週末つれづれ草子:お釈迦様の掌

2003年4月以来週末(日曜日)に、身辺事象・時事などについての観察・感想・見解をつづっているエッセイ。

週末つれづれ草子(2009年10月25日)

2009-10-25 17:45:09 | 感想・見解
週末つれづれ草子(2009年10月25日)


先週は客来があり綴れませんでした。

今日は朝から6町内会が氏子となっている神社の祭りの準備をしました。
社殿や境内の清掃、しめ縄の張替え、幟たてなど。
人海作業の威力に改めて感心しました。
祭りは11月3日です。


お釈迦様の掌

鳩山内閣1ヶ月。
連日、各大臣の言動がメディアに踊っています。
新大臣による10年度予算の見直し概算要求は95兆円。
さらに予算額白紙の要求項目があり、数兆円が上乗せになるというもの。
それに対し民主党の「仕分けティーム」が要求の中身を吟味し、
要不要・民間移管などと中身を仕分けて要求額を圧縮するという。

そんな折、郵便会社のトップに元大蔵次官を起用することが決まり、
論議を呼んでいます。
小泉・竹中路線からの大転換が行われつつあります。
中心になって推進しているのが国民新党の亀井静香金融郵政担当大臣。
この数日間の亀井大臣の発言。
経済浮揚に
「来年度予算100兆円以上必要」
「2009年度2次補正予算10兆円超」
財源は国債。
国民新党としては、国債増発は必然のことなのですね。
<2009年8月30日の週末つれづれ草子>で次のようにいいました。

『今朝、国民新党のパンフレットを見ました。
・特殊法人を全廃し省庁へ再編
・5年間200兆円経済対策・・財源「無利子国債」
郵政見直しの中身は、
特殊法人を全廃するとはいうものの省庁に再編して温存するというものです。
そして、5年間200兆円の財源(国債)には郵貯・簡保の資金をつぎ込もう、
というもののようです。
郵貯・簡保資金は国債を通して各省庁に予算として流れ込みます。
ということは、省庁に再編された特殊法人にも流れ込むことになるでしょう。
このことは、
昔の特殊法人・財政投融資の関係を形を変えて温存させることに通じましょう。
連立政権の民主党の郵政見直しの中身がいかなるものになるのでしょうか?』

亀井大臣が国債頼りの予算を掲げるのは、
郵政見直しにより郵貯・簡保の巨額な資金を国債で運用するほかないからです。
前にも言ったように、郵貯簡保資金は国が運用してきました。
その主な運用先が天下り先といわれる特殊法人などでした。
これを打破するのが小泉・竹中郵政改革でした。
この改革によって、郵貯・簡保の資金は、
民間の金融機関と同じように自ら運用先を探すことになるわけです。
ところが郵貯簡保はこの面での営業をしてきませんでした。
民間からの経営陣を入れて、
この面でのノウハウをつぎ込むのですがそれには時間がかかります。
当面は巨額な資金を減らすことにしました。
1000万円超の額の貯金を預け入れないとか国債を購入させるとか、
いろいろと手を打って、貯金額を減らしました。
数十兆円ほど減らしたようですが、
それでもまだ数百兆円もの預かり資金があります。
巨額資金は国債に回す外ありませんでした。
<2009年9月6日の週末つれづれ草子>で言いました。

『国債約680兆円の保有者(債権者)は大雑把に次のとおりです。
1)郵便貯金    149兆円(22パーセント)
2)民間金融機関   97兆円(14)
3)民間保険年金   92兆円(13)
4)公的年金     72兆円(11)
5)日銀       66兆円(10)
6)簡易保険     63兆円(9)
7)海外投資家    44兆円(6)
8)家計(個人)   36兆円(5)
9)投信       23兆円(3)
10)その他     38兆円(6)』

郵貯と簡保合わせて200兆円超の国債を保有(資金運用)しているのです。
こう見ると、亀井大臣の発言、
<経済浮揚に
「来年度予算100兆円以上必要」
「2009年度2次補正予算10兆円超」
財源は国債>
の背景がよくわかりますね。

郵政改革の見直し

昔のように郵貯簡保の集金マシーンの復活

郵貯簡保資金の増加

融資先(資金の運用先)は国(国債)

亀井大臣発言<100兆円超の予算と10兆円超の2次補正予算>

財源は国債

郵貯簡保の資金による国債消化(郵貯簡保資金の運用)

郵政改革見直しの問題点のひとつ(資金運用)解決

鳩山内閣はどう捌くのでしょうか?

週末つれづれ草子(2009年10月25日)おわり。


週末つれづれ草子(2009年10月11日)

2009-10-11 21:24:46 | 感想・見解
週末つれづれ草子(2009年10月11日)


  (写真を貼り付ける方法を知りませんので写真なし)   
  3本の鋲                 2本の鋲
JRの線路の枕木に大きな鋲が打ってあります。
1本とか2本とか3本とか。
また1本でも撃ってある場所が枕木の真ん中だったり端だったりします。
2本や3本のときは横に並べて打ってあったり縦に並べて打ってあったり、
打ち方が実にさまざまです。
プラットフォームからこれを見て気になってしょうがなかったので、
多くの人に「なんでこんな風に鋲が打たれているのか」と訊きました。
諸説紛々、正解と思えるものはありませんでした。
ある日、駅で保線をしている一団に出遭いました。
チャンス、とばかり枕木の鋲のことを尋ねてみました。
「枕木の履歴書だ」との返事でした。
鋲の数や打つ位置でその枕木がどのメーカーが何時出荷したかを示している、
とのこと。
ウーン。
今は枕木がコンクリートに変わっているので
このような印はどうなっているのでしょうかね?


お釈迦様の掌

前回、国債の後世負担説は錯覚だ、と言いました。
国債は多いより少ないほうがなんとなく安心だ、という心理は分かります。
ということで、国債を減らすにはどうすればいいのか?
増税して歳入を増やし国債を償還していけばいいのですね。
増税はどうするのか?
ネット1000兆円超の家計金融資産のなくてはならない運用先が国債だから
家計金融資産を税金として徴収すればよい、とも言いました
そこで家計金融資産の内容をざくっと見てみます。

統計局資料―平成20年―  世帯当たり   単位:万円
~30歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60歳~
貯蓄額  300  600    1200   1600   2000
負債額  400  800     900    500    200
ネット -100 -200     300   1100   1800

4年前のデータなので、上のデータとは少々ずれがありますが、
各世代のネット総額は以下のようです。

国会図書館(調査と情報2005.8.11.)
単位:世帯(万円) 総額(兆円)
     ~30歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60歳~
世帯分布   3%   15%    20%   23%   39%
ネット・世帯 66    -45    223  1127  2264
ネット・総額  1     -3     22   127   426
保有割合   0%   -1%    4%    22%   75%
先に挙げた統計局データより世帯当たりネット額が
40歳未満世帯と60歳以上世帯が少なくなっています。
3年間でその世代が貯蓄を減らしたと見ることができましょう。
この間の派遣社員・ワーキングプアー・振り込めさぎなどの
社会問題を数字が正直に語っている?
また、統計両者間の誤差もありましょう。
この差異の詮索は脇において、
60歳以上の世帯の貯蓄2000万円あり、
その総額は400兆円ほどです。
全体に占める保有割合は70パーセントを悠に超えます。
高齢世帯の貯蓄が、国債を増やす圧力になっているのです。
繰り返しますが、
この巨額の貯蓄を預かる金融機関が
その貯蓄の運用先として国債を必要とするのですから。
国債を減らすにはこの貯蓄を減らせばいいのです。
貯蓄を減らす方法には二通りあると思います。
ひとつは、じゃんじゃん使わせること。
もうひとつは徴税すること。
前の方法は、多額の貯蓄をもつ高齢者の消費を促すサービスが必要です。
そういうサービスがでれば、
多額預金高齢者は貯蓄を切り崩してでもそのサービスを買うことになり、
世の中にお金が回ります。
お金が回れば税金が増えます。
税金が増えれば国債の償還に繋がります。
この方法には、大きな課題があります。
多額貯蓄の高齢者をターゲットにしたサービスの開発。
そこで、手っ取り早いのがもうひとつの方法です。
高額貯蓄高齢者の貯蓄に課税するのです。
的は絞れますし確実に実施できましょう。
高齢者を対象とした制度を投入しようとすると
「高齢者いじめだ」という大合唱が沸き立ちます。
こういう議論が起こるのは、
余裕のある高齢者とそうでない高齢者とをひと括りにしてしまうからです。
余裕のある高齢者から税金を納めてもらうようにすることです。
そうしてその財源を国債償却に当てるのです。
おっと、聞こえてきました。

「余計なこと言うな」

週末つれづれ草子(2009年10月11日)おわり。


<追補>
週末つれづれ草子(2005年4月24日)
天安門事件(10)

キーワード2・・・<愛党心・愛国心>

党・政府は天安門事件により人々が離反することを防がねばなりませんでした。
一方策の経済発展は、外国企業の呼び込みに成功して順調に進みました。
しかし、経済発展だけですべての人々を満足させることはできません。

党のよってたつものはなにか?
党の人々へのセールスポイントはなにか?
中国共産党は、
無産階級の人々を搾取階級から解放することがそもそもの目的でした。
そのために、中国共産党は結党以来、国民党との内戦を遂行してきました。
そうです。
中国共産党の軍隊は、「人民解放軍」なのです。

1921年 上海 陳独秀・毛沢東ら 中国共産党結党。
1924年 第1次国共合作(抗日戦線)
1927年 国共分裂(上海クーデーター)
1934年 長征(国民党の攻勢に、江西省ずい金を離れ逃避行に)
1937年 第2次国共合作(前年の西安事件(張学良の蒋介石監禁)により)
1945年 日本敗戦 国共内戦
1949年10月1日天安門 毛沢東宣言「今天、中華人民共和国 建立」
     12月 蒋介石(国民党)台湾へ

おりしも日本軍が中国に進出(これでは歴史認識を非難するでしょうから)
侵略していたので抗日戦も戦うことにしたのです。
二回にわたり抗日戦で国民党と合作(協力)もしました。
1945年の日本敗戦後、国民党との内戦に突入。
1949年に国民党を台湾に追いやり、
所期の目的・無産階級の解放を果たしたのです。
解放された無産階級の人々は叫びました。
「共産党万歳(GONGCHANDANWANSUIこんちゃんだーんわんすえい)!」
「解放軍万歳(JIEFANGJUNWANSUI じえふぁんじゅんわんすえい)!」 
「毛主席万歳(MAOZYUXI WANSUI まおちゅしーわんすえい)!」
<解放>は圧倒的多数の人々に感謝され、評価されました。
当然、共産党は<解放>を(売り)にしました。

しかし、<解放>の神通力はもはやありません。
残るのは<抗日戦>での成果です。

「偉大なる中華」を蹂躙した<小日本>。
その<小日本>を駆逐した「中国共産党」。
中国人民に悪行の限りを尽くした<日本鬼>ども。
その<日本鬼>に天誅を下した「共産党」。

党の働きをできるだけ輝かしいものにし、
党の存在意義を徹底的に浸透させるには、
党が駆逐した日本が中国でいかに悪逆非道であったかを喧伝することでした。
人々に<日本憎し>を植えつけることでした。
中国の人々の日本に対する反感は、党の思惑通り強まっていきました。
日本への反感・憎悪が強くなるにしたがい、
反作用として人々はナショナリズムを醸成してきたということでしょう。

かくして、中国共産党の拠り所は、<解放>から<抗日>に移ったのです。
「愛党心・愛国心」の一層の発揚に成功して、
党は人々の心が党から離反するのを防いでいるのですね。
一党独裁を維持するために、
その一党独裁の正当性を<抗日>に求めているということです。
したがい、<抗日>以外のことに正当性を求めるようになるまで、
「愛国心=反日」洗脳をやめることができないということになりましょう。
「愛国心=反日」洗脳は、
党が一党独裁を放棄するときまで続くということになりそうですね。

つづく。

週末つれづれ草子(2009年10月4日)

2009-10-04 20:07:22 | 感想・見解
週末つれづれ草子(2009年10月4日)


今年は柿がなりません。
昨年は枝が折れんばかりになりましたが・・・。
(写真の貼り付け方法を知りません)
  今年             昨年

この1週間で季節が進みました。
今朝6時、外気がひんやり感じました。秋冷?
週明けに木犀の香りが漂いだしましたがもう匂いません。
ケイーン、キーン。
鹿の甲高い鳴き声が物寂しさを運んでいます。


お釈迦様の掌

衆議院議員選挙のため横道にそれました。
国債の話に戻ります。
国の借金800兆円、内国債600兆円。
前にも言いました。
鳩山首相は、
「国債は増やさない」と言いったが
「国債を減らす」とは言っていない、と。
確か、藤井財務相が「赤字国債も考える」と発言した記憶があります。

そうなのです。
財政健全化ということで国債が償還されることになれば、
巨額の国債の引き受け手である金融機関が困るのです。
郵便貯金    149兆円(22パーセント)
民間金融機関   97兆円(14)
民間保険年金   92兆円(13)
簡易保険     63兆円(9)
これらの資金の多くが手元に戻ることになるのですから、
金融機関は戻る資金の新たな貸出先を探さねばならなくなるのです。
運用先は国外に求めざるを得ないでしょう。
郵貯や簡保といった資金も国外で運用されることになります。
国外といってもおもにアメリカといえましょう。
アメリカの国債とか投資ファンドなどです。
郵政民営化の反対論にこんなのがありました。
「郵貯簡保という国民の資産を
アメリカ(ハゲタカファンド)に差し出すことになる」
違うのですね。
「国債を減らしたら、
その分の郵貯簡保資産を
アメリカ(ハゲタカファンド)で運用させてもらうことになる」
のですね。

ご隠居、財政健全化はできないということになりますね。
わが世代は、負担を後世へ回しちゃうってーことですね。寝覚めが悪いよー。
ウーン、つれづれほうし!どうなのだ?
ご隠居!
ご隠居が週末つれづれ草子(2004年8月8日)お釈迦様の掌(続報22)
で次のように言ったじゃないですか。

“<国債>は<税金>だ。
政府が今使う金を、
今徴収する(税金=増税)のか、
とりあえず借金(国債発行)して賄い、
将来その借金(国債)を返すときに徴収する(税金=増税)のか、
ということで、<国債>も<税金>に帰するわけです。
今徴収(増税)するというと皆が反対するが、
借金(国債発行)で賄うというと大波が立たない。
そこで、増税をさけ、国債を積み重ねてきたのですね。
しかし、
借金(国債)だから返すときにはそれに見合う収入(税金=増税)が必要です。
それは将来のことだからいいや、といってきたのがこれまでです。
「財政健全化」とは、
国債という間接税金を直接税金に換えてやりくりする、
ということです。

ご隠居、後世の負担とは何なのですか?
「将来国債を償還するときにその世代(後世)が相応の税金を徴収される」ということだ。
なーるほど。
わかったかい。
なんとなく。
借金を子や孫に返させるというようなものだな。
ふてえ放蕩親父だ。
しかしな~、はっつぁん。よく考えてみると後世負担はおかしな話なのだな。
???
確かに、子や孫が親の借金を返すこと、
すなわちそのための税金を取られることは子や孫の負担に違いないよな。
そうですよ。ご隠居、なにをいおうとしているのです?
ところが、実質では子や孫の負担はないのだよ。
そんな~。子や孫が親の借金を返すために、税金をとられるではないですか。
それは表面上のことなのだな。
???
親の時代に、政府が収入不足を国債ではなく増税でまかなったとしよう。
親は増税で取られた分だけ資産がなくなるわけだ。
ところが政府が国債でまかなった場合は、親の資産は減らないですむわけだな。
それで?
増税で減らされた資産が子に遺されるのか、
国債のために減らされずに済んだ資産が子に遺されるのか、ということだろう。
おっしゃるとおりで。
そこだ。子にして見れば同じだろう。
????
前者は、親の代に税金を取られてその分減った財産を相続するわけだ。
後者は、税金を取られなかった財産を相続した後で、
親の代の国債を償還するためその相当額の税金を取られるわけだ。
結果としては相続した財産は同じになるということだろう。
というわけで、後世の負担などないわけだ。
・ ・・・・・・。
後世に負担をのこすから国債発行を控えろとの話は的外れなのだな“

2004年につれづれほうしは600兆円もの国債があっても健全財政だ、
と言いました。
1400兆円ネット1000兆円の家計金融資産(預貯金や保険が主)がある限り健全なのです。
もし、国債の巨額さが問題だというのであれば、
ネット1000兆円の金融資産に課税すればいいのです。
その増税分で国債を償還すれば、600兆円の国債はたちどころになくせます。
前に言いました。
国民が金融資産を増やしたのが国債を増やした原因だ、と。
その原因である家計金融資産を切開手術するのです。
「今、切開手術を受けるのはいやだ」というのであれば、
手術を先に延ばすほかありません。
政権や政党、政治家は、
選挙の結果を恐れて現下の切開手術(増税)をできずにいるのです。
したがい、本来の税の一部分(いや大部分)を国債で賄っているのです。
これが今の状態です。
国債は後世に負担を回すということは、
ご隠居のお説のとおり実質はないのです。
多くが口腔泡を飛ばして言っている後世負担とは、
子が親に代わって親から譲り受けた国債相当額を含む財産から
国債償還に当てる税金を払うだけなのです。
子が税金を払うという行為をするから後世負担だ、と叫んでいるのですね。
本質を見ましょうよ。

<国債>=<税金>
徴税の時期を今にするのか先にするのかの違い。
<国債>→<後世負担>
これは錯覚。
親が残した国債相当額を含めた資産から子が親に代わって払うだけ。

週末つれづれ草子(2009年10月4日)おわり。


<追補>
週末つれづれ草子(2005年4月17日)
天安門事件(9)

キーワード1・・・<経済発展>

党・政府は、天安門事件後人心掌握のための一方策として、
1970年代後半より推進している改革開放に拍車をかけ、
経済を大躍進させることにしました。

経済を発展させるために中国に足りないものは何か?
土地・・・(DIDAぢーだー=地大)
労働力・・(RENDUOれんづお=人多)。
資金・・・(MEIQIANめいちえん=没銭)
技術・・・(MEIJISHUめいじーしゅー=没技術)
<資金>と<技術>を手に入れることが命題だということで、
あるところから呼び込むことにして、
1970年代に改革開放路線を敷きました。
改革開放策は、外国企業を呼び込むことにはそれなりの成果をあげてきました。
反面、体制の違い・システム制度の不透明さなどが、
多くの外国企業に中国への進出をためらわせてもいました。
この逡巡を払拭させりにはどうすればよいのか?
WTOに加盟することだ。
ということで、中国はWTO加盟に全力を注ぎました。
加盟により受けるであろう打撃にも目をつむりました。
加盟後になんとかすればよいとの考えでしょう。
これが内容の伴わないとりあえずの加盟であったことは、
加盟後のWTO約束違反の摩擦が多発していることからも窺い知れますね。

WTO加盟という環境整備を果たして、外国企業の呼び込みは熱を帯びました。
<釣書>は、前に述べたように「巨大マーケット」と「安い労働力」に加え、
「WTO加盟国」。
大漁でした。
大小・有名無名の外国企業が休みなく釣れました。
世界の工場といわれるほどに外資の工場がうちたてられました。
そして、いまや中国なくして世界の経済が語れないまでになりました。

昔、「アメリカが咳をすれば、日本は風邪をひく」
今、「中国が咳をすれば、日本(世界)は風邪をひく」

人民は成長に沸き立っています。
党・政府は人心離反に歯止めをかけることに成功したのです。
だが、副産物として格差が拡大しました。
これを問題視する論調が多いですね。
しかし、党・政府は成長路線を突っ走り正面突破するでしょう。
致命傷になりかねないのは、党・政府幹部の腐敗・汚職でしょう。

経済至上主義の今の世の中、「人権」・「一党独裁」・「WTO違反」の批難も<巨大マーケット>の「魔力」には無力にされるのですね。
昨今、メディアが報じています。
「フランスなどが天安門事件に対してとった<対中制裁措置=武器輸出禁止>を解除しようとしている」
政冷の日本にあっては、
「経済同友会の会長が、経済面への影響を懸念して日中間の政治面でのギクシャクをなくすよう注文した」
経済優先の跋扈です。
大儀がなんだ、正義がなんだ、政治がなんだ。
経済のお通りダー。

次回は、もうひとつのキーワード「愛党心・愛国心」についてです。

つづく。