なんでここ?」という変なところを選んでしまったが、この憂いを感じさせる風景から「清三は自己
の影の長く草の上に曳くのを見ながら時々自から顧みたり、自から罵ったりした。」と心情にリンクさせる表現
の巧みさに惚れ惚れするわけで。全編にわたり出てくる四季折々の自然の様子や、当時の人々の営みの様子があ
りありと目に浮かび、それだけで心が和む。こんなに自然豊かで楽しげなところに住んでるんだから、切り替え
て楽しもうよ〜なんていかにも現代っ子の軽薄なポジティブシンキングを押し付けそうになるくらい、いいなあ
と思うのである。でも、これが普通だったんだな、明治には。そんな、日本に当たり前に見られた情緒を、時を
超えてリアルに感じることができたのだから、それだけでも読む価値ありではないか。
主人公の鬱々とした心情はなんとなく落ち込んだ時の自分に重なるところもあり、辛い話でもあったが。ほぼ
実話に基づいていると知り、やりきれない悲しさが胸を塞ぐ・・・が、それもまた人生。この大いなる自然の営
み、時代の流れのなかで、ちいさき人間はこんなふうに生き、悩み、死んでいくんだなとしみじみと思った。
本を読むようになったのが結構遅くて、
国語も好きな教科じゃなかったもので、
この手の本はまったく・・。
上手くまとまった抜粋を読ませてもらうと、
読んでみたい気になりますね。
純文学のこの、遠回しの表現?、に、
たまにとても触れたくなります。
今あらためて読むと、おっと思うのもあるのですが。
抜粋のポイント、著しくハズしてるんですよ。
もっと秀逸な表現がいっぱい!
あらすじを語ってしまうと鬱々とした話なのですが
本当に描写が生き生きしていました。
お時間あればぜひ^^
iBooksで、無料でダウンロードできました。
読んでみますね〜。
電車移動の時とかしか読まないので、
やっとここの本、読み終わりました。
最後、なんか寂しい終わり方だけど、
この時代の小節ってこういうの多いですよね?
ほんと、描写とかすばらしいんだけど、
読後感がなあ(^_^;
お返事遅くなってすみません!!
読後感・・・たしかにカタルシスなしどころか
どよ〜んとしちゃいますよね^^;ごめんなさい。
だいたい純文学って「で?」って終わり方多い^^;