こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『色川武大』(色川武大)

2017-12-20 | 現代小説
立派な一生も愚かな一生もさして変りはない。
人は悔いを残さないように努力し、その努力はそれなりに収穫があったようで、
もちろんそれでいいのであるが、とことんの所ではやはり変らない。
この世は自然の定理のみでなんの愛嬌もないのである。

(『怪しい来客簿』たすけておくれより)

 又の名を、阿佐田哲也。麻雀放浪記の、といえばわかる人もぐんと増えるかもしれない。イ
メージは最後の無頼派…彼からすれば、伊集院静とか、まだおとなしいくらい。そういえば、
伊集院静の『いねむり先生』は色川さんがモデル。読んだはずだが、忘れた・・・読もう。

 てなことで。お噂はかねがね、という気分の作家さんだが、ちゃんと読んだのはお初。十代
から賭場に出入りし、放浪生活を重ねてきた人。さらにそうと知らずナルコレプシーの症状に
悩まされ続けた半生。半睡半生で見る幻覚の話は読む分にはおもしろいけど、これは正気を保
つのが大変!そんな凄まじい人生だけに、ベースに諦観がありつつ豪快。まじわる人々も、ま
た凄まじい。小説ありエッセーあり、いずれも普通でない体験に、圧倒的な才気がかけ合わさっ
て構成された世界観。人間て、こんなに無茶やっても生きていけるんだというプリミティブな
たくましさを感じた。自身を含む、さまざまな人生にふれた『怪しい来客簿』の抜粋がとても
興味深かった。通して読みたい。

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2 コメント

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Unknown (まさぽん)
2017-12-21 13:09:59
色川武大、そうですか、阿佐田哲也さんなんですか。
昔よく読みました。
単行本では読んでませんが、
あんまり好きな文筆家じゃないかも(^_^;
Unknown (usainu)
2017-12-22 08:13:14
おお〜よく読まれたのですか。
結果、好きではない、と^^
クセがある人ですもんね〜
いま「いねむり先生」読んでいますが
伊集院視点だと、なんとも愛らしく描かれていますよ。
まあ、冷静に見ればやってることメチャクチャで、異世界の人でよね。

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