たかが年間予算3千数百円の〝幽霊委員会〟がなくなったくらいで針小棒大に騒ぐ中国の醜態は滑稽以外の何物でもないのですが、ここ数日はこの件とWBC関連ばかりの報道が目立ちます。(個人的にメリケンに言いたいことは山ほどありますが)WBCのアジア地区1次リーグは実質韓国と台湾の二位狙いが焦点で、台湾には残念な結果となりましたが、観光目的で来日中の【知日派】謝長廷前行政院長もドームで声を枯らしていたのかもしれませんね。
◆「国統綱領、国統会運用停止」に対する国際社会の反応(台湾週報)
◆「日本は反対明確に」 台湾国家統一委廃止で中国大使館(朝日)
「台湾指導者の危険な行動に反対する姿勢を明確にしてほしい」という件を見て、クラシック音楽ヲタクの私は「中国の不思議な役人」(バルトーク作曲)という曲が頭に浮かんできたのですが、この件に関しては、先月28日に『台湾「国家統一委員会の運用停止及び国家統一綱領の適用停止」について』という外務省報道官談話(外務省HP)が早速出されていたようです。
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1.台湾との関係についてのわが国の立場は日中共同声明にあるとおりであり、何ら変更はない。
2.台湾を巡る問題については、軍事的・政治的対立を望まず、当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを強く希望する。この観点から、いずれかの側によるいかなる一方的な現状変更の試みも支持できない。この点にかんがみ、台湾側が「現状を変更する意思はない」と表明したことに留意している。
3.わが国として、この地域の平和と安定の観点から、両岸間の緊張がさらに高まることのないよう、当事者双方とも現状の変更を試みることなく、対話を早期に再開することこそが必要であると信じる。
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合衆国の見解と日米安保の共通戦略目標の内容をトレースして、日本の立場も従前どおりの「現状維持」という趣旨のようですが、前述した木っ端役人からあれこれ言われる前に談話を発表した点は評価できようかと思います。
「味気ない」感もありますが、後に延ばせば延ばすだけ前述したように中国はあれこれ煩い(間違いなく!)ですし、それに対して例えば麻生外相が例の調子で「・・・・その件は中国の内政問題じゃなかったんですかねぇ?」等と軽率な嫌味を言い返したら、〝言質〟を取られて大問題になるのは必至であり、何より台湾や合衆国に対して迷惑をかけることになりかねません。
日本としては決して無責任かつ軽率なことは言えません。日本李登輝友の会の機関紙の表紙裏に、日本が「台湾の主権帰属先を明言」しなかったことを不満として、「台湾は中国の領土ではない」旨を表明せよというという投稿が掲載されていた(『日本は「一つの中国政策」を破棄せよ』)のですが、そもそも日本はサンフランシスコ平和条約で台湾の帰属先云々については何も言える立場にはありませんし、北京と台北という〝二つの中国〟がお互いに「一つの中国」を号しており、北京と台北の同時選択は不可能であったという事情もありました。「一つの中国政策」それ自体に対する疑義と、それをブレイクスルーする必要性は痛感しますが、「日本はサンフランシスコ平和条約を破棄せよ」等と荒唐無稽な要求をされてもそれは困る・・・・
もっとも、【発展問題:余裕がある人はチャレンジしてみよう!】的にこの件を捉えると、「この地域の平和と安定の観点から」日本が「当事者双方」の「対話」の仲介という役割を果たす(最低限単に会談をセッティングするだけでよい?)ことは可能であろうと思われます。
「台湾海峡の平和的解決」という日米安保の共通戦略目標の本質はエンゲージメント戦略であり、事実米国側は再三中台双方の対話を促していますが、一向に進展する兆しはありません。
米軍が太平洋に戦力をシフトし、日本が法体制を整備しようとも、それらは中国に対する抑止力と有事の際の態勢を規定する動きに過ぎず、本質的な問題の解消に繋がるものではない点には留意する必要がありますし、メリケンも手を焼いている「台湾海峡の平和的解決」に日本ならではのプレゼンスを示すことは、中台問題への国際的な関心を呼び起こすことに繋がるのではなかろうかと思います。(同様に米印関係何かにも日本がバランサー的プレゼンスを示せればメリケンに恩を売れるのですが・・・・)
次に(間違いなく)北京が騒ぐのは、李登輝前総統が来日する五月前でしょう。四月の米中首脳会談の動向を読むという工程は不可欠ですが、麻生外相は台湾がSARSで苦しむ中、政調会長として訪問団を率いて激励に訪れた程の親台湾派ですし、外相として一つ功績を残すなら、中台指導者の対話の仲介が最適ではなかろうかと個人的には思いますけどね・・・・
もっとも「中台双方の対話の促進」と言っても、メリケンはそれで何をどうしたいのか、その意図がサッパリ解らないのも事実です。実際中国側が譲歩できる「平和的解決」のラインが、「一国二制度」による〝台湾特別行政区〟で、台湾側がそれを拒む以上、どう考えても話がまとまる余地はありません。仮に今の総統がKMTの連戦やPFPの宋楚瑜だったとしても、民意を無視して勝手なことが出来るほど〝今日の中華民國総統〟は偉くないのではないでしょうか?
メリケンは単に「中台双方の指導者が話し合った」という既成事実が欲しいのかな、という気もするのですが、どうなんでしょうね?
※写真・・・・公館、台湾大学付近のカットフルーツの夜店
一袋20NT$(約70円)。嬉しそうに食べていたら三切れくらいメロンをおまけしてくれました。街角のまた~りしたふれあいは台湾の魅力の一つかなぁ・・・・
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台湾日報と自由時報は、同じ台湾本土派でも、台湾が比較的左で、自由が右という違いがあるので、台湾日報にはよく米帝批判の文章が載る。
http://taiwandaily.com.tw/news.asp?News_no=18162&News_class_no=03&Up_date=2006/03/04
美中霸權現形◎蔡漢勳
台湾はいい加減、米国の言うことなんか聞くのをやめて、ベネズエラ、ブラジル、ボリビア、チリ、アルゼンチンなど南米の左派政権や、イランなど反米国家と仲良くすべきかもしれない。
ベネズエラとイランは資源も豊富だし。
それに、南米や中東の反米政権は中国とは仲良くしているといっても、中国の台湾に対する領有要求まで支持しているわけではない。
とくに南米の左翼には、中国に対する根強い不信感があるらしい。というのもアジェンデ政権が倒されたときに、左派勢力が各国大使館に亡命を求めて訪れたが、そのとき米国と並んで中国が拒否したという。
それに台湾は地球の裏側でも中国と対立する必要はない。
会社で「中国時報」、家では「台湾日報」という話を現地でうかがったことがありますが、よく解らんなりに台湾のリベラル系は正論路線でいいですね。特に、
>結果事實證明全係烏托邦。因此,台灣既已改朝換代,人民就有自決之權利,美國官方的蠻聲明,僅凸顯其霸權本質。
この件何て美國はぐうの音も出ないのではないでしょうか?
先日の台北タイムズでも「馬の馬鹿騒ぎは思慮不足」という痛烈な社説を目にしたのですが、事実上出来もしない総統の罷免要求とか12日のデモとか、ついにヤキが脳髄まで回った感もありますね。次は美帝に事大するんでしょうかね?(爆)
<No NUC misunderstandings, says US>
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2006/03/04/2003295642
という記事で私も目にしたのですが、そもそも台北側はメリケンの顔を立てて譲歩し、合意に基づいて〝abolish〟という表現を使わないでやった、国務省側はそれを「あいまいに解釈した」という話で突っ込まれたり、誤報の鬱憤を台北に向けられても如何ともし難いように思うのですがねぇ・・・・
まぁ、確かにあのブリーフィングの文面は苦し紛れではありましたが、それは国務省&エレリーの能力の問題にしか過ぎなかったのであり、「あいまい関与」を三十余念やってきたのならメリケンが曖昧に逃げ切のが筋であり、武器を言い値でお買い上げいただいている台北への顧客サービスってもんじゃないんでしょうかねぇ。(皮肉)
正直私はまだ政治関連に足を突っ込んで1ヶ月足らずでして(苦笑
ただ素人の私から見ても、この問題はただ事じゃないなという認識はしています。
アメリカは嫌いですが、少なくとも中国よりは話が出来るので、まだマシかなというのが個人的感想ですね(BSEの様に、最低限自分で作ったルールは守る)
麻生外相は、基本的に「台湾好き」で有名ですね…中国脅威論を唱えたのも彼が先ですし。媚中派・親中派が多い議員の中で、中国にあれだけ破壊力のある発言が出来る人物は、今の日本には稀であり貴重だと思いますね…
という麻生スキ-な私が言っても説得力が無いなと自爆してみたり(苦笑
本当に台湾併合だけはマジで勘弁して欲しいと思う今日この頃です。
台湾問題に関連している貴ブログを閲覧出来て嬉しい限りです。
個人的な感想ですが失礼致しました。
追記。
>「中国の不思議な役人」(バルトーク作曲)
激しく同意しました(爆
ご丁寧に恐縮です! 麻生外相は個人的には好きなキャラで、先日も日経朝刊だったかな?「隣国とのよい関係を望むのは僥倖」みたいな本質を突く意見も目にしましたね。(マキャべりスト?)
ただまぁ、時に「赤提灯のオヤジモード」が危なっかしいのが・・・・(汗)