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退学したら学費は戻らない?

2008-08-09 06:01:44 | 民事裁判
 退学したら学費は戻らない?

 Q 今年春、服飾デザインの専門学校に入学しました。入学金と1年分の授業料など初年度納付金を約100万円納めました。ところが、家庭の事情で通えなくなり、7月初めに退学を申し出たら、学校から「納付金はいっさい返せない」と言われました。(20歳、女性)

難しいが可能性も。ぜひ相談を
 A 大学や専門学校で入学を辞退しても、納付金を返還しないとする不返還特約をめぐる裁判で、2年前、最高裁(大学については最判平18・11・27、専門学校については最判平18・12・22)で判決が出されました。

 それによると、(1)入学金は学校に入学できる地位に対する対価であり、学生がその地位を取得した以上、入学を辞退しても、学校は返還義務を負わないとしました。

 一方、(2)授業料は学校で教育を受けたり施設を利用することの対価であり、年度開始の4月1日より前に在学契約を解除した場合には、学生は対価を受けていない以上、原則として授業料は返還すべきだとしています。

 しかし、(3)年度開始日以後に解除した場合は、学校は教育の提供を開始しているので返還する義務はないとしました。

 ですから、中途で退学したあなたの場合、納付金の返還を求めるのは難しいと考えられます。

 ただし、最高裁は不返還特約が有効となる根拠として、年度開始日以後に欠員を生じても学生の補充が難しいこと、学校が1年単位で教育給付を準備していることなど、解除で1年分の授業料相当分の損害が生じることを指摘しています。

 あなたの通っていた学校が年度途中でも随時学生を募集しているとか、授業内容が1年単位ではないなどの事情がある場合は結論が変わる場合もあり得ます。

 ぜひ、弁護士に相談してください。

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弁護士 岸 松江さん
 東京弁護士会所属、東京法律事務所勤務。日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員。好きな言葉は「真実の力」。

(出所:日本共産党HP 2008年8月4日(月)「しんぶん赤旗」)
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