忙中閑あり

源氏物語 水彩画 写真、旅 そして時間を追いながらの毎日を書いています。

源氏物(鈴虫二)

2007年07月20日 16時08分28秒 | 源氏物語
 (鈴虫二) 

女三の宮と鈴虫の音色を楽しんでいると、夕霧たちがやってきます。
さらに冷泉院のお誘いがあり場所を変えて、管弦の遊びとなります。
鈴虫が鈴を振るように鳴く、満月の美しい夜でした。

冷泉院は益々源氏に似てきます。
藤壺との間に出来た不義子冷泉帝も悩みますが、口には出さずに
生きています。
穏やかに自ら御位を引いて、閑静に暮らしています。

表面的には先帝と家臣の関係を、きちんと守っています。
語り合う源氏と先帝を4人の公達が囲み音楽を奏でています、
唯一男性だけが描かれた絵巻です、
お揃いの、青いお直衣姿、右上に満月の一部が描かれて、
凛とした静けさの中でさぞ、美しい音色が奏でられた事だろう、と
感じさせる絵巻です。

この中で源氏と冷泉帝の顔の白は夕霧や、他の公達とは、
はっきり違いのある白が使われていたそうです。

月の光の中で輝く身分の高い二人の顔の白は「伊勢白粉」と呼ばれる
水銀から造られた白が使われていたと書かれています。
     (よみがえる源氏物語絵巻より)
鉛白、胡粉、伊勢白粉、と多彩な白を身分、状況に応じて書き分けている
絵師は女性かしら??。なんて思ってしまいます。

しみじみと語りあう親子の対面が、
満月の中で光り輝いて描かれた「鈴虫二」です。


次回は夕霧です
天下の堅物と言われた夕霧なのに
幼いときから相思相愛でやっと結婚でき、妻の雲居の雁がいるのに
亡き柏木の妻、落葉の宮に心惹かれてしまう、
そんな夕霧のお話が描かれています。

源氏物語(鈴虫一)

2007年07月16日 19時03分31秒 | 源氏物語
 (鈴虫一) 

源氏の反対をよそに女三の宮は出家してしまいました。
源氏は女三の宮の住まいの前庭を秋の野原の風情に造り替えて 
鈴虫を放します。
女三の宮は,源氏と共にお経を誦し、若い尼君たちが閼伽棚にお水を上げたり
お花を上げたりする姿が描かれています。

左端に書かれた女性は、女三の宮と言われていましたが、今回の復元から
高貴な人は決して身に付けない装束が見いだされ、女三の宮ではないと
結論が出ました。

この三十八帖には主人公は描かれていないと、定説を覆す発見がありました。
秋にお庭を造り替えて鈴虫を放し、出家した女三の宮を慰める
優しい源氏です。

あれほど幼く、子供っぽい女三の宮、
柏木の手紙を放置して源氏に見られてしまい、ただおろおろするだけの
女三の宮が、出家したことで一段と成長した女性を感じさせます。

自分の意思で薫を身ごもったわけでなく、周囲の者の計らいで
こうなってしまった事をどう思って居たんだろう?
女三の宮を犯した犯人柏木は亡くなり、
この柏木をどう思っていたのだろうか?

子供だと思っていた女三の宮が、源氏に何の相談もせず
自分の意思一つで、出家した強さに驚きます。


次回は「鈴虫二」です
冷泉院からの誘いで場所を移し管弦の遊びをします。
源氏はしみじみと冷泉院と語ります。
何あろう、時の帝の冷泉院こそ、
源氏の父の愛妾藤壺と源氏の間に出来た
不義の子であったのです。


源氏物語(柏木一)

2007年07月15日 21時22分03秒 | 源氏物語
 (木一) 

柏木との不義の子薫を出産した女三の宮は、罪の意識に苦しみ、
既に出家している父の朱雀院に、自分の出家を強く願い出ます。

朱雀院は目の中に入れても痛くない程 可愛がって育てた姫だからこそ
政治的、経済的、人物としても安定した権力者、光源氏に降嫁させたものを、
その姫が、うら若き今何ゆえに、世を捨てなければならないか、
苦しみますが、結局 戒を授けて出家させてしまいます。

 薫を産んだ事を非難しなかった源氏ですが、柏木の子と知って
なかなか赤ん坊を抱いてあげる事が出来なかった。確かに嫌味の
一つ二つは言った、しかし公には薫は源氏の子です、
この秘密知る者は女三の宮、柏木、源氏、そして柏木を
手引きした誰か、のみでした。
源氏は自分のプライドを守り、女三の宮のプライバシィーも守り通していました。
出家することには、反対でした。多くの未練がありました。

苦悩する三人をモノクロで描き表し、女三の宮に使える女房たちは
萱草色の華やかな色彩で描かれています。
(萱草色=オレンジ)は萱草(かんぞう)の花の色でしょうか?
いいえ、この絵の復元を担当した宮崎いず美氏は、夕方の空の色に謎を
解く鍵があったと「よみがえる源氏物語絵巻」に書かれています。

華やかな中で苦悩する三人が描かれています。

次回は鈴虫一です

源氏物語(宿木一)

2007年07月14日 10時45分19秒 | 源氏物語
 (宿木一) 


参内した薫を相手に碁を打つ帝が描かれています。
母亡き後 娘の女二の宮を薫に降嫁させたい帝は
和歌で薫の胸の内を打診します。
しかし薫は、大君亡き後、匂の宮の妻となった中の君に心が奪われています、
夕霧の六の姫と結婚して浮かれている匂の宮
この匂の宮の子供を宿すあの中の君です。
薫はこのお話を、和歌でお断りします。

ここは帝のお部屋の様です。
見事な調度品が置かれています、蒔絵の施された琴
書物、巻物、蒔絵の文箱、ガラスの(?)置物、
美しい畳の縁、碁石は多分貝で出来ているのでしょうね。
帝の後ろには「山河」を描いた絵が置かれています、鳳凰らしき
鳥が飛ぶ姿も見えます。

帝の装束も下に赤を上に白をお召しになり、
白から赤が透けて見えるものですよ。

今でもこんなデリケートな配色の若者を見ませんね。

この話のやり取りを聞き漏らすまいと隣の障子から聞き耳を立てる
女房が二人描かれています、この二人はかなり身分の高い女房ですね、

宮中での出来事や、耳にしたことを参考にして
紫式部は「源氏物語」を書いて来たのでしょう、大切な情報源は
こんな所にあったかもしれませんね。
そんな事からも、この二人の女房は源氏物語を書くに当たり大切な
役どころであった訳ですね。

次回は「柏木一」です
源氏晩年の悲劇と華やかな女三の宮の部屋の豪華絢爛な(萱草色)
設えが見られます。

源氏物語(関屋)

2007年07月13日 09時51分01秒 | 源氏物語
 (関屋) 


かつて、蝉の抜殻のの様に自分の着ていた着物だけをを残して、
何も言わずに、消えた(逃げた)空蝉
夫がいる自分に言い寄り、思いを遂げた源氏を恨み、
迂闊な自分を反省する知的な空蝉は、
事後源氏と会うことはありませんでした。

夫が転勤になりそれに従います。
任地での任期が明けて、帰京途中
逢坂の関にさしかかった時、
偶然石山寺に詣でる源氏の牛車と出会います。
その時源氏は17歳。

一度だけの逢瀬をともにした源氏を、恨みながらも
やはり忘れることは出来ませんでした。
空蝉にとって「恨むとは」
どんなに好きな源氏でも夫のいる自分は、再度の逢瀬は望めない
そのことを「恨んだ」のですね。

源氏から和歌が届きます

わくらばに行きあふ道を頼みしも なほかひなしや塩ならぬ海 
    


思い出の人との邂逅(かいこう)に言葉を交わす事が出来ない思いを空蝉も
和歌に託します。

逢さかの関や いかなる関なれば しげき嘆きの中を分くらむ
   


源氏  偶然に道で行きあえた嬉しさも やはり甲斐ない空頼みでしたか。

     あなたにかしずく関守が心から羨ましくも、妬ましくも
     思われましたよ。

空蝉  逢坂の関とはいっても 私たちは再会しながらどうして嘆きをかさねるのでしょう

    何もかも夢のように覚えまして
                  「円地文子訳源氏物語」

う~~んこれって、紫式部が一人で二役の和歌を書いているんですよ。

源氏物語の中に挿入されている和歌は795首詠まれています。

この時代和歌を 詠作することは日常的なことの様ですが
紫式部は凄いですね、
だって、他人になりすまして書くことに驚いてしまいます。

源氏物語(東屋一)

2007年07月12日 21時25分14秒 | 源氏物語
 (東屋一) 


八の宮を父に持ちながらも、幸せの薄い浮舟、
婚約は破談となり不憫に思い母は、中の君に浮舟を預けます。
御所から帰った匂の宮は、中の君の異母妹とも知らず浮舟に言い寄ります。
危うく逃れることが出来ましたが、度重なる不幸を浮舟は悲しみます。

中の君はこの異母妹を慰めようと「絵物語」を出して慰めます。
本を見入る浮舟は姉大君の容貌に似、又、父八の宮の面影を
宿しているのでした。

「絵物語」の中には綺麗な山河が描かれています。
襖、几帳にも綺麗な風景画があり、飛ぶ鳥の姿、
水鳥の遊ぶ姿が描かれています。

復元十九図の絵巻きは、とても沢山の「緑」が使われていますが。
この「東屋一の五十帖」は浮舟も女房も緑の衣装を着て緑の敷物
御簾も緑で描かれています。
900年の歳月の色彩を留めることが出来たのは「岩石」がら作られた
絵具だからこそと書かれています。「よみがえる源氏物語絵巻」

緑は「孔雀石」を職人が砕き、粉にまでして造られたもので
更に幾重にも工程が加えられて気の遠くなる作業から出来た
貴重品だそうです。

当時もこの岩石の多くは国内では摂れず、大陸から何らかの方法で
日本に持ち込まれた、価値のあるものだという事ですよ。

「国宝源氏物語絵巻」の絵はよくよく見ると絵具の
独特な質感が残っていたらしいです。
その粒子から どんな岩石が使われていたか、蛍光X線分析器という
もので元素を特定していったそうです。
凄いですね。

勿論質感の無い色も存在しています、それは植物から摂れた色でした。

紅花から造る「一斤染」という色があります
この色は、大きな紅花600gを、絹一疋(二反)を染めた色で淡い赤色です。
勿論水の量、お酢の量、麩の量、藁の量、薪の量等に既定があったと
書かれています。
この赤が基本になって、様々な赤が染められました。
濃紅(韓紅花=からくれない)等は紅花十斤を使うといいます。
「日本の伝統色、青幻舎 長崎盛輝著、」に書かれています。

前回「竹河二」で出て来る玉鬘の姫二人の右側に、真っ赤な衣装を着た
女房がいます。この赤い着物には模様が見えませんでしたが、
暗闇の中「超高感度カメラ」で撮影したら「雲立涌文=くもたてわくもん)
と言われる装束に使われる模様が出てきたそうです。
関係者の喜びが手に取るように感じられます。

これ等を染めるには いかほどの紅花が使われたのでしょうか、
今なら季節を問わずバイオの力で、お花は幾らでも造る事は出来ますが
自然の中で栽培された紅花は、大変貴重なものであったと思います。

又紅花を栽培していた庶民の生活は、
きっと豊かなものであった事でしょうね。
使われない残りの紅花で、若い娘、赤ちゃんなどは、
薄紅の下着等染めて、身に付けていたことでしょうね。

宮中の豊かさに比べれば、ささやかな喜びでしょうが。


次回は「関屋」源氏物語十六帖です
絵巻の中で唯一の風景画が再現されています。

人妻空蝉は、帰京の途中に、石山に詣でる源氏の一行と再会します。
思い出の人との邂逅でした。

カラー

2007年07月05日 21時25分52秒 | PC水彩
3日、4日の二日間時間が有ったので、
PC水彩で巨峰を描いていたんです。
プリントしたけど、色が気に入らなくて。
紺系の色で着彩しましたが、出てきた色は赤紫でした。
初秋に出る「甲斐路」の様になるのですよ
巨峰って黒っぽいけど、濃紺で書いたのに、、、、です。
因みに私のプリンターはエプソンです。
インクはブラック、イエロー、マセンダ、シアンです

今日お教室で再度色を付けてみました、
全く同じ色ではないけど、殆ど家で塗ったと同じ
青系でした。
プリントしたらなんと、綺麗なブルーで出てきました。
お教室はキャノンだそうです。
メーカーによってこんなにも色が違いのかと
改めての驚きでした。
描いた人の意思とは違うものになる事が分り
プリンターの性格も考えて着彩しなければいけないと
つくづく思いました。


     でも

源氏物語(竹河二)

2007年07月03日 10時47分03秒 | 源氏物語
 (河二) 


玉鬘の姫大君と、中の君が庭に咲く桜の所有権を決めようと
三番勝負の碁を打っていました
この様子を垣間見する男性がいます。
夕霧の息子蔵人少将でした。
蔵人少将は源氏の孫にあたる人です。
蔵人少将は大君に心を惹かれて求婚をします。
さぁ想いが叶うでしょうか?
大君、中の君のお母さんは玉鬘で暫く源氏が養い親となって
面倒を見ていた人です。
この玉鬘はなかなか賢い女性でいろいろなお話がありますよ。
本文になったら、詳しくお話しますね。
 絵の中心に桜の木が描かれています、そしてその花びらが
お庭に沢山落ちて、満開の桜を描いた様です。
よく見ると桜の花の所々に茶色の葉が見えます。
私はこの桜は、染井吉野など豪華な桜ではなく、
山桜のような清楚な桜に思えます。
どうでしょうかね。

満開の桜は鉛筆の走り描きでは描けませんでした。

次回は東屋一です、第五十帖です。
ようやく源氏のなかでもっともドラマティック生きた
女性「浮舟」の登場です。
    

2007年07月01日 22時24分53秒 | 母のこと
母が亡くなり早いもので4ヶ月が過ぎた。
亡くなった事をやっと認める余裕が出来てきた様に思う
でも忘れる事は出来ない。
毎朝仏壇に手を合わせて、写真の母に声を掛ける
「お母さんお早う」
「今日はご飯炊かなかったから、パンでいい?」
「いいわよ」って答えてくれる気がする。
「おかあさんはコンガリ焼けたパンが好きだったわね」
母はトースターの前で自分好みの色に焼けるのをジーと待って
今だ!という時にお皿に載せていたっけ。
私はうっすら焼き色が好きだけど、母好みの色まで焼いて
蜂蜜、ジャム、ピーナツバター、シナモンに粗目のお砂糖
日によって使い分ける。
仏様用の小さなお皿に2㎝四方をのせて
「どう、美味しい?」
なんて聞いてしまう。
だから私のトーストは何時も2㎝四方の穴が空いている。
お昼にチャーハンを作れば、チャーハンだってお供えする。

亡くなった人はいつも胸の中にいるってこういうことかしら?
そんなことを考える今夜の私だ。
お母さん今頃何してるの?電話したいわ。