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懲役1年6カ月に減刑 川崎協同病院事件の控訴審判決

2007-02-28 21:27:02 | 労働裁判
〈川崎協同病院事件〉 98年11月、気管支ぜんそくの重症発作で入院していた男性患者(当時58)が死亡。呼吸器内科部長だった須田セツ子医師が気管内チューブを抜き、准看護師に指示して筋弛緩剤を静脈注射して死なせたとして02年に殺人罪で起訴された。事件を機に日本救急医学会が延命治療の中止のガイドライン作りに取り組むなど、終末期医療のあり方を巡る議論に影響を与えた。

 ぜんそくの重症発作で意識不明の男性患者(当時58)から呼吸を助ける気管内チューブを抜いたうえ、筋弛緩(しかん)剤を投与して死なせたとして殺人の罪に問われた川崎協同病院(川崎市)の元呼吸器内科部長・須田セツ子被告(52)の控訴審判決が28日、東京高裁であった。原田国男裁判長は、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)とした一審の横浜地裁判決を破棄。懲役1年6カ月執行猶予3年の有罪判決を改めて言い渡した。

 事件当時の殺人罪の法定刑の下限は懲役3年。酌量で半分に減刑できるため、懲役1年6カ月は殺人罪で科すことのできる刑としては最も軽い。原田裁判長は「治療中止について法的規範も医療倫理も確立されていない状況の下で家族からの要請に決断を迫られた。非難するのは酷な面もある」と減刑の理由を述べた。

 弁護側は「治療行為の中止(尊厳死)で、刑事責任を問われない。事実認定も異なる」と無罪を主張。チューブを抜いてほしいと家族の要請があったか▽筋弛緩剤の投与量や投与方法――が主な争点となった。一審判決は(1)要請はなく、家族が了承しているとの誤解をもとに抜管した(2)筋弛緩剤は致死量が投与され、窒息死したと認定した。

 高裁判決は、死因が筋弛緩剤とする一審の判断は踏襲したが、「家族からの要請がなかったと認定するのは合理的な疑いが残る」とし、この点が量刑判断に影響した。

 尊厳死が認められるかどうかについて、原田裁判長は「法律の制定やガイドラインの策定が必要。国民的な合意を図るべきで、司法が抜本的な解決をする問題ではない」と述べ、尊厳死の要件を裁判所が示すことに否定的な姿勢を示した。

 その上で、判決は「終末期医療では家族の心情を十分に酌む姿勢が求められる」とし、「他の医師にも相談すべきで、独断で抜管を決断したのは結果的に患者を軽視したと言われても致し方ない」と述べた。

 男性は98年11月、気管支ぜんそくの発作で心肺停止状態となり、主治医の須田医師のいる川崎協同病院に搬送された。事件は01年に表面化。須田医師は02年に逮捕・起訴され、05年に横浜地裁で有罪判決を言い渡された。

〈川崎協同病院事件〉 98年11月、気管支ぜんそくの重症発作で入院していた男性患者(当時58)が死亡。呼吸器内科部長だった須田セツ子医師が気管内チューブを抜き、准看護師に指示して筋弛緩剤を静脈注射して死なせたとして02年に殺人罪で起訴された。事件を機に日本救急医学会が延命治療の中止のガイドライン作りに取り組むなど、終末期医療のあり方を巡る議論に影響を与えた。

(出所:朝日新聞HP 2007年02月28日21時10分)
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