【関連】韓国、身代金支払いか 軍撤退既定路線 疑問残る解放条件
【バンコク=大場司】アフガニスタン旧政権タリバンによる韓国人拉致・殺害事件は二十八日、タリバンと韓国政府が人質十九人の全員解放で合意し、 事件はようやく全面解決に向かう見通しとなった。解放条件は駐留韓国軍の年内撤退と同国のキリスト教宣教団の活動中止とされるが、身代金の支払いなどの裏 取引も交わされたとの見方は根強い。タリバンの「面目」を立て、韓国政府が「実」をとった可能性が高い。
タリバンと韓国政府の詳しい交渉内容は不明だが、韓国政府が発表している条件だけで、タリバンが人質の全員解放に応じたとすれば、大きな疑問が残る。
韓国軍はアフガンの復興支援として、医療部隊や工兵部隊を駐留させているが、年内撤退は既定方針だった。韓国のキリスト教宣教団についても、アフガン政府が治安を乱すとしてかねて活動の自粛を要請していた。
タリバンはこれまで収監中の仲間の釈放に固執してきた。その要求を取り下げてまで受け入れた条件としては、あまりにも「利益」がない。これだけの条件なら、長期間の交渉も必要なかったとみられる。
現地情報によると、アフガン政府がタリバンに譲歩しない姿勢を堅持していることから、タリバンが早晩、身代金の支払いによる人質解放を受け入れるとの見方が強まっていた。タリバンによる過去の拉致事件で、身代金と引き換えに人質を解放した前例が複数あるためだ。
ただ、身代金による人質解放が公になった場合、駐留外国軍の一掃というタリバンの「ジハード(聖戦)」の大義は崩れ、「盗賊集団」として汚名を残すことになる。タリバンの勢力維持にかかわるだけに、韓国政府が裏取引に応じ、タリバンの面目に配慮した可能性は十分ある。
歓声、涙喜ぶ家族
【ソウル=福田要】事件発生から四十日ぶりの安堵(あんど)-。アフガニスタンの旧政権タリバンによる韓国人拉致・殺害事件で、ひたすら肉親の無事を祈り続けた被害者十九人の家族たちは「全員解放に合意」の知らせに歓声を上げ、涙を流して喜び合った。
韓国メディアによると、午後八時十分ごろ、テレビで青瓦台(大統領府)が拉致関連で重大発表するとの速報が流れると、ソウル近郊にある京畿道城南市の事務所に集まっていた家族たちは大きな拍手。抱き合い、感激で泣きだす人もいた。
一方、午後九時半すぎに始まった家族の記者会見に、笑顔はなかった。代表のチャ・ソンミン氏が最初に口にしたのは「国民の皆さまに心配をかけ、非常に申し訳ない」という謝罪の言葉。
その後、関係者への感謝の言葉を連ねたが、殺害された二人の男性の遺族の気持ちを思いやり「本当に胸が痛い。このいい知らせを分かち合えず残念だ…」と涙声に。念願の朗報も素直には喜べない、家族たちの複雑な立場を浮き彫りにした。
今回の事件をめぐっては、韓国内でネットを中心に「自己責任」論争がわき起こり、青瓦台の報道官が記者会見で被害者に対する批判への自粛を呼び掛ける一幕もあった。
【過去記事】保守記事.16-18 結局、こちらも、まだ終わってない
保守記事.16-18-2 結局、こちらも、まだ終わってない
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます