3、中小企業を支援する税制と社会保障のしくみをつくります
(1)中小企業を支援する税制・税務行政に転換します
大企業優先の税制から中小企業・自営業者を支援する税制に転換します……消費税の増税に反対するとともに、消費税の延納措置を認め、免税点を引き上げます。所得税法56条を廃止し、事業主、家族従業者の働き分(自家労賃)を経費と認めます。法人税に累進制を導入し、中小企業の一定範囲内の所得については現行より税率を引き下げます。法人事業税の外形標準課税に反対します。事業用資産については、一定期間の事業承継を条件に、相続税の減免を認めるようにします。
「納税者憲章」を制定し、納税者の権利をまもります……消費税納税にあたっての仕入れ税額控除否認、機械類への償却資産課税の強化、倒産に追い込む差し押さえの乱発など、国と地方の過酷な徴税・税務調査が横行しています。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国のうち23カ国で、「納税者憲章」が制定されています。日本でも、「事前通知や調査理由開示の義務付け」、「第三者の立会人及び調査内容の記録や録音」、「生存権的財産の差し押さえ禁止」など、納税者の権利を保障する「納税者憲章」を制定します。
(2)国保料をはじめとした中小企業の負担を軽減し、共済制度等への支援をつよめます
国保料(税)を軽減し、人権無視の国保行政をあらためます……市町村国保の高すぎる保険料(税)が、業者のくらしを脅かしています。緊急に国の責任で国保料(税)を1人1万円値下げします。国保への国庫負担を復元して、誰もが払える国保料に引き下げます。滞納者への脅迫まがいの督促、情け容赦のない財産調査・差し押さえ、生活困窮者からの機械的な保険証とり上げなど、加入者の人権を無視した国保行政をやめさせます。出産や病気・ケガのときにも安心して休めるように、出産・傷病手当金の制度をつくります。
国保組合の国庫補助をまもり、負担軽減のとりくみを応援します……不況による生活悪化と健康破壊が深刻化するなか、業者が自主的に運営し、負担軽減や健康づくりにとりくむ、国保組合の役割はますます重要です。ところが、この間、建設国保の入院費無料化などの努力を攻撃する不当なキャンペーンが展開され、政府が国庫補助の削減を検討する異常事態となっています。国保組合への国庫補助をまもり、負担軽減・健康保持のとりくみを応援します。
社会保険料の猶予・軽減制度を整備し、公的支援が受けられるようにします……不況で経営難におちいった事業所が、社会保険料の事業主負担を払えず、その結果、滞納を理由に雇用調整助成金、信用保証、制度融資などの公的支援が受けられない事態も起こっています。経営困難な事業所の社会保険料を猶予・軽減する制度をつくり、企業の経営と従業員の社会保障を守るとともに、公的支援制度を利用できる環境をつくります。
小規模共済制度・中小企業退職金共済制度などを改善します。自主共済は、保険業法の対象外とします……社会保障の相次ぐ改悪で将来不安が増しているいま、中小企業の各種共済制度を充実させることが必要です。小規模共済制度や中小企業退職金共済制度などの改善をすすめます。「助け合い」の精神でつくられている「自主共済」は、保険業法の対象外とします。
中小企業が最低賃金を引き上げられる環境をつくり、引き上げに際しては助成を行います……適正な単価や納入価格の保障、過度な競争の規制、「公契約法」「公契約条例」の実現などによって、中小企業が最低賃金を引き上げられる環境をつくります。最低賃金の引き上げに際しては、雇用保険財政などを活用して、中小企業への助成を行います。
4、「中小企業憲章」と「中小企業振興条例」を制定し、中小企業政策を総合的に見直します
中小企業は、企業数の99%を占め、製造、建設、小売り、サービスなどあらゆる分野で大きな役割を果たしています。また、日本全体の雇用の7割、地方では8割超を支えるなど、雇用の最大の担い手です。さらに、(1)短期的な利益よりも雇用や社会貢献を重視する、(2)利益を地域に還元し、域内循環の中核を担っている、(3)高いモノづくり技術をもつ経済・文化資源である、(4)地域に根ざして社会的責任を果たし、生き生きとした地域社会をつくりだしているなど、多彩な役割を果たしています。
中小企業・自営業者は、まさに日本経済の「根幹」というべき重要な存在であり、その素晴らしい値打ちが十分に発揮されてこそ、日本経済全体が豊かに発展できます。今こそ、破たんした従来の中小企業政策を転換するとともに、中小企業政策の基本理念を確立し、それに基づいて中小企業政策全体を見直すことが必要です。
(1)「中小企業憲章」を制定します。中小企業基本法などを見直し、中小企業の声が国政に反映されるしくみをつくります
EUは、2000年6月に「ヨーロッパ小企業憲章」を制定しました。同「憲章」は、小企業が「ヨーロッパ経済の背骨」であるという基本理念を明確にし、産業政策のみならず、福祉や教育などEU政策の全分野で中小企業を政策の基本にすえています。
「中小企業憲章」を制定し、中小企業基本法などを見直します……「中小企業憲章」の内容として、大企業に偏重した政策から中小企業を日本経済の根幹と位置づけ、本格的に支援する政策に転換すること、政府が公正な競争環境を確保すること、大企業が雇用、地域経済、環境等にたいする社会的責任を果たすこと、中小企業が地域経済と農林水産業の振興に役割を果たすことなどを明記します。「憲章」の基本理念に沿って、中小企業基本法など関連法制度の改正をすすめます。
「中小企業政策会議」をつくり、中小企業の声を反映します……「縦割り」ではない横断的な中小企業政策をすすめるために、総理大臣のもとに中小企業・自営業者などの代表が参加する「中小企業政策会議」をつくります。同会議では、「憲章」実施の進ちょく状況等を検討するとともに、規制緩和など従来の政策が中小企業に与えた影響を調査し、施策に反映させます。現在の中小企業庁の職員は約200人であり、公安調査庁約1500人の7分の1、宮内庁約1000人の5分の1にすぎません。中小企業庁の人員を抜本的に増員します。
(2)地方自治体で「中小企業振興条例」を制定し、地域独自の活性化策をすすめます
中小企業数は約420万社にのぼりますが、一つ一つが多彩な個性をもち、固有の歴史的・文化的特徴を備えています。したがって、国が「中小企業憲章」に基づいて基本政策を実施することとあわせて、地域の実情に応じて中小企業施策を展開することが重要です。
「中小企業振興条例」を制定し、地域の実情に応じた施策をすすめます……2000年以降、50近い都県・市区町で「中小企業振興条例」(名称はさまざま。以下「振興条例」)が制定されており、中小企業振興に大きな力を発揮しています。各自治体で「中小企業振興条例」を制定し、その地域の中小企業施策の基本理念を定めます。
大阪府八尾市では、2002年に地元の大工場が撤退しましたが、前年に制定されていた「振興条例」を根拠に、障害者の雇用を確保するなどの成果をかちとっています。「振興条例」には、大企業・大型店・フランチャイズ本部などの責務・役割を明記し、地域で「社会的責任」を果たすことを促します。
全事業所実態調査を行い、施策に反映します……全国に先駆けて1979年に「振興条例」を制定した東京都墨田区では、制定の前年、係長級職員165人が、区内製造業9314社に自ら足を運んで実態調査(悉皆〈しっかい〉調査)を行いました。この調査で、「ひどい環境で、家族労働に支えられ、それでも税金を払っている。健康破壊や、長時間労働への対策・支援が急務」など、区長・職員の認識が一変しました。それまで中小企業対策は、商工部だけの「縦割り」行政でしたが、悉皆調査後は、福祉や教育を含む横断的事業として区政に位置付けられています。「全事業所実態調査」を行い、自治体が地域の中小企業の実態を把握し、得られた情報を施策に生かします。その際、商工施策だけでなく、福祉やまちづくりなど自治体の幅広い施策に反映させます。
経営者・業者などで構成する「中小企業振興会議」をつくり、中小企業の声を生かします……「振興条例」が単なる「飾り」ではなく、実際に役立つものになるためには、業者・金融機関・自治体職員などの当事者が「主役」となって実践をすすめることが不可欠です。北海道帯広市では、2007年に「中小企業振興基本条例」を制定した後、条例を具体化するために1年で74回に及ぶ議論を重ねました。その中で、経営者・業者自身が中小企業や地域の値打ちに「気づき」、工場誘致などの「呼び込み型」から「内発型」の地域振興に軸足を移すことが重要だという認識が広がっています。「振興条例」の推進体制として、経営者、金融機関、自治体職員などで構成する「中小企業振興会議」をつくり、中小企業の声を生かします。
5、「日本の宝」―町工場を守るため、固定費補助などの緊急・直接支援をおこないます
町工場は、金型・成形・切削・研磨・プレス・熱処理・メッキ・鍛造・鋳造など、基盤技術の集積を形成している日本独特の中小企業・自営業者のネットワークであり、創造と技術革新の「苗床」です。
しかし、いま町工場は、かつてない経営危機に襲われており、「仕事が減り、家賃が払えない」「久しぶりに来た金型部品加工の注文は2割の単価引き下げ。採算割れだ」などの悲鳴があがっています。借り工場の家賃やリース料など固定費の重い負担のため、廃業する町工場も増えています。町工場の技術・熟練の技能は、いったん失われると二度と取り戻すことができません。「日本の宝」である優れた技術・技能が失われることは、大企業や日本経済全体にとっても大きな損失であり、何としても防がなければなりません。
リース料の支払い猶予を広げます……中小業者は、この間、町工場の固定費の負担軽減を求めて運動を広げてきました。日本共産党も、国会論戦や党首会談などで繰り返し町工場への緊急支援を迫ってきました。鳩山内閣は、当初、消極的な姿勢でしたが、4月16日、中小企業の機械設備のリース代金の支払い猶予に応じるよう、リース会社に要請する通知を出しました。これは、中小業者の声が政治を一歩前に動かしたものです。
今回の通知は、リース会社に対して、昨年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」の趣旨を踏まえた対応を求めるものです。既に、銀行の融資や住宅ローンについては、同法に基づいて、数多くの支払い猶予が実施されています。こうした例を参考にして、今回の措置が実効性あるものとなるように運動を強めます。
借り工場の家賃補助など直接支援を実現します……町工場の経営努力は限界を超えており、「日本の宝」にふさわしい緊急・直接の経済支援を必要としています。そのために、支払い猶予にとどまらず、機械設備のリース料や借り工場の家賃に対する直接補助を実現します。
自治体独自の集積地支援を強めます……東京都大田区では、中小企業への緊急・直接支援策として5500万円の予算を組み、100社を対象に助成を行う「ものづくり経営革新緊急支援事業制度」を実現しています。こうした例を参考にして、各地の自治体で、町工場などの産業集積地支援を強めます。
(出所:日本共産党HP )
(1)中小企業を支援する税制・税務行政に転換します
大企業優先の税制から中小企業・自営業者を支援する税制に転換します……消費税の増税に反対するとともに、消費税の延納措置を認め、免税点を引き上げます。所得税法56条を廃止し、事業主、家族従業者の働き分(自家労賃)を経費と認めます。法人税に累進制を導入し、中小企業の一定範囲内の所得については現行より税率を引き下げます。法人事業税の外形標準課税に反対します。事業用資産については、一定期間の事業承継を条件に、相続税の減免を認めるようにします。
「納税者憲章」を制定し、納税者の権利をまもります……消費税納税にあたっての仕入れ税額控除否認、機械類への償却資産課税の強化、倒産に追い込む差し押さえの乱発など、国と地方の過酷な徴税・税務調査が横行しています。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国のうち23カ国で、「納税者憲章」が制定されています。日本でも、「事前通知や調査理由開示の義務付け」、「第三者の立会人及び調査内容の記録や録音」、「生存権的財産の差し押さえ禁止」など、納税者の権利を保障する「納税者憲章」を制定します。
(2)国保料をはじめとした中小企業の負担を軽減し、共済制度等への支援をつよめます
国保料(税)を軽減し、人権無視の国保行政をあらためます……市町村国保の高すぎる保険料(税)が、業者のくらしを脅かしています。緊急に国の責任で国保料(税)を1人1万円値下げします。国保への国庫負担を復元して、誰もが払える国保料に引き下げます。滞納者への脅迫まがいの督促、情け容赦のない財産調査・差し押さえ、生活困窮者からの機械的な保険証とり上げなど、加入者の人権を無視した国保行政をやめさせます。出産や病気・ケガのときにも安心して休めるように、出産・傷病手当金の制度をつくります。
国保組合の国庫補助をまもり、負担軽減のとりくみを応援します……不況による生活悪化と健康破壊が深刻化するなか、業者が自主的に運営し、負担軽減や健康づくりにとりくむ、国保組合の役割はますます重要です。ところが、この間、建設国保の入院費無料化などの努力を攻撃する不当なキャンペーンが展開され、政府が国庫補助の削減を検討する異常事態となっています。国保組合への国庫補助をまもり、負担軽減・健康保持のとりくみを応援します。
社会保険料の猶予・軽減制度を整備し、公的支援が受けられるようにします……不況で経営難におちいった事業所が、社会保険料の事業主負担を払えず、その結果、滞納を理由に雇用調整助成金、信用保証、制度融資などの公的支援が受けられない事態も起こっています。経営困難な事業所の社会保険料を猶予・軽減する制度をつくり、企業の経営と従業員の社会保障を守るとともに、公的支援制度を利用できる環境をつくります。
小規模共済制度・中小企業退職金共済制度などを改善します。自主共済は、保険業法の対象外とします……社会保障の相次ぐ改悪で将来不安が増しているいま、中小企業の各種共済制度を充実させることが必要です。小規模共済制度や中小企業退職金共済制度などの改善をすすめます。「助け合い」の精神でつくられている「自主共済」は、保険業法の対象外とします。
中小企業が最低賃金を引き上げられる環境をつくり、引き上げに際しては助成を行います……適正な単価や納入価格の保障、過度な競争の規制、「公契約法」「公契約条例」の実現などによって、中小企業が最低賃金を引き上げられる環境をつくります。最低賃金の引き上げに際しては、雇用保険財政などを活用して、中小企業への助成を行います。
4、「中小企業憲章」と「中小企業振興条例」を制定し、中小企業政策を総合的に見直します
中小企業は、企業数の99%を占め、製造、建設、小売り、サービスなどあらゆる分野で大きな役割を果たしています。また、日本全体の雇用の7割、地方では8割超を支えるなど、雇用の最大の担い手です。さらに、(1)短期的な利益よりも雇用や社会貢献を重視する、(2)利益を地域に還元し、域内循環の中核を担っている、(3)高いモノづくり技術をもつ経済・文化資源である、(4)地域に根ざして社会的責任を果たし、生き生きとした地域社会をつくりだしているなど、多彩な役割を果たしています。
中小企業・自営業者は、まさに日本経済の「根幹」というべき重要な存在であり、その素晴らしい値打ちが十分に発揮されてこそ、日本経済全体が豊かに発展できます。今こそ、破たんした従来の中小企業政策を転換するとともに、中小企業政策の基本理念を確立し、それに基づいて中小企業政策全体を見直すことが必要です。
(1)「中小企業憲章」を制定します。中小企業基本法などを見直し、中小企業の声が国政に反映されるしくみをつくります
EUは、2000年6月に「ヨーロッパ小企業憲章」を制定しました。同「憲章」は、小企業が「ヨーロッパ経済の背骨」であるという基本理念を明確にし、産業政策のみならず、福祉や教育などEU政策の全分野で中小企業を政策の基本にすえています。
「中小企業憲章」を制定し、中小企業基本法などを見直します……「中小企業憲章」の内容として、大企業に偏重した政策から中小企業を日本経済の根幹と位置づけ、本格的に支援する政策に転換すること、政府が公正な競争環境を確保すること、大企業が雇用、地域経済、環境等にたいする社会的責任を果たすこと、中小企業が地域経済と農林水産業の振興に役割を果たすことなどを明記します。「憲章」の基本理念に沿って、中小企業基本法など関連法制度の改正をすすめます。
「中小企業政策会議」をつくり、中小企業の声を反映します……「縦割り」ではない横断的な中小企業政策をすすめるために、総理大臣のもとに中小企業・自営業者などの代表が参加する「中小企業政策会議」をつくります。同会議では、「憲章」実施の進ちょく状況等を検討するとともに、規制緩和など従来の政策が中小企業に与えた影響を調査し、施策に反映させます。現在の中小企業庁の職員は約200人であり、公安調査庁約1500人の7分の1、宮内庁約1000人の5分の1にすぎません。中小企業庁の人員を抜本的に増員します。
(2)地方自治体で「中小企業振興条例」を制定し、地域独自の活性化策をすすめます
中小企業数は約420万社にのぼりますが、一つ一つが多彩な個性をもち、固有の歴史的・文化的特徴を備えています。したがって、国が「中小企業憲章」に基づいて基本政策を実施することとあわせて、地域の実情に応じて中小企業施策を展開することが重要です。
「中小企業振興条例」を制定し、地域の実情に応じた施策をすすめます……2000年以降、50近い都県・市区町で「中小企業振興条例」(名称はさまざま。以下「振興条例」)が制定されており、中小企業振興に大きな力を発揮しています。各自治体で「中小企業振興条例」を制定し、その地域の中小企業施策の基本理念を定めます。
大阪府八尾市では、2002年に地元の大工場が撤退しましたが、前年に制定されていた「振興条例」を根拠に、障害者の雇用を確保するなどの成果をかちとっています。「振興条例」には、大企業・大型店・フランチャイズ本部などの責務・役割を明記し、地域で「社会的責任」を果たすことを促します。
全事業所実態調査を行い、施策に反映します……全国に先駆けて1979年に「振興条例」を制定した東京都墨田区では、制定の前年、係長級職員165人が、区内製造業9314社に自ら足を運んで実態調査(悉皆〈しっかい〉調査)を行いました。この調査で、「ひどい環境で、家族労働に支えられ、それでも税金を払っている。健康破壊や、長時間労働への対策・支援が急務」など、区長・職員の認識が一変しました。それまで中小企業対策は、商工部だけの「縦割り」行政でしたが、悉皆調査後は、福祉や教育を含む横断的事業として区政に位置付けられています。「全事業所実態調査」を行い、自治体が地域の中小企業の実態を把握し、得られた情報を施策に生かします。その際、商工施策だけでなく、福祉やまちづくりなど自治体の幅広い施策に反映させます。
経営者・業者などで構成する「中小企業振興会議」をつくり、中小企業の声を生かします……「振興条例」が単なる「飾り」ではなく、実際に役立つものになるためには、業者・金融機関・自治体職員などの当事者が「主役」となって実践をすすめることが不可欠です。北海道帯広市では、2007年に「中小企業振興基本条例」を制定した後、条例を具体化するために1年で74回に及ぶ議論を重ねました。その中で、経営者・業者自身が中小企業や地域の値打ちに「気づき」、工場誘致などの「呼び込み型」から「内発型」の地域振興に軸足を移すことが重要だという認識が広がっています。「振興条例」の推進体制として、経営者、金融機関、自治体職員などで構成する「中小企業振興会議」をつくり、中小企業の声を生かします。
5、「日本の宝」―町工場を守るため、固定費補助などの緊急・直接支援をおこないます
町工場は、金型・成形・切削・研磨・プレス・熱処理・メッキ・鍛造・鋳造など、基盤技術の集積を形成している日本独特の中小企業・自営業者のネットワークであり、創造と技術革新の「苗床」です。
しかし、いま町工場は、かつてない経営危機に襲われており、「仕事が減り、家賃が払えない」「久しぶりに来た金型部品加工の注文は2割の単価引き下げ。採算割れだ」などの悲鳴があがっています。借り工場の家賃やリース料など固定費の重い負担のため、廃業する町工場も増えています。町工場の技術・熟練の技能は、いったん失われると二度と取り戻すことができません。「日本の宝」である優れた技術・技能が失われることは、大企業や日本経済全体にとっても大きな損失であり、何としても防がなければなりません。
リース料の支払い猶予を広げます……中小業者は、この間、町工場の固定費の負担軽減を求めて運動を広げてきました。日本共産党も、国会論戦や党首会談などで繰り返し町工場への緊急支援を迫ってきました。鳩山内閣は、当初、消極的な姿勢でしたが、4月16日、中小企業の機械設備のリース代金の支払い猶予に応じるよう、リース会社に要請する通知を出しました。これは、中小業者の声が政治を一歩前に動かしたものです。
今回の通知は、リース会社に対して、昨年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」の趣旨を踏まえた対応を求めるものです。既に、銀行の融資や住宅ローンについては、同法に基づいて、数多くの支払い猶予が実施されています。こうした例を参考にして、今回の措置が実効性あるものとなるように運動を強めます。
借り工場の家賃補助など直接支援を実現します……町工場の経営努力は限界を超えており、「日本の宝」にふさわしい緊急・直接の経済支援を必要としています。そのために、支払い猶予にとどまらず、機械設備のリース料や借り工場の家賃に対する直接補助を実現します。
自治体独自の集積地支援を強めます……東京都大田区では、中小企業への緊急・直接支援策として5500万円の予算を組み、100社を対象に助成を行う「ものづくり経営革新緊急支援事業制度」を実現しています。こうした例を参考にして、各地の自治体で、町工場などの産業集積地支援を強めます。
(出所:日本共産党HP )