履修漏れは学校ぐるみ、県教委にウソ…富山・高岡南高
富山県立高岡南高校(篠田伸雅校長、生徒数557)の3年生全員197人が、地理歴史教科の必修科目を履修していなかった問題で、同校は2004 年12月、国の学習指導要領に沿った「教育課程表」を県教委に提出していたが、授業内容を記す生徒指導要録には、実際には取っていない必修科目を履修して いたかのように記録していたことが24日、わかった。
県教委は要録の訂正と生徒の負担に配慮した補習の検討を同校に求める。
篠田校長は県教委の聞き取り調査に対し、時間割と異なる授業をすることを教諭が生徒に説明。さらに指導要録には世界史、日本史、地理のうち1科目しか履修していないのに、もう1科目も履修したかのように単位を記録したと答えた。
篠田校長は「日本史だけ、地理だけ学習しても、その中で世界とのつながりについて触れるため世界史も履修したことにできると思った」と説明したという。
卒業単位を取得するためには、最低でも50分授業で70回分に相当する補習が必要で、県教委は「平日の授業を増やし、土、日曜日、冬休みを利用するなどし、なるべく受験に影響が出ない補習の仕方を検討させたい」としている。
必修を未履修、10県65校で 文科省、全国実態調査へ(共同通信)
富山県の高岡南高校などで、学習指導要領で必修となっている世界史などの授業を履修させなかったため在校生が卒業できない恐れが出ている問題で、公私立を合わせ少なくとも全国10県の65校が必修科目を履修させていないことが25日、共同通信の調査で分かった。
一部の高校では卒業までに未履修分を補習するなどの対応を決めているが、受験シーズンを前に高校3年生には大きな負担となる。未履修は指導要領違反に当たるため、文部科学省は同日、全国の都道府県教育委員会に通知を出し、27日までに実態報告を求めた。
調査は全国の都道府県教育委員会のほか、公立を中心に各都道府県で大学進学率の高い高校の一部について実施した。
必修科目の履修漏れ、10道県で63校 朝日新聞まとめ(朝日新聞)
富山県の県立高校で、必修とされている世界史を履修させていなかった問題で、岩手、山形、愛媛、宮崎各県など、少なくとも計10道県(富山を含 む)の公立高63校に同様の必修科目の履修不足があったことが、朝日新聞社の全国調査でわかった。私立も含めると12道県66校になる。入試対策を重視し たためらしい。いずれも、このままだと卒業資格が得られないが、今後補習授業などで対応し資格を得るための対策をとるという。文部科学省は、実態が広がっ ている可能性があるとみて、全国の教育委員会に報告を求めることを決めた。
朝日新聞社の25日午後11時現在のまとめによると、内訳は、北海道(函館市立函館北、1校)▽青森(五所川原など2校)▽岩手(盛岡一、福岡な ど29校)▽山形(山形北、酒田東など12校)▽福島(福島、橘など10校)▽栃木(真岡など2校)▽富山(高岡南、1校)▽福井(藤島など4校)▽愛媛 (今治東、1校)▽宮崎(宮崎大宮、1校)。大半が県立高校だった。分かっているだけで1万人を超える生徒に影響が出ている。
また、私立高校については石川、福井、広島の3県で、各1校ずつ、履修内容に問題があることがわかった。
同様の問題は01年度、広島と兵庫の県立高校でも起きており、文科省は各教委の指導主事を集めた会議を開いて指導していた。
学習指導要領では、世界史を必修としたうえで、日本史と地理のうち1科目を選択しなければならないが、これらの学校では1科目しか選ばなかったり、2科目を選んでも必修の世界史を履修していなかったりしていたという。
問題が明らかになった高校では、土日や放課後、さらに冬休みに補習を組むなどして対応する予定だ。
卒業するには学年の最終日である3月31日までに履修すればよい。文科省によると、すでに卒業した生徒については、生徒ではなく学校側のミスであるため、卒業認定の権限がある校長が卒業を取り消したケースはないという。
岩手県立盛岡第一高校では、4年ほど前からこうした状態が続いていたが、県教委には適切に履修しているとの虚偽報告をしていた。鈴木文雄校長は「入試対策のためだった」と説明した。
福島県の県立福島高校では、少なくとも03年度から世界史を必修扱いにしていなかった。星本文校長は「(学習指導要領にそわないことは)分かっていた。それでも何もしなかったのは甘かった」と話した。
文科省は都道府県・政令指定市教委に、必修教科などが指導要領に基づいて実施されているかどうか、27日までに報告を求めることにしている。また、不適切な高校に対しては、具体的な改善策をとるよう教委に指導を求める。
必修科目の履修漏れ、11県65校で…読売新聞調査(読売新聞)
高校で卒業に必要な必修科目が教えられていなかった問題で、全国で少なくとも岩手、山形など11県、65校でこうした履修漏れのあることが25日、読売新聞の調査でわかった。
少なくとも延べ8700人の生徒が卒業のため補習が必要となる。こうした学校の多くは進学校で、大半が教育委員会に必修科目を履修しているかのような虚偽報告を行っていた。
事態を重く見た文部科学省は同日、都道府県などの教育委員会に対し、公立の全高校を対象に、必修科目が学習指導要領通りに教えられているかどうかを調べ、27日までに報告するよう通知した。
今回、履修漏れが判明したのは、岩手(29校)、山形(12校)、福島(10校)、福井(5校)、栃木(2校)、青森(2校)、富山(1校)、石川(1校)、広島(1校)、愛媛(1校)、宮崎(1校)の各県。大半が公立高校だが、私立高校も3校含まれている。高校必修 未履修11県66校 7000人超、補修検討(産経新聞)
富山県立高岡南高校などで必修の地理歴史2科目のうち1科目しか履修していなかった問題で、岩手県や山形県など少なくとも11県66校で同様の未履修が あったことが25日、分かった。このまま履修しないと約7000人の3年生が卒業できない恐れがある。氷山の一角と指摘する予備校関係者もおり、未履修は 今後拡大しそうだ。文部科学省は同日、全国の公立高校の必修科目の取り扱いについて実態調査に乗り出した。
未履修が発覚したのは、岩手県の30校や山形県の12校、福島県の10校のほか、青森▽栃木▽富山▽石川▽福井▽広島▽愛媛▽宮崎-の11県。
岩手県では、盛岡一高や盛岡三高など進学校で相次いで発覚。三高の井上節夫校長は「(県教委に)虚偽の報告をしていた」、一高の板宮成悦教頭は「数年前から(未履修を)続けていた」と認めている。
山形県では未履修の12校が、いずれも県教委などに提出する「教育課程表」と各校で保管する「生徒指導要録」を改竄(かいざん)していた。
各県教委によると、未履修の理由として学校側は「生徒の進路希望実現のため」「大学受験対策のため」などと説明している。
地理歴史の不足が大半だが、中には公民、情報、理科、芸術で不足している高校も。卒業生の一部が卒業資格を満たしていない可能性もあるという。ただ、過 去に卒業生を含む同様の未履修が発覚した広島県などは、さかのぼった措置はとっておらず、そのまま卒業が認められる見通しだ。
岩手県教委の遠藤洋一学校教育室長は「3年生については冬休みも含めた補習を中心に履修させたい。卒業生については校長が卒業認定しており、県教委としても認めざるを得ない」とした。
一方、事態を重く見た文部科学省は都道府県教委に対し、必修科目が正規に盛り込まれているかなどについて調査し、不足の学校名や学校数を27日までに回答するよう求めた。同省は「法令に反する学校運営であり、関係者は重く受け止めてほしい」としている。
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■「緊張感持って、学校は対応を」 安倍首相
安倍晋三首相は25日午後、各地の高校で必修科目が未履修で生徒が卒業できない恐れがある問題について「驚いた。子供たちの将来に支障を来さないよう各学校は緊張感を持ち、ちゃんと対応してもらいたい」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
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【用語解説】必修科目
全生徒が履修しなければならない科目。高校の学習指導要領は地理歴史について「『世界史A』及び『世界史B』のうちから1科目、ならびに『日本史A』、 『日本史B』、『地理A』及び『地理B』のうちから1科目」と記載。「世界史A」は50分授業の70回分に当たる2単位、「世界史B」は140回分に当た る4単位が標準単位数とされている。
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