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必然の出会い (1)

2007-05-28 08:24:53 | スポーツ
『出会いは偶然、別れは必然』

言い得て妙だ。
はじめてこの言葉を聞いたとき、語感の潔さだけで妙に納得させられた。
でも、じっくり考えてみると、「偶然の別れ」なんてのはいくらでもあることに気付く。
なら、「必然の出会い」だって……ん?あれ?

「必然の出会い」?

そう呼べるシチュエーションについて、いろいろ想像をめぐらせてみたけれど、これがなかなか思いつかない。

例えば男が女に千載一遇の出会いを口走る。
『僕達は出会うべくして出会ったに違いない!』
その言葉を聞いた途端、女はやがて引いていった。

そんなシーンくらいしか思い描けない。もしも、あなたが良識ある人に見られたいのなら、軽々しく「必然の出会い」を口にしないことだ。

しかし、数奇な「必然の出会い」は、想像しがたくとも現実に遭遇することはある。
今からそのことをお話しよう。

                             ◇

大阪環状線の鶴橋(つるはし)駅と玉造(たまつくり)駅は直線距離でいうと1km弱ほどである。
そのほぼ中間地点あたりから玉造駅にかけて、若干鋭角ぎみだがほぼ並行にアーケードが延びている。

日の出通り商店街

よく、「玉造商店街」とも呼ばれたりするが、実はそれは正確ではない。
「玉造商店会」というのは、JR玉造駅と交差して東西に延びる長堀通り沿いの、ほんの数十メートルほどの通りを言うらしい。そこから南側に折れてすぐのところから南北に500mにわたって延びているのが「日の出通り商店街」である。歴史もある商店街なのである。
が、その名を一躍有名にしたのは今は亡き鬼才・中島らも氏である。あの伝説の「ネーポン」を発見して、世に知らしめたのがこの商店街である。
また、一年に一日だけ誰を殺しても構わない商店街という、不条理な話を描いた短編小説「日の出通り商店街 いきいきデー」(『白いメリーさん』収録)の舞台の地でもある。

玉造といえば、もうひとり忘れてはならない人がいる。
玉造が生んだ史上最強のタイガースオタクこと岡田彰布である。
玉造の持つ奥深さに触れたとき、なんでこの地に岡田彰布が生まれ育ったのかが分かる気がしてくる。

玉造にはもう一人、意外なプロ野球選手が関わっている。
ハマの番長・三浦大輔である。
彼の実家が玉造で花屋を営んでいて、彼が幼少期この地で過ごしていたのだ。当時、実家の花屋の配達で岡田家にも訪れたことがあったという。
そのころから、すでに評判だった三浦少年とキャッチボールした現役時代の岡田彰布は、すぐに彼の才能を見抜いたという。そして、後年、タイガースが彼をドラフト指名しなかったことに激怒したという逸話も残っている。
元々タイガースファンだった三浦少年が、今でも甲子園の「六甲おろし」を聞くと心地よくピッチングできるというのももっともな話である。

かつてにぎわったこの商店街も、年々廃れつつあるのも事実のようだ。
この「日の出通り商店街」は自治組織の関係だろうか、北、中、南の三つのブロックに分けられている。といっても歩いてみて、どこで区切られているのかは分からないのだが。
玉造駅に近い、「北」はまだそれでも活気があるほうだが、「中」から「南」に下るにしたがってシャッターが下りたままの空き店舗が目に付きだすようだ。
かつての賑わいを知る者にとってはさみしい限りである。

                              ◇

今日は久しぶりにタイガースの試合を、開始から終了までじっくりと家のテレビで観戦することができた。
しかし、折角の楽しみもわずか2イニングで木っ端微塵に粉砕された惨敗だった。
いくらなんでも、相手打線が好調とはいえ3-14のスコアは醜すぎた。
いや、大敗したことは、この際どうでもよかった。
終盤、デッドボールの報復劇という、後味の悪いおまけがついてきたことが悔しかった。腹立たしかったというより情けなかった。
そんな中で、矢野がリタイヤしたことはショックだけれど、ジャンに代わって一軍に上がってきたダーウィンの雄姿が見られたことだけが救いだった。

「ダーウィン、お帰り!」

心の中で私はつぶやいていた。
そんな複雑な感情を引きずったまま、試合終了と同時に用事のために家をでたのだった。


用事は小一時間ほどで片付いた。
その後、家路についた私はJR鶴橋駅から電車で帰っても良かったのだが、久しぶりに「日の出通り商店街」を歩いて帰ることにした。
そういうわけで、商店街の南の入り口に立っていた。
もう、夜の7時を回っていることもあり、いっそうシャッターが目に付いた。
人通りもまばらで閑散としていた。


それでも歩を進めると、ぽつぽつとお店は営業していた。
古くから老舗の「ヤングカジュアル 岡田洋品店」 も、いにしえの佇まいそのままに、まだ店を開けていた。
ここの名物店主。人は良いが頑固で偏屈オヤジとして、この界隈でも有名人だった。店の前を横切るときにひょいと中をのぞいてみたが、相変わらず、奥のほうでしかつめらしい表情して座っていた。
そもそもこのお店、昔から「ヤングカジュアル」を名乗っていながら、四十以下のお客が立ち寄っているところを一度も見たことがない。
この時も五十代のおばちゃんが一人、立ち寄っていただけだった。
そんなこんなも昔なつかしの光景に、すこし心が和んだのだった。

そのお店を過ぎて五、六軒目くらい行ったところだろうか。
昭和三十年代の風情のお店が目に留まった。
「平田商店」と書かれた看板は、そのペンキのはげ方からいって、いかにも年代を感じさせるものだった。

(こんな店あったっけ?)

いわれてみると、古くからそこにあったような気もしなくもないのだが……。

店先には、菓子やジュース、パンに即席ラーメンなどの食料品と並んで、ロウソク、線香なんかが無造作に置いてあったり、その横には季節はずれのビーチサンダルが売り物として吊るしてあったりする。「ゴム長ありマス(マスは四角に斜め線が一本引いてある)」の手書きのボール紙なんかもぶら下がっていたりもする。
「はてさて何屋さん?」と聞かれたら何と答えたらよいのだろう?
「何でも屋さん」とでも答えようか。
つまり、今で言うところの「コンビニエンスストア」ともいえるお店であった。
ただ、コンビニと違って、まったくカテゴライズされずにディスプレイされているわけではあるけれど。

雑然とした店先には、噂の「ネーポン」も並んでいた。
その横にはカップ麺が何種類か置かれていたのだが、その中のひとつに私の目は釘付けになった。
全体の色目が先ず目を惹いた。
カップ麺には見慣れない鮮やかなトロピカルブルーで彩られていたからだ。
それを見た瞬間、私の心臓は高鳴った。ダーウィンが一軍に戻ってきて、久しぶりに我々の前に現れてくれたその日だったから、なおのことだった。
まさか、こんなところでコイツと出会うとは夢にも思っていなかった。
これこそ、「偶然の出会い」ではなく「必然の出会い」と呼べるものだった。

カップ麺には大きな文字で、こう書かれていた。




『焼きそば ダーウィン』



~つづく~


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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tacoco)
2007-05-28 11:35:27
この記事、事実と妄想の線引きはどこにあるのか。
う~ん、と考えてしまいました。
お陰で、昨日の後味の悪い試合のことを忘れました。
今日は、まっさらな気持ちで応援してきます。
金本さん心配・・・。
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めっさ懐かしい (淀でん)
2007-05-28 17:05:06
思えば数十年前、その界隈で仕事をしていたので、何回も通った記憶が蘇ります。
と、ノスタルジーに浸っていたら、最後なんですか?ア~タw

現実に目を向けよう・・・・逸らす気持ちは重々承知の助ですが わっはっはっは~ ふぃ~・・・


返信する
tacocoさんに右にならえで (KEN)
2007-05-29 02:28:57
線引きが訳わかんなかったです(笑)

こんなん“あっち”の方に挙げたいですね! 僕もあっちを書きたいんですけど、正直なかなか手が回らんって状態でして(自分のとこでも妄想的なことを書いてしまう関係上)。

いわほーさん自身もなかなか大変そうなんで一つ提案なんですけど、あのままあっちを停滞させるのももったいないんで、妄想系の記事をあっちとWupにしたらどうですか? そしたらうちがこうなってもてる以上あっちがガンガンupされると思うんですけど。

喜八さんなんて全部upせなアカンし(笑)

ドナイデセウ?


あー、ちなみにこの商店街周辺、僕もしょっちゅうウロウロしとりました(笑)
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放置プレイ orz (いわほー)
2007-06-14 00:33:35
スマソ。

⇒tacocoさん
>この記事、事実と妄想の線引きはどこにあるのか。

いつも、虚実が皮膜越しに透けて見えるような文章を書きたいと思っています。一体コイツは何を考えているんや?みたいな。
なかなか思うにまかせませんが。
「日の出通り商店街」。あそこは何でもありですからね。

⇒淀でんさん
ハジメマステ。
あの界隈も変わったようで変わんないようで……。
それではまた「ノスタルジー上陸作戦」でお会いしましょう。
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ……。

⇒KENさん
「妄虎千夜一夜」は開店休業状態ですが、今後もマイペースで更新していきます。KENさんも気が向いたらアップしてね。
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