ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

天切り松 闇がたり

2007-01-17 07:02:34 | 読書
五郎治殿御始末』以来、浅田次郎の描く物語の世界が、読みたくて仕方の無い私ですが、病院の売店に置いてあった浅田ものは、『勇気凛々ルリの色・福音編』だけという、お粗末なもの、もっと展示内容を豊かにしてあげないと患者さんの要望に応えられないと思うのですが・・・

『勇気凛々・・・』はご存知『少年探偵団』のテーマソングの一節です。
題名を読んだだけでも、浅田次郎らしいと興奮するのですが、どうも浅田自身のことを書いているらしく、私には面白くない。

おそらく彼は私と同学年か1つ上のはず、育った地域は全く違ったとは言え、同じ日本を見つめてきたに違いありません。確かに少しですが、歴史観に似通った所があります。
なのに、自衛隊に入隊したり、競馬をこよなく愛したり、何が何でも小説家になるなど、私には考えられない生活を過されてきたのですが、そこはそれ私には全く関心がないのです。

こんな本を置くぐらいなら、下の本を3冊揃えておいて欲しかったなぁ。

          

大正初期の頃、主人公“村田松蔵”が、父親の博打・放蕩から職人の一家に売られていく話から始まる物語を、今まさしも歳老いた“松蔵”が留置場の中で語る人生の訓話。
闇がたりだから、6尺四方=1尺30cmと考えても2m以内にしか聞こえない、当日の留置人に混じって看守の方々・署長まで聞き耳を立ててやって来るという人気振り。

職人といっても、大工や左官じゃない、掏摸<もさ>や泥棒<のし>を通して人生の修行をするのだった。

松蔵の世話になった一家には親分の抜弁天の安吉=中抜き・おこん=ゲンノマエ・寅弥=若頭、説教強盗・常次郎=百面相という面々がいた。その並々ならぬ連中の中で松蔵が憧れ、その名を引き継いだのが黄不動の栄治=天切りだった。

この3巻の中で中抜きだの、ゲンノマエ・説教強盗・百面相・そして天切りまで、能や技が展開されてます。ここでの説明はご勘弁を・・・

そして、物語には“山県有朋”“永井荷風”“武久夢二”などが登場、他にも松蔵の姉が放蕩親父に色街に売られ、それを身請けしたいという松蔵の悲哀、女衒と廓の意地汚さが描かれる。

そして最終章には、安吉親分とその親分だった仕立屋銀次の軋轢が、検察の手により銀次が送られた極寒網走の地で・・・

何故か“天切り松”自身の仕事振りは出てこない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿