ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

ズルいっ!

2007-03-08 05:34:59 | 読書
時代小説の解説を書いておられる縄田一男さん、『あかね空』で直木賞作家になった山本一力さん、日曜日の昼のクイズ番組の司会をされている児玉清さんの3人の対談によって書かれた『ぼくらが惚れた時代小説』という本を読みました。
決して『ぼんくらが惚れた時代小説』ではありませんので、そこの処はよしなに・・・

ズルいっ!と題したのは、他人の評価を盗み見て本選びの参考にするという、私の姑息な考えが見え見えだから。自らの頭で考え、自分の体で行動できるようにならないといけないんだけどネ。

知ってる本、知らない話、聞いたこともない人、いろいろ評価されてます。

最初は国民的作家は誰か?という命題から入っています。

『宮本武蔵』の吉川英治、『大菩薩峠』の中里介山、『竜馬がゆく』の司馬遼太郎、『徳川家康』の山岡荘八、池波正太郎、藤沢周平、山本周五郎、松本清張・・・考えてみれば、亡くなった方達ばかりですね。

次に挙げられたのが剣豪もので秀でたものは?・・・『柳生武芸帖』を描いた五味康祐、『眠狂四郎』の柴田錬三郎、『下天は夢か』の津本陽。

捕物帳と股旅物が取り上げられ、岡本綺堂『半七捕物帳』、野村胡堂『銭形平次』、長谷川伸『関の弥太ッぺ』『瞼の母』、『木枯らし紋次郎』笹沢左保、子母澤寛などの名前も挙がっていました。

『銭形平次』は最長シリーズだとか・・・“銭形のとっつぁん”を入れるともっと長い。
この頃になると映画の話も頻繁に出てきます。

市井ものが取り上げられ、『御宿かわせみ』の平岩弓枝を筆頭に、北原亞以子、宇江佐真理、佐江衆一などの名前が出てきます。

『ぼんくら』の宮部みゆきは捕物の範疇で出てくるのですが、私は市井ものだと思っています。

次は伝奇小説、『神州纐纈城』という本を書いた国枝史郎。纐纈さんという名の人が名古屋にいたのですが、纐纈の意味は“人の血で染めた布”のことだとか・・・怖い人だったのかなぁ?
南原幹夫、角田喜久雄、新宮正春など聞いたことの有るような無いような人の中で『新吾十番勝負』の川口松太郎、『魔界転生』の山田風太郎の名が在り、隆慶一郎という人が出ていました。
隆慶一郎という人は網野善彦という民俗学の学者に傾倒した人だそうで、<権力に屈しない人たちが人間としての尊厳を守ろうとし、またその尊厳を踏みにじろうとする者がいた>そういう歴史観で描かれた小説なら読んでみたい気がします。

海外についての時代小説となると、白石一郎という人が最初に述べられていますが、私は全く知りません。
『三国志』で吉川英治・北方謙三・宮城谷昌光の名前が挙がっていましたが、単純に面白いと評されていて、私にはあまり面白くなかったけどなぁと思うのでした。
陳舜臣の名前も出ていて、日本人と違う感覚を挙げていましたが、『小説十八史略』しか読んでない私には、陳さんの良さが解らないのかも知れません。
中国物として、『天平の甍』『蒼き狼』『敦煌』などを書いた井上靖の名も・・・私は何故か画家の平山郁夫氏とイメージが重なるのです。

武士道とは何かを問うた人となると、南條範夫の名前が真っ先に出てきますが、私がこの人の名を覚えているのはTVでやってた『月影兵庫』、あの突拍子もないストーリーを楽しんでいた私には、何故武士道を問うているのか理解に苦しんだのですが、村上元三との論争などを見ていると南條:「封建時代の体制とは絶対君主というたった一人のサディストに、多くのマゾヒストが仕えている構図」に対し、村上元三は封建時代の主従を精神的な結びつけで捉えた作家なので「色眼鏡で歴史を見るな」と反論している。
私的には、南條さん的な考え方をしてるかなぁ・・・?

滝口康彦という作家の『異聞浪人記』を映画化した『切腹』や『拝領妻始末』が、海外で評価されていると記しています。

歴史に切り込む作家として大仏次郎が掲げられていますが、映画で『鞍馬天狗』・TVで『とんま天狗』を見ていた私にとっては、よく解らない。
次に吉村昭。去年亡くなられていますが、『戦艦武蔵』などの戦争物、『大黒屋光太夫』などの時代物、現代物も多く、綿密に歴史や真実を調べているそうなので、一度読んでみたいと思っている作家です。

最後に女性作家群が登場しますが、杉本苑子・永井路子は戦中派の意識を我々に伝えてくれていると評されています。何かひとつでも読まなければと思っています。
そして京都で京都を書き続ける作家として澤田ふじ子が登場します。

以上、少し詳しく書きすぎたかなと思いますが、有名人にアンケートを実施した結果・ベスト1作家は・・・司馬遼太郎でした。そして第1位の作品は『坂の上の雲』でした。2位は、3位はさてどうだったでしょうか?

ちなみに私は、山本一力さんが1位に選んだ松本清張『かげろう絵図』、縄田一男さんの選んだ1位・角田喜久雄『髑髏銭』、2位・山田風太郎『魔界転生』を読もうと思っています。
          


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