補陀洛渡海の死と向き合う話ともう一つ、違った形で死と向き合う話が『楢山節考』、補陀洛渡海は信仰上の行為、いわば思想信条上の行為ですが、楢山まいりは口減らし、村の者が生きていく上で70歳になった晩秋には自ら死を覚悟しなければなりません。この話で楢山へまいるのはおりん、信州のとある村という設定で具体的な場所の指定が無いのは補陀洛山寺とは違います。おりんは息子の辰平がもうすぐ楢山まいりがあることは分かっていても口に出さないところを優しい奴と思いながらも、後妻に向こう村から嫁が来たなら楢山へ行くという覚悟が出来ています。この生活上の必要性から自らを処すところは、思想上の身の振り方である金光坊のようなもがき方がありません。それでもおりんの近くに住む銭屋の又やんは同じ年に楢山まいりをせねばならないのに決心がつきません。
所詮こういった段になると男の方が弱いってことなのか、それとも気持ちの整理がつかない者は何処にでもいるということなのか。
若い頃にこの『楢山節考』という映画がありましたが、私は見ていないと思います。TVで放映されたのを見たかも知れないのですが覚えていないのです。
他に『月のアペニン山』『東京のプリンスたち』『白鳥の死』の短篇が三篇挿入されています。
この補陀洛渡海記という本の中にも短篇が八篇収録されており、その中に『姥捨』という、この楢山節考とは似ても似つかない話が二~三収録されていますが、場所は篠ノ井線の姥捨駅近辺の山かと書かれています。しかも井上靖の短篇はこの『姥捨』にしてもその話は少しの紹介に過ぎず、小説として訴えたいのは自らの家庭の模様のようなのです。自分の家のことを長々と書いて、よく小説として売れるなぁと思ったものでした。
加藤廣の『謎手本忠臣蔵』では、新潮文庫に鞍替えしたのを責めていた私ですが、新潮文庫を買ったせいでYonnda? Clubの応募券がたくさん貯まりました。
この表紙の裏に付いているマークを集めると、その枚数に応じて景品を貰うことが出来ます。昔一度応募してこんなトートバッグを貰ったことがありました。
今回はこんなジッパー付のブックカバーを貰おうと思っています。色が黒かオレンジ、何処かの大型補強をする嫌いな球団の色に似ていますが、ツートンカラーじゃないので苦になりません。
眠っている本を引っ張り出したら、丁度20枚ありました。でも応募してから商品到着まで4ヶ月もかかるんですって。
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